17日に臨時国会が閉会し、共産党の田村智子委員長が高市政権などについてコメントした。
記者から高市政権との“論戦”を経た所感を聞かれた田村委員長は「かつてない危険な政権。だけどそれ故に脆さと弱さがもう露呈していることが、わずか2カ月ではっきりと示されたと思っています。最も象徴的なのは、やはり『台湾発言』です。これはもう本当に存立危機事態になり得るということは、台湾海峡で米中が武力衝突という事態になれば、日本は攻撃を受けていなくても自衛隊が中国と戦争することはあり得るという発言ですから、もう憲法違反そのものの発言で、大変危険、断じて許されない。これは日中関係を極度に悪化させていますが、撤回を拒否していると。私は、ここに事態の深刻さを高市首相自身が理解をしていないのではないかと。ですから、打開する展望もない、能力もないと。大変危険かつ脆さと弱さが露呈したと思っています」と述べた。
補正予算については「物価高騰から暮らしを守るという抜本的な政策が何もなく、むしろ大量の国債発行で円安を招き、経済を混乱させている。これは本当に国民の要求と今後ますますぶつからざるを得ない状況になっていくだろうと思います。その意味で、高市政権と本当に一歩も譲らず正面から対立という政党がまさに日本の政治には求められていて、その点で私たち日本共産党が果たす役割がいよいよ鮮明になっていると確信しているところです」と話した。
衆議院の議員定数削減については「政権発足の合意の時から定数削減はまさに邪道の極みということで徹底的に批判してきました。出された法案がなぜ定数1割削減かの目的がない、その説明ができないと。この1点だけでもこの法案の道理のなさが明らかになったと思います。結局は、金権腐敗の一掃、企業団体献金の禁止という求められている政治改革を議員定数削減にすり替えるだけ。しかし、維新の会が言うように、これはもう『社会保障改悪』など進めていくために民意をあらかじめ切り捨てるというものだということも明らかになったと思います。ですから、定数削減はやり方だけでなく中身含めてダメだということで、本当に正面から徹底的に批判してきたのは私たち日本共産党で、今回事実上の廃案とも言える状況に追い込むことができました。昨日の高市首相と維新の吉村代表の会談、その後の会見を見れば、高市首相は議員定数についてはもう法案とも言ってないんですよね。『国政調査を踏まえて選挙制度協議会で議論する』と言っているわけですから、事実上の廃案とも言える状況に追い込むことができた。この点で、国民の皆さんの良識、また私たち日本共産党の頑張り、またこの定数削減反対ということで、他の政党も一緒に集会を開いたりということをやってきた大きな成果だと思っています」と成果を誇った。
自民党と日本維新の会の“距離感”について問われると「高市政権がかつてない危険というのは、まさに維新を取り込んだことによるものだということ、明確になったと思います。元々高市さん自身が自民党の中で言うとかなり右の方で、そしてもう右旋回のハンドルしかない維新を取り込み、排外主義も煽るということですから、ここにこの政権のかつてない危険性が如実に表れていると思います。しかし、これはもう世界の流れとも矛盾するでしょう。トランプ大統領から中国との関係のことで電話もかかってきたと報道されていますし、やっぱり世界の流れは、軍事的対立強めていくことの危険性を多くの国々が見ている状況だと思います。いろいろな紛争の平和的解決の努力もASEANの国々も含めてしている。そうした世界の流れにも反しているし、日本が直面する問題を何一つ解決することもできないという、危険だけどもやっぱり脆くて弱いということがまさに維新との連立によって明確になったと思います」と答えた。
さらに記者から「立憲民主党なども含めて連携を広げるつもりか?」と問われると「高市政権が本当に危険です。維新はもう取り込まれてより右に向かっている。そこに国民民主、公明党も結局補正予算に賛成する。参政党がスパイ防止法だと言って、さらに危険な政治の方向にもっていこうとする。まさに政治を反動的に、憲法を踏みにじる方向に持っていこうとする塊が今作られつつあるわけで、やはり対抗する側も固まって力を合わせることが必要だということを私たちは訴えてきました。この共同はさらに広げなければならないと思っています。れいわさんにも呼びかけていますし、それから立憲民主党の中にも、やっぱり市民と野党の共闘で勝ち上がってきて、安保法制含めやはり危険な流れに立ち向かう方がいらっしゃる。そういう方々も含めた共同にどんどん広げていくことに大いに取り組んでいきたい」と回答した。
「れいわ新撰組の政策責任者との協議があるが、党首同士でも協議を行うか」と問われると「先ほど言った安保法制、大軍拡に立ち向かう確かな共同を、という時に私たちはれいわ新選組にも『ぜひ党首会談を』と呼び掛けてまいりました。まだ叶っていないというところで、まず政策担当者のところで、何か話し合うような場を持とうじゃないかということで、ネットで番組が作られる。私たちはぜひ党首会談をやりたいです。ここまで危険な政権だけども、決して盤石で進めているわけでもないと思うんです。だから、立ち向かっていけば、国民の皆さんにきちんと自民党政治を変えることができる対決軸を示すことができれば、今の政治状況を大きく変えることができると思っています。消費税の問題でも、軍事費を増やしていくことに反対という点でも、れいわさんとは政策一致しているわけですから、ここは大いに議論して一緒に共同していきましょうということを改めて呼び掛けていきたい」と答えた。
れいわ新選組が共産党に対しても批判的な発言が多いことについて問われると「国民の立場に立った時、このまま軍事費どんどん増やしていいのか。長射程ミサイルで、しかも中国名指ししてってことになると、いまだかつてない危機ですよね。かつて特定の国を名指しして、いわば脅威だというようなことは、戦後一度も自民党政権でやられたことがない。これくらい危険な時に、果たして力を合わせなくていいのかってことが問われていると思います。ですから、ぜひ一緒にやりましょうと思います。よく『与党も野党も茶番』と言われる時がありますが、私たちは茶番なんか1回もやってないですよ。そういうことはきちんと意見としても伝えています。政策で違うところがあれば、それは違うものとして議論すればいいと思うんです。ただ、極めて重要な一致点ですから、力を合わせることが今求められているというのが私たちの立場です」と述べた。
(ABEMA NEWS)

