■ YouTube再生数が激増、2025年参院選「17億回」の衝撃

2025年参院選関連動画再生数
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 ネット選挙解禁当初はFacebookやブログが主流だったが、現在はYouTube動画での視聴が急増しているという。YouTube動画の調査を行う選挙ドットコムの伊藤氏は、2025年の参院選におけるYouTubeの選挙関連動画の総再生数について、驚きのデータを提示した。

「2024年、大きな分岐点となったのが都知事選、衆院選、兵庫県知事選。一番多かったのが都知事選の4億6667万回超で、いわゆる石丸伸二氏の“石丸旋風”が影響した。今年はどうなるかと思っていたが、2025年の参院選は合計17億4823万回超で都知事選の4倍超え。非常に皆さんが見る割合が増えて、再生数が増えている状況だ」(伊藤氏、以下同)

 注目すべきは、その発信主体の内訳だ。政党による発信は7.3パーセント、候補者は2.8パーセント、残りの89.3パーセントが「第3者」による発信となっている。「第3者とは、政党と候補者以外の方が投稿されているもの。中にはネットメディアやテレビ、新聞社が立ち上げているもの、また、第3者のいわゆる切り抜き職人のような方たちが投稿されているものも含まれる」

 なぜここまで激増したのか。伊藤氏は「情報を取得する源として、今までのマスメディアだけでなく、ネットメディアが使われてきていることもある中で、選挙の情報についてもここで探す方たちが増えてきている。見る事も増える。これはアルゴリズムがあるので、一度選挙に関するものを見ると、関連動画としておすすめに出てくるので、それをどんどん見ていくということに繋がっている。そうした中で、第1次発信だけでなく、第3者発信の中にはテレビ番組や街頭演説を切り抜いたものなどいろいろあるが、再生産し拡散する動きが参院選で進んだ。これは不可逆的に今後も進んでいくのではないか」との見方を示した。

 一方で、政党や候補者発信の動画については、割合が低いように見えるが、過去と比べると増えてきているという。「1次発信に取り組む政治家や政党も増えてきているので、その辺りは有権者にとってもいい素材になっている。一次情報を発信すれば、誹謗中傷やデマに対しての打ち返しの素材として使える面もある。量が増えてきた分、質を上げていく動きにも繋がっていくとさらに良いと思う」「政治家や候補者にとってはやって当然という世界になってくる」

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