
市街地にたびたび姿を現すクマ。住民の生活を脅かす事態に、陣頭指揮をとった警察官が感じた“異変”です。
警察署長が感じた異変は?
盛岡市の中心部にある河川敷を縦横無尽に駆け回るクマ。地元警察が総力を上げてクマを追いかけます。この現場の最前線で陣頭指揮に当たるのが…。
盛岡東警察署 吉田知明署長
「現在も富士見橋北方100メートルの地点、東岸沿いをゆっくり歩いている」
盛岡東署の吉田署長です。なぜ、クマがいる危険な場所で、警察署のトップ自ら直接指示を出したのでしょうか?
「署長から各局、今岸に上がった。現在も北に向け走っている」
住民への被害を出さないため、市街地で警察官がとった行動は?
「こういった中心市街地にクマが出没するのは過去に聞いたことがない。異常な事態と感じている」
クマと対峙した警察署長が感じた“異変”を伝えます。
クマが出没したのは、盛岡東署のすぐ近くを流れる、中津川の河川敷。岩手県庁や盛岡市役所もある官庁街です。
今回、番組は、岩手県警の盛岡東署に取材を依頼。年の瀬の業務にあたる吉田署長がインタビューに応じてくれました。
「(Q.当時は警察署に?)朝出勤して、当直から盛岡市役所の裏にクマが出没しているとの報告を受けた。すぐに無線機とメガホンを持って、現場臨場して指揮を執った。すぐに」
当日の午前6時ごろの映像です。早朝から市街地での目撃が相次いでいました。
なぜ、吉田署長は現場に自ら行くことを決断したのでしょうか?
「当直体制で限られた人員が現場に行っているだけだった。現場を指揮する者が当時いなかったので、私が直接現場へ行った。出没現場が中心市街地でもあり、ちょうど通勤時間帯と重なっていた。人的被害防止のためにもすぐ臨場しなければという思いで」
目の前にクマ 緊迫現場で何が?
通勤時間帯の午前7時半ごろの映像では、すでに、河川敷の周辺で警察官がクマの捜索にあたっています。吉田署長もすぐさま河川敷へ。
「(Q.出た時間は?)午前7時15分ごろだったと思う。本当は午前9時から(勤務)だが、毎朝早く出勤していて」
「こちらが盛岡市役所。すぐ裏の河川敷」
クマは河川敷の茂みに逃げ込んでいました。
取材カメラが到着した午前9時ごろ。川沿いには黄色い拡声器を持った吉田署長の姿が。その30分後、クマが現れます。盾を持って警戒していた警察官が、即座に動きます。
クマが橋の下へ移動した直後、吉田署長が警察無線で指示を出します。
「署長から各局、与の字橋の下、今出ました」
クマは河川敷の茂みを駆け抜けます。この時、吉田署長は橋の上からクマの動きを確認していました。
「間近でクマを目撃したのは初めて。緊張感があった。本署に無線で順次、署員を応援させるように。パトカーをできるだけ多く配置、交通規制に当たるように指示した。課の垣根を越えて多くの署員を出動させるよう指示」
署長の指示を受け、警察官が続々と現場に駆け付けます。クマは、住宅が立ち並ぶ上流のほうへ移動。陣頭指揮をとる吉田署長は、「与の字橋」から「富士見橋」へ。周辺にいる警察官に状況を伝えます。
「現在も富士見橋北方100メートルの地点。東岸沿いをゆっくり歩いている」
河川敷沿いは住宅街のため、クマが上がってきた場合、被害が出る恐れが。
「現在も東岸沿い、ゆっくり歩いている」
警察
「現在、避難呼び掛け中」
上流の橋でも、被害を未然に防ぐ対応がとられていました。
「緊急銃猟が難しい場合はいろんな対応を。例えば、麻酔吹き矢の使用、 箱わなの設置、追い払い。現場の状況を踏まえて対応する」
クマはその後、住宅街のほうへ。警察官が警戒を続け、被害は出ませんでした。
「引き続きクマ出没には関係機関と連携して、人的被害が発生しないようしっかりと対応していきたい」
