
日本のそばが、世界で魅了されている様子をお伝えしました。外国人観光客には、短時間で出てくるそばはありがたい存在になっている様子。さらに追跡すると、外国人がそばを楽しむ中で驚きの展開が!
世界的なそば人気…有名チェーンにも異変
東京・新宿区にある「思い出横丁」。ここに世界に知れ渡るそば店があります。カウンター8席の「かめや」です。
注文から1分ほどで出てくるそばは、観光に忙しい外国人にはありがたい存在。1日およそ500人もの外国人が来店するというから驚きです。
アルゼンチンから来た人
「アルゼンチンではラーメンが大人気だけど、そばはないから食べてみようと思った」
外国人の一番人気は、のどごしの良いそばに温泉玉子、かき揚げをトッピングした「天玉そば(560円)」です。
ドイツから来た女性たちは、こう話します。
ドイツから来た女性
「おいしいです」
「注文したらすぐ出てくるし、とても安い。素晴らしい」
「(Q.どこでこのお店を知った?)会社の同僚にすすめられて来た」
実は、2人は航空会社のキャビンアテンダント。世界を飛び回る彼らの間で、横丁のそばは有名なようです。
見れば、持ち込んだコーヒー片手にそばをすすっていました。
ドイツから来た女性
「(Q.そばにコーヒー?)コーヒーとそばの組み合わせで、体が温まった。最高」
世界的なそば人気を受けて、有名チェーンにも異変が起きています。
今年、外国人を狙った新メニューが登場。肉厚の牛カツをのせた冷やしそばです。外国人に人気の「カツ丼」を意識したよう。
マレーシアから来た人
「一番好きな日本食はラーメンだった。そばのほうが好きになった」
“9割”にこだわる理由
所変わって、東京・調布市の深大寺。この地のそばは「深大寺そば」と呼ばれ、名店が集まっています。
秋口にとれる新そばを求めて、多くのお客さんが詰めかけていました。
創業して31年になる「湧水」。この日、中国やベトナムから来た留学生たちが、一心不乱にそばをすすっていました。
中国から来た人
「ニッポンに来て食べた中で一番おいしい」
使用するそば粉は、香りの高さに定評がある群馬県赤城産。珍しい9割そばです。
湧水 店主 児玉友輔さん
「“10割そば”は食べにくいという人もいる。つなぎを入れて“9割そば”にしている。9割ってあまりないかもしれない」
つなぎを使わない10割そばより、切れにくく食べやすい9割そば。そばの風味はできるだけ残したいと、9割にこだわりました。
お店の一番人気は、9割そばの天盛り。盛り合わせの天ぷらはエビやカボチャなど6種類が楽しめます。
アメリカのロサンゼルスから仕事で来た女性。
アメリカから来た人
「(Q.ロスに日本そばはない?)あるけど、すごく高い店しかない。これだったら少なくとも3000円から4000円」
カナダから来た夫婦。
カナダから来た人
「そばを作って食べたことがある」
そばに興味があった旦那さん。カナダのスーパーで買って作ってみたといいます。
カナダから来た人
「YouTubeを見ながら作ったけど、そばをゆですぎてしまっておいしくなかった」
日本で本格的なそばを食べるのが夢でした。すると、YouTubeでしか見たことがないというそば湯を初体験。
カナダから来た人
「そば湯は飲んだことがない」
妻
「お湯を入れる量を分かっている?」
取材スタッフ
「お好みで大丈夫」
カナダから来た人
「おいしいです。温かくて優しい味で、風が冷たいこんな日にはホッとする。もう一回そばを作ってみようかな」
外国人も驚き「“そばの仏様”がいるとは…」
深大寺には、そばにまつわるこんな場所があります。やって来たのはニュージーランドから来た夫婦です。
ニュージーランドから来た人
「ニュージーランドのオークランドでは、そばはラーメンに次ぐ人気の日本食」
こちらは、その名も「そば守観音」。左手には「そばの実」、右手には「そばつゆが入ったとっくり」を持っています。
実は、この土地は米作りに不向きだったため、そばが重宝されてきました。「そば守観音」のもとには、そば店の店主が商売繁盛を願ってお参りに来るといいます。
ニュージーランドから来た人
「“そばの仏様”がいるとは思わなかった」
知る人ぞ知るお店に外国人の姿
観光地とは言い難い場所なのに、外国人が増えている穴場のそば店もあります。
東京・台東区にある「浅草橋 百そば」です。知る人ぞ知るお店にもかかわらず、外国人の姿があります。
中国出身の男性が食べているのは、鼻に抜ける山ワサビを降らせた「雪板蕎麦」です。
中国出身の男性
「そばはヘルシー。食べるとスッキリする」
そば粉は名産地の長野県産を使用。そばつゆには5種類の削り節をブレンドしています。
そばのだしと砂糖で甘めの味付けにした牛肉。外国人が好む「すき焼き」を盛り付けたような「温玉牛すき肉蕎麦」は人気の一杯です。
「名物鶏天蕎麦」は、鶏天が5つも入ってボリューム満点です。
オーストラリアから来た4人組。
「オーストラリアで食べるそばには、これほどのうまみがない。この店のだしにはもっと深みがあります」
「僕はつけそばを頼んだ。肉は多め」
男性が頼んだのは「肉つけ蕎麦」。追加料金さえ払えば、豚バラ肉を増やすことができます。
オーストラリアから来た人
「たれに豚肉のうまみも感じられて、深い味わい」
とここで、驚きの光景が…。なんと「そばつゆ」を豪快に飲み始めました。
「(Q.ラーメンのスープのように飲む?)そうだけど…飲み干さないの?」
「オーストラリアでは、よく飲み干す」
本当かどうかは分かりませんが、そばつゆを飲み干していました。
「本当においしいよ」
それにしてもなぜ、知る人ぞ知る浅草橋のそば店に外国人が?
百そば 店主 市位清明さん
「なんでしょうね…ちょっと分からない、理由が。外国語を巧みにしゃべれるわけではないので」
外国人に聞いてみました。
「そばが食べたくなって、泊まっているホテルの近くに店がないか調べてやってきた」
実はここ浅草橋は、人気観光地の浅草や上野などにアクセスしやすい場所のため、宿泊施設が増加。この街を拠点にする外国人が増えているそうです。
ヘルシー志向の外国人に人気のそばも
渋谷のスクランブル交差点近くに建つ複合施設。この中に、一見するとそば店だと分からない人気店があります。
隠れ家的な雰囲気の「半笑」。世界が注目するお店です。
カザフスタンから来た人
「(Q.どうやって見つけた?)Googleマップで見つけた。評価が4.5だった」
そば粉は季節によって変えるこだわり。こちらが名物、大根おろしや天かすをのせた「名物 天おろしそば」です。
そばに付く天ぷらは、エビとシシトウ。そばの実を粗びきにしているため、風味と香りが違います。
世界が注目するキッカケがあったといいます。
玉笑 店主 浦川雅弘さん
「フランスでしか出ていないミシュランのフランス語版か英語版に載っていた」
実はここ、世界的グルメガイド「ミシュラン」に何度も掲載されているそば店「玉笑」の姉妹店なのです。
こだわりのそばつゆは、最高級の鰹節をじっくりと煮詰めてだしをとっています。そこに、フランベしてうまみを引き出したみりんなどをブレンド。スッキリしているけど、深い味わいに仕上げています。
アメリカから来た人
「このそばつゆ、すごくおいしい。食べてみて。どう?おいしいでしょ?」
「すごくおいしい」
こちらは、ヘルシー志向の外国人に人気の「豆腐そば」。甘味がある茶豆豆腐を大胆に乗せた一品です。
アメリカから来た人
「私はベジタリアンだから豆腐をよく食べる。そばと豆腐の組み合わせは気に入った」
かっぱ橋で、そば打ち体験も
なんとあの「かっぱ橋」でも、そばが食べられるといいます。そば打ち体験ができる「楽常」です。
シンガポールから来たグループ
「素晴らしい」
「シンガポールには日本レストランがたくさんあって、そばをよく食べているから作ってみたかった」
自ら作ったそばは、その場で食べられます。角煮を入れ、ラーメン風のそばに仕上げました。こちらの体験は5700円から。
シンガポールから来たグループ
「シンガポールで食べるそばは、つゆがすごくしょっぱくて飲めない。このスープは飲めるから、かなり楽しめる」
「次は、このスープの作り方を学びたい」
そば愛に目覚めた外国人 きっかけは?
神奈川県逗子市には、そば愛がスゴすぎる外国人がいました。
逗子駅から徒歩1分の場所にある「石臼そば」。25年前に創業したこのそば店。実は…。
初来店
「初めて入ってきた時、ビックリした。あれっ?日本人じゃないんだ」
常連客
「普通の日本人のおそば屋さんよりおいしい」
店主は、バングラデシュ出身のチョウドリさんです。29年前、留学生の時にそば愛に目覚めたそう。
きっかけは“のどごし”を知ったことだそうです。
石臼そば 店主 チョウドリさん
「(Q.のどごしは、いつ分かった?)食べているうちに。外国人はかむ。スルッと飲めない」
「(Q.飲んだ時にたまたま?)そうそう、スルッとした新しい発見だと思った。(味の)深さや(そばの)ザラつきがよく分かる」
そばは“通好み”。のどごしが良く、風味が豊かな「外一そば」を使っています。
のどごしにこだわってきた、チョウドリさんならではのチョイスです。
常連客
「のどごしがツルッとして、おいしい」
初来店
「冷たいそばのほうが普通はそばの香りがするけど、温かいそばでも香りがすごくておいしい」
このお店には、チョウドリさんならではの「オリジナルそば」もあります。
常連客
「初めて食べたけどおいしかった」
バングラデシュのスパイスを使った「カレーそば」です。
常連客
「スパイスの感じと、かけつゆの甘さが寒い季節にめっちゃそそる」
実はチョウドリさん、「辛いのは食べられない」と話します。
なんと、カレーは苦手なのだとか。でも、お客さんの要望に応えて作ったそうです。
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