「核を持つべき」官邸関係者の発言に波紋…野党は更迭を要求 与党内からも批判の声
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安全保障政策にかかわる総理官邸の関係者が「核を持つべき」と発言したことで波紋が広がっています。木原官房長官は定例会見で「非核三原則を政策上の方針として堅持している」と繰り返し、火消しに追われました。

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官邸関係者“核保有”発言で波紋

被爆者は怒りをあらわにしています。

日本被団協 田中重光代表委員(85)
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日本被団協 田中重光代表委員(85)
「もう本当、戦争のこと、原爆・核兵器のこと知らなすぎるというのかな。80年前、広島・長崎で人々がどんなに苦しんで死んでいったか」

高市総理に安全保障政策についてアドバイスをする立場にある、官邸関係者の18日の発言。

官邸関係者(安保政策担当)
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官邸関係者(安保政策担当)
「私は核を持つべきだと思っている」

安全保障環境が厳しさを増すなか、日本も核兵器を保有すべきとの考えを個人的な見解として示しました。発言は、公表を前提としない記者団の取材の場で出ました。

木原稔官房長官
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木原稔官房長官
(Q.日本の安全保障政策に影響のある立場の人物が、核兵器を保有すべきと発言したことをどう捉えるか)
「報道については承知をしております。が、個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控える」
(Q.発言の撤回を指示する考えは)
「個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控える。政府として非核三原則を政策上の方針としては堅持している。戦後わが国は一貫して国際社会の平和と繁栄に貢献をしており、こういう立場に変わりはございません」

野党は更迭を要求

野党は、この関係者の更迭を求めています。

公明党 斉藤鉄夫代表
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公明党 斉藤鉄夫代表
「官邸の安全保障・核軍縮を担当する幹部から、このような発言が出た。許せない思いでいっぱい。罷免(ひめん)に値する重大な発言だ。適格性に欠いている」

共産党 田村智子委員長
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共産党 田村智子委員長
「唯一の戦争被爆国の政府高官から、こういう発言が飛び出した。断じて許されない。きっぱりと罷免すべき」

さらに、こんな見方も。

立憲民主党 野田佳彦代表
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立憲民主党 野田佳彦代表
「高市総理の『非核三原則』見直し論も、こういう人のつぶやきも影響しているかもしれない」

『安保3文書』改定 目指す中…

核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」。歴代の政権が踏襲してきた非核三原則。この原則を「堅持する」と盛り込んだ安保3文書について、政府は来年中に改定する見通しです。

れいわ新選組 櫛渕万里共同代表
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れいわ新選組 櫛渕万里共同代表
「『非核三原則を堅持する』文言は『堅持する』でよろしいですね」

高市早苗総理大臣
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高市早苗総理大臣
「戦略3文書の見直しについては指示をしたところです。これから作業が始まります。今、断言する、このような書きぶりになると、私の方から申し上げるような段階ではございません」

先月の国会で、こう語っていた高市総理。ただ「持ち込ませず」を見直す必要性については、総理就任前に繰り返し言及していました。

高市早苗総理大臣(2022年)
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高市早苗総理大臣
「『持ち込ませず』については、政府が従来から国民の安全が危機的状況になった時に非核三原則をあくまで守るのか、それとも『持ち込ませず』について例外を作るのか、その時の政権が判断すべきことで、将来にわたって縛ることはできないという立場を述べています。『持ち込ませず』の例外を作るかどうかについて議論を封じ込めるべきではないと考えています」

ただ、核兵器を「持つ」となると、次元はまったく異なります。

与党内からも批判の声

自民党からも。

中谷元前防衛大臣
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中谷元前防衛大臣
「政府の立場として、個人的な意見を軽々に言うことは控えるべき。その発言が公になった以上、しかるべき対応をしなければいけない」

自民党中堅議員
「辞任不可避でしょう。日中関係がこじれている真っただ中で、中国からすれば『ほらみたことか。日本は危ない』と世界に吹聴する材料を与えてしまった」

その中国はさっそく。

中国外務省 郭嘉昆副報道局長
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中国外務省 郭嘉昆副報道局長
「中国は関連報道を注視している。関連情報が事実であれば事態は極めて深刻だ。一部の日本人が国際法を突破し、核を保有する危険な企てが判明した。中国と国際社会は必ず警戒し、深く懸念しなければならない」

世界で唯一の戦争被爆国である日本。長年、核廃絶を訴えてきた被爆者は。

広島県被団協 佐久間邦彦理事長(81)
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広島県被団協 佐久間邦彦理事長(81)
「核を持って世界を支配すること自体、間違いだと言い続けています。相手が核を持てば、こっちも核を持つ。対等でなければ話ができないということになる。そうしたら際限のない軍事になる」

日本被団協 田中重光代表委員
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日本被団協 田中重光代表委員
「絶対、核兵器で武装する考え方はなくしていかなければならない。私たちが80年間、努力してきたことに水を差すわけですから。人の気持ちを何と思っているのかと思いますね」

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