【写真・画像】官邸関係者「核を持つべきだ」発言受け、木原官房長官に質問集中「今後、核保有・核共有を検討する?」「発言の撤回を指示する?」 回答は 1枚目
【映像】「核共有」に言及する木原官房長官(実際の様子)

 高市政権で安全保障政策を担当する官邸関係者が、オフレコを前提にした記者団による非公式取材の場で、個人的な見解としたうえで「私は核を持つべきだと思っている」と述べ、日本の核兵器保有が必要だとの考えを示した。このことについて波紋が広がっている。

【映像】「核共有」に言及する木原官房長官(実際の様子)

 19日の会見で、木原稔官房長官に記者団からの質問が集中した。

 記者は官邸関係者の発言について「従来の政府見解とは異なる認識ですが、日本の安全、安全保障政策に影響のある立場の人物で『核兵器を保有すべきだ』との発言、どう捉えていらっしゃいますか? また、諸外国に対しても誤ったメッセージになりかねない状況ですが、発言した幹部の起用を続けますか?」と質問。

 木原官房長官は「報道については承知をしておりますが、個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきます。政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持しているということは申し上げておきます」と答えた。

 続けて別の記者が「中谷元・前防衛大臣は今日この発言について『然るべき対応をすべきだ』と述べました。発言の撤回を指示されますか?」と聞くと、木原官房長官は「繰り返しになりますけども、個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控えます。改めて、政府として非核三原則を政策上の方針として堅持しています」と述べた。

 官邸関係者の発言に関する質問はなおも続く。

 記者が「確認ですが、政府として今後核保有を議論するお考えはありますか? また、核兵器の米軍と共同運用する核共有を検討する考えがあるかもお伺いします」と質問。

 これに木原官房長官は「非核三原則についての立場は度々今お答えした通りでありますが、戦後、我が国は一貫して国際社会の平和と繁栄に貢献してきておりまして、こういう立場に変わりはございません。また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、国際社会と緊密に連携しながら、核兵器のない世界の実現に向けて、NPT(核兵器不拡散条約)体制を維持・強化するための現実的かつ実践的な取り組みを進めていく考えです。核共有というご指摘もありましたが、政府としては、一般に、いわゆる核共有は、平素から自国の領土に米国の核兵器を置いて、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な体制を保持することによって、自国との防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと考えられていると承知をしております。核共有については、仮に先ほど申し上げたような枠組みを指すのであれば、政府としては、非核三原則や原子力基本法をはじめとする法体系との関係からこれは認められないと、そのように考えております」と答えた。

 さらに記者が「核兵器の健康被害の非人道性について、政権としてどのように捉えていますか? また、被爆者が求める核兵器禁止条約へのスタンスについてもお伺いします」と質問。木原官房長官は「核兵器は人類に多大な惨禍をもたらしうるものであり、将来二度と使用されることがない、核兵器のない世界に向けた国際社会の取り組みを主導していくことは、唯一の戦争被爆国である我が国の使命であると考えています。核兵器禁止条約への対応については、国際社会の情勢を見極めつつ、我が国の安全保障の確保と核軍縮の実質的な進展のために何が真に効果的かという観点から慎重に検討する必要があると考えております」と答えた。

 高市総理大臣に安全保障政策についてアドバイスする立場にあるこの官邸関係者は、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなかで、日本としても核兵器の保有について議論する必要があるとの考えを示し、「私は核を持つべきだと思っている」と発言していた。

 高市総理は、核兵器を持たないなどとする非核三原則の運用の変更について、現時点で政府として検討していないとの認識を示している。
ABEMA NEWS)