自画自賛と前政権批判が“早口”に…支持率低迷にトランプ氏の焦り 揺らぐ岩盤支持層
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アメリカのホワイトハウスでは17日、いまのアメリカを象徴する2つの出来事がありました。

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1つは全国民に向けた大統領演説。

もう1つは、歴代大統領の肖像画が飾られた廊下の改装です。各大統領についての説明文が付け加えられました。一見すると、その功績を讃えているように見えますが、明らかに異質なものがあります。

オバマ元大統領の説明文
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オバマ元大統領の説明文
「バラク・オバマは初の黒人大統領です。彼は、後継者として、ヒラリー・クリントンを選んだが、ドナルド・トランプに敗北しました」

バイデン前大統領にいたっては、肖像画すらなく、こう書かれています。

バイデン前大統領の説明文
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バイデン前大統領の説明文
「寝ぼけたジョー・バイデンは、アメリカ史上、ずば抜けて最悪の大統領です。国家を壊滅寸前に追いやりましたが、トランプ大統領が圧勝して再選し、アメリカを救いました!」

ビックリマークや大文字で強調された箇所
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文中には、ビックリマークや大文字で強調された箇所が。トランプ大統領が、SNSに投稿するときによく目にするものです。

NNホワイトハウス担当 コリンズ記者C
「“名誉の通路”に追加された説明が、まるでSNS投稿です。『史上最大の分断を招いた』とされたオバマ大統領。一方のレーガン大統領の説明文を『長年のトランプファン』とあります。トランプ氏、自ら、これらの原稿を書いたそうです」

歴代の大統領すら利用し、民主党政権批判に躍起になるトランプ大統領。その姿勢が、演説にも色濃く表れていました。

アメリカ トランプ大統領
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アメリカ トランプ大統領
「前政権と、そのお仲間議員らは、国庫から何兆ドルも奪い、あらゆる物価をかつてないほど高騰させた。私が、その物価を、あっという間に引き下げたんだ。バイデン政権時、実質賃金は3000ドルも暴落したが、トランプ政権で、工場作業員の賃金は1300ドルに増額。建築作業員も1800ドル上がった。石炭産業の復活で、炭鉱作業員の賃金は3300ドルも上がった。いいか、賃金がインフレよりも、ずっと早いペースで上がっている。すごいだろ」

時刻は東部時間の17日午後9時過ぎ、視聴者が最も多い、プライムタイムの全米中継です。短い時間に、民主党批判を詰め込んだ演説でした。

複数のアメリカメディアの評価
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早口で墓穴を掘ったというのが、複数のアメリカメディアの評価です。

ワシントン・ポスト
「大統領の早口で厳しい口調は、国民が自分を評価してくれないことを叱責しているように聞こえた」

CNN キング政治主任記者
「規定の時間が15分だったので、演説が早口になったのか。怒っているかのような場面もあった。『なぜ演説を』と不満げでした」

CNN政治コメンテーター アンダーソン氏
「『あなたの痛みは感じている。何とかするので時間をください』。そう伝えるべきだったのに『私はすごい』という内容だった。しかも、1.2倍速で聞くポッドキャストのようでした 」

世論調査
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大統領就任から間もなく1年を迎えるなか、各社が世論調査を行っていますが、トランプ大統領を強く支持する人の割合が、2割前後まで落ち込んでいます。これは、トランプ政権の一番の強みだった岩盤支持層の弱体化を意味しています。

FOXニュースの調査
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FOXニュースの調査では「現在の経済状況の責任がトランプ氏にある」と答えた有権者が6割を超えています。この1年、ずっとバイデン政権に責任を転嫁する発言を続けてきましたが、それも限界がきています。

いまは、クリスマスシーズン。家族での集まりやプレゼントを贈る機会が増え、出費がかさむ時期です。国民が、物価高の影響をより肌身に感じるタイミングでもあります。

国民の声です。

国民
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「みんな支出に気を使っています。プレゼントをあげる相手が多いと、1人分は少なくなるし、全体予算も、年々、少なくなっています」
「物価高は感じます。学校でプレゼント交換をするのですが、予算は変えてないのに、プレゼントが小さくなっています」

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