「育児のマルチタスク能力は時間を作るために役に立つ」
司法試験の勉強には膨大な時間が必要だが、畠さんは仕事や家事をしながらどう勉強時間を確保したのだろうか。畠さんは以下のように述べる。
「1日は24時間もある。6時間寝ても18時間は余る。だったら勉強する時間は絶対に取れるだろうと思っていた。あとは机に座るだけが勉強じゃないので、いろいろな工夫しながら時間を確保していた」
「子どもが4人いるが、上3人が20代の時に立て続けに生まれて、ワンオペ育児だったので、マルチタスク能力は身についたのかなと思う。時間の大切さは、年を取るほどにわかる。もう1分も貴重だったので、マルチタスク能力は時間を作るために役に立つ。例えば、夕飯を何品か作る時も段取りを考えてゴー!という感じで。家事に対しても、なるべく少ない時間で効果を生み出すようにしていた」
これを聞いた三輪氏は、「家事もお皿洗いまで考えながら料理するとか。そういうのが能力を高めていくと思う。今マルチタスクをやっている、あるいはワンオペをやっているママさんの能力を生かしていけば、生産性はとてもあると思う」「私は司法試験に7回落ちているが、今、仕事をして、いろいろなことを同時並行でするようになって、今ならもっと短縮して効率よく勉強できたと思う。社会人としての経験が必ず勉強にも活きてくるし、もちろん家事とか育児とか介護もそうだと思う。例えば、晩御飯のおかずを作る段取りの組み方とか、そういうことだってすごく頭使っているから、必ずそれは活きてくると思う」と語った。
寿司屋の女将としての仕事は、厨房の洗い物、シャリを炊く、まかない作り、出前、シフト調整、予算管理、給料計算、社会保険の申請など労務管理、経理(出納帳)各所への振り込みなどがあるという。畠さんは「法科大学院に入る前はずっとこうした仕事も続けながら、合間を見つけて勉強していた」と語る。
こうした時間の捻出方法で、過去には、ファイナンシャル・プランニング 技能検定1級、行政書士、宅地建物取引士(宅建)の資格も取得した経験もあるそうだ。
そんな畠さんは、年齢は全くハンディキャップを感じなかったという。
「若い人に負けるとか全然思わなかった。最初のうちは長い時間勉強できないが、だんだん暗記力もついてくるし、筋トレと一緒で、どんどん鍛えられていく。なので、いくつから始めたら遅いとか、そういうこともないと思う。全員挑戦してほしいと思う」。
(『わたしとニュース』より)
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