【WRC 世界ラリー選手権】第14戦 ラリー・サウジアラビア
WRC(世界ラリー選手権)の今季最終戦が29日まで行われた。競技3日目デイ3には、トヨタのエースドライバーがドライビングだけでなくタイヤ交換でも一流の技を披露するシーンが見られた。
今回が初開催となるサウジアラビアは、ステージのほとんどが砂地や岩場のグラベル(未舗装路)ラリー。タイヤにダメージを負いやすい路面コンディションに多くのドライバーが苦しめられ、競技2日を終えた時点でタイヤにトラブルを抱えていないドライバーはほとんどいないような状態だった。
そしてデイ3のSS11でパンクに見舞われたのが、トヨタのエルフィン・エバンスだ。今季は初めてのチャンピオン獲得を狙い奮闘を続けてきて、前戦ラリージャパンが終わった時点で2位のセバスチャン・オジエに3ポイント差をつけて総合首位を維持していた。悲願の年間王者を獲得するために力走を重ねてきたところで、左リアタイヤをパンクさせてしまい、エバンスも万事急すと思われた。しかしエバンスはコース脇にマシンを止めると、コ・ドライバーと共にマシンを降りて、テキパキとタイヤ交換作業を始めた。
砂漠の真ん中のような場所で自ら工具を手に取り、交換作業を迅速に終えると、すぐにコース復帰してステージをフィニッシュ。チャンピオンがかかったラウンドでプレッシャーがかかるなか、機敏なタイヤ交換作業でも一流の腕を見せた。
WRCの公式Xでも「エバンスに悲劇! SS11の4.1km地点でホイールを交換するために停車した」と取り上げられ話題となったが、このタイムロスで順位をひとつ落とすだけに留めたのは奇跡的なこと。エバンスは僅か4点差でタイトルを逃したが、最後まで諦めない気概を感じた場面だった。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』/(C)WRC)
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