住宅の目の前を歩く巨大なクマです。仙台では、先週から毎日、体長1メートルを超えるクマが目撃されています。
【画像】巨大ヒグマが鉄製のごみステーションを力任せに押す様子
年の瀬もクマ出没
大都市・仙台の市街地をのそのそと歩く大きなクマ。23日、住宅の防犯カメラが捉えた映像です。
12月下旬、すでに冬眠の時期に差し掛かっている中、クマが住宅の前を堂々と通り過ぎる異様な光景。
石川県立大学 大井徹特任教授
「体長は1.2～1.5メートルありそう。体重はおそらく70～90キロ程度。成獣と言っていい。今回映ったクマは結構大きいので、攻撃的になった場合には十分人を傷つける能力を持っている。注意が必要」
成獣とみられるクマが出没したのは、仙台市宮城野区。JR仙台駅近くの住宅が立ち並ぶ市街地の中心部です。
仙台市では毎日クマの目撃情報があり、緊迫の事態が続いています。
29日、クマが出没したのは仙台市泉区の公園です。周辺の市街地では、今月22日から29日にかけてクマの目撃情報が20件以上も相次いでいます。
住宅街を流れる川でもクマが出没。その様子を捉えた防犯カメラの映像では、3日前の午後10時ごろ、体長およそ1メートルとみられるクマが川の茂みを歩いています。
クマが去った後、すぐ近くには食べられた形跡がある鳥の死骸があったといいます。
タクシー恐怖…突然クマが！
タクシーの運転手も市街地でクマと遭遇しています。
仙台タクシー 大友義彦常務
「実車中に走行中に（クマが）目の前を通り過ぎたと。大きさは1.5メートルくらいのクマだと聞いている」
ドライブレコーダーが、大きなクマの姿を記録していました。4日前の午後11時半ごろ、客を乗せて市街地を走るタクシー。その目の前に、暗闇から突然、クマが飛び出してきます。体長は、およそ1メートル50センチ。あわや衝突の危機です。
大友常務
「結構速い。ちょっと入った所はすぐ住宅地」
クマが横断したのはバス停もある市街地の道路です。近くには、仙台土木事務所があり、その隣にグラウンドにはクマの足跡がくっきりと残っていました。大きさはおよそ20センチ。クマが現れたことを受け、注意を呼びかける貼り紙がされています。
市街地の中心部で相次ぐ、クマの出没に住民たちは。
近隣住民（70代）
「もう70年以上住んでいるが、来たこと自体が信じられない」
「注意しろと言ってもどうしようもない」
タクシー会社は、乗務員に注意を呼びかけています。
大友常務
「安全運転が第一。夜間は若干スピードを控えめにするように日々指導はしている」
冬眠しないクマ 被害どう防ぐ？
クマの出没は静岡県でも。市街地にあるフェンスを乗り越えるクマ。27日、近くでクマの足跡が確認され、パトロールをしていた市の職員が撮影しました。クマの体長は、およそ1メートル50センチです。
なぜ、冬眠の時期に市街地の中心部での出没が相次いでいるのでしょうか？
大井特任教授
「小さいクマばかりではなく、大きな成獣のクマも人里の中の環境に順応している可能性がある。市街地の中の餌（えさ）に依存し始めて、餌をあさっているうちに市街地の中に迷い込んでしまったクマ」
専門家は、クマが川を移動して市街地の中心部にまで来ているとみています。
「クマの生息地から市街地の中心に流れ込む川がある。そういった立地条件なども考えて、これからクマの対策をする必要がある。生ごみやペットフードなどクマの餌になる物を家の外に放置しないなど、クマを引き寄せない対策が必要」
これは、ヒグマによって破壊されたごみの集積ボックスです。市街地に餌があることを学習したクマは、繰り返し出没する恐れがあります。
クマの被害を防ぐため、対策をとっている地域を取材しました。北海道斜里町の市街地に設置されているのは、鉄製のごみステーションです。
知床財団 普及企画係 萱野真未係長
「餌を荒らされないように、ヒグマに対応できるごみステーションを設置した」
旭山動物園での実験映像では、飼育されている巨大なヒグマが鉄製のごみステーションを力任せに押しています。本体の重さは、およそ250キロ。さらに、900キロの底板とがっちり固定されているのでびくともしません。
シティ環境 澤口和人常務
「中にも骨組みを入れて外から押しても形が崩れない作り。扉も閉まると開かない」
「クマがごみを食べる前に食べさせない工夫。一定の距離を保って生活していく工夫が必要」
メーカーによりますと、現在、北海道と栃木県で設置されているといいます。
