■男性の感染者が大半 早期発見・治療でコントロール可能に
感染を知った当時は「絶対にHIVのことを知られてはならないと思っていた」そうだ。「ゲイのコミュニティー内でも『HIVになったら終わり』『あいつはHIVらしい』といったウワサが広まり、差別を受けることがあった。いまは知識が広まってきたため、カミングアウトしても大きな影響はないと感じている」。
時代の流れもあり、約5年前に「そろそろ公表して生活したい」と、まず歯科医院を訪れたところ「HIVを持っているため治療できないと拒否された」と明かす。「『お医者さんなのにHIVのこと知らないんだ』とショックを受け、もっと周囲や医療職に知ってもらいたいと、名前と顔を公表して活動するようになった」。
歯科に伝えた理由としては、「1つは適切な医療を受けたかったから。もし治療上の配慮や、気をつけた方が良いことがあれば、教えてもらいながら治療を受けたい。もう1つは、僕より先に顔や名前を出して活動していた人たちに勇気をもらったから。もっとオープンに生きたいと思った時に、歯医者さんならわかってもらえるのではと希望を持っていたが、拒否されて残念だった」と話す。
南和行弁護士は、「HIVの感染経路は自己申告のため、実際は『同性間の性的接触』はもっと多いのではないか。やはり自分からは言いづらく、『異性間の性的接触』と答える人もきっといる」と推測する。「日本社会では『HIVはゲイや、男性同士で性的関係を持つ人たちの病気だ』との誤解が広がりやすい。ただ、ほとんどが男性同士の性的接触の中で回っていることには、向き合わないといけない」。
なぜ同性間の成功による感染が多いのだろう。福正さんは「自分の経験から言うと、男性同士だと、体を傷つけ合う、体温を交換するようなリスクの高い性行為をしてしまうのではないか。例えば、性器がぬれるなど、何も使わなくてもスムーズに挿入できる機能が男性同士にはない」と考える。
田沼氏が、HIVのいまを語る。「早く見つけて、早く治療して、薬を飲み続けていれば、エイズにはならない。もう死なない病気になった。これだけは伝えていきたい」。
(『ABEMA Prime』より)

