高い生存率「三倍体カキ」 歴史的不漁を救う一手に? 夏場の産卵抑え体力温存
この記事の写真をみる(7枚)

 全国で大量死が相次ぎ、歴史的不漁となっているカキ。死滅を防ごうと、生存率を高めたカキの試験養殖が始まっています。

【画像】通常のカキと「三倍体」の違いは?

原因の一つ「海水温の上昇」か

宮城・女川町で水揚げされたカキ
拡大する

 宮城県の女川町で20年以上カキを育てている高泉元幸さん。2年物のカキの出荷時期を迎えましたが、水揚げしてみると…。

「分かりやすく言うと、死んでいる。他にも株あるが、死んでいる」

 例年10トンほど出荷していますが、今年は3分の1が死に苦しい1年となっています。

名産地の広島・呉市でも歴史的不漁
拡大する

 今年は全国でカキが歴史的不漁となっています。名産地である広島県呉市でも…。

山根水産 山根周志さん
「9割以上が死んでしまっていますね。今までにない量ですね」

香川でも5割~9割のカキが死ぬ深刻被害
拡大する

 瀬戸内海を挟んだ香川県でも、5割から9割が死ぬ深刻な被害が出ています。

 原因の一つは「海水温の上昇」とみられています。

高泉さん
「(カキの)養殖するうえで“限界水温”があるのかな。自分たちの中では暑さに一番強いのが、カキだと思っていた。そのカキが死ぬくらいなので」

「過剰な産卵」要因の一つか
拡大する

 海水温が上がると、なぜカキが死んでしまうのでしょうか。その要因の一つとして考えられているのが「過剰な産卵」です。

 カキは夏に卵を産みますが、この時に大量のエネルギーを消費します。

 近年は海水温が上がったことで、ひと夏に何度も産卵を繰り返し、体力を失って暑さに耐えられなくなっているといいます。

通常のカキと「三倍体」の違い
拡大する

 こうした事態を打開するため、高泉さんは「三倍体」と呼ばれるカキの試験養殖を始めました。

 通常は染色体を2組持っていますが、人工的に染色体を3組に増やされたカキは卵子や精子が作りにくくなるといいます。

「生産安定が一番重要」
拡大する

 三倍体カキは夏場の産卵を抑え、体力を温存することができ、通常のカキより生存率を高めて、身の成長も進むことが期待されています。

「対応して勉強していかなければいけない。生産が安定しないことには加工業者や消費者に安定供給できないので、生産安定が一番重要かなと思っています」

(「グッド!モーニング」2025年12月11日放送分より)

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(7枚)