18日の衆議院法務委員会で、旧姓の通称使用法制化について議論が行われた。質問に立った立憲民主党の米山隆一議員は、旧姓の通称使用法制化は、1996年の法制審議会(法制審)で否定されており、やるなら法制審をやり直すべきだと主張した。
【映像】平口法務大臣「法制審への諮問が再度必要になるとは考えておりません」
米山議員は、96年の法制審の答申が現在も有効であることを確認したうえで、「この答申、非常にきちんとした答申で、旧姓を通称使用する、それに法的効力を持たせるという案はすでに検討されている。その中でこう言われている。この中では"呼称"と言うんですが、『"呼称"という概念を民法に導入することになると、その法的性質は何か、氏(うじ=姓)との関係をどのように捉えるかなど理論的に困難な問題が新たに生ずる。さらに、この民法上の呼称は、現在戸籍実務において用いられている呼称上の氏との混同を生じさせ、氏の理論を一層複雑、難解なものにするおそれがある。制度上は夫婦の一方は婚姻によって氏を定めることになるから改めることになるので、個人の氏に対する人格的利益を法律上保護するという夫婦別氏制の理念はここにおいて後退している』こう言われているわけなんです」と説明。
「そんな、もうすでに否定されているものを、これからやるっていうことであったら、もう1回法制審をやるべきだと思うが、大臣のご所見を伺う」と述べると、議場からは拍手も起きた。
これに対し平口洋法務大臣は「これまでも政府は通称使用の拡大に取り組んできたところであり、これによりご指摘の法制審の答申は必ずしも否定されるものではないと考えている。政府としては連立政権合意書の記載を踏まえ、旧氏の使用の法制化について与党と協議しながら必要な検討を行っているところですが、法務省として法制審への諮問が再度必要になるとは考えておりません」と答弁。議場からは「えー」というヤジも飛んだ。
米山議員は「これね、ひどい話で、自らやった法制審を自ら否定する、これが高市政権のあり方ですよ」と納得いかない様子だった。
96年の法制審は、選択的夫婦別姓の導入を答申している。自民党と日本維新の会との連立政権合意書では、「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指す」と記載されている。(『ABEMA NEWS』より)
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