■専門医が語る後遺症の理由「心の傷はデリートできない」

いじめの過去
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 井出院長は、いじめ後遺症は「過去の出来事」ではなく「今現在苦しんでいる」症状だと強調する。後遺症は心の傷ついた反応だが、「体の警報システムがおかしくなって、体の症状に出る」という点が特徴的だ。医療業界では、いじめ後遺症を数カ月や数年「じわじわと心に傷を受けていった」出来事も原因に含まれる「複雑性PTSD」と呼ぶようになってきた。

 症状のタイムラグについて「体験の前と後で人生が変わってるはず」だと指摘。症状が出る前も、「生きづらさを、(いじめを受けた)あの時以来ずっと抱えていることはほぼ間違いない」とし、「年月が経つと全然消えないばかりか、段々悪くなることもある」「一生涯影響を及ぼし続けることが間違いなくある。これは確信を持って言える」と断言し、その深刻さを訴えた。

■治療法と当事者の願い 傷を癒すのは「寄り添い」
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