■「マスコット採用」か「異質な視点」か
2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、企業による哲学者の起用を「ある種のPR活動」と分析し、次のように切り込んだ。「Googleのような会社が『悪いことをしない会社ですよ』とアピールするために、綺麗な経歴の人や倫理の人を雇うのは、PRとして大事な『マスコット採用』だと思っている。エンジニアが判断したと言うよりも、権威のある人が客観的に判断したと言うほうが、儲けだけではないというエクスキューズになるからだ」 。
一方で、ひろゆき氏は哲学者の「職能」として別の価値も提示した。「会社でずっとやっていると『一般人ってこうだよね』と自分の考えが正しいと思い込みがち。最初から(視点や考え方が)ずれている哲学者が混じっていることで、『あれ、本当にそうなんだっけ?』と見返す場面が生まれる。権力者に対して何でも言っていいという、伝統的なピエロと同じ仕事をしているのではないか」 。
森脇氏もこの論には同意しつつも、「AI時代の責任などの話になった瞬間、哲学者が『まともな人間であること』を強制される。不適合な役割として面白い立ち位置にいたはずなのに、社会問題に対してお墨付きを与えるような『いい人』になりすぎているのではないか」と、企業に取り込まれる哲学者の在り方に疑問を呈した 。
■「監査役としての有用性」と哲学者の展望
