■ 高市総理が「一強状態」 ネットが動かす数百万票の威力

「国政政党」と「高市早苗」氏の関連動画再生数(2025年7月〜11月)
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 こうしたネット上での存在感において、圧倒的な数字を見せているのが高市早苗総理だ。

 伊藤氏も驚いたというデータによると「2025年7月頃に一番Youtube動画の再生数が多かったのは参政党の動画。これは参院選での躍進にあわせてグッと伸び、1週間平均で約1.5億回だった。高市氏が総理総裁に就任した10月末辺りには、高市氏の関連動画の1週間平均が4.5億回を超える水準に達した。それに釣られる形で自民党の動画も上がっている」という。

「高市氏の動画は政党を凌駕するくらいの一強状態になっていることがすごく興味深いデータ。元々、高市氏という政治家はネット発信力が強い方。ネットで情報を得る方たちが高市氏の支持層に多いこともあり、そういった方たちが見る回数も増え、総理になったことで会見なども増え、切り抜くための素材も増えた事も影響している」

 では、こうしたネットの影響力が実際の票数にどの程度結びついているのか。

 伊藤氏は「例えば、目安として『500万票』というのが1つあると思っている。参政党が参院選の比例票で取ったのが742万票。全てがネット選挙の影響だけではないと思うが、今までテレビに出られない時代もあったので、その頃からネットやSNSで支持を広げてきたこともあり、それを考えると大体8割くらいの500万という数字は、動かせ得る可能性がある票数なのではないか。今ネット選挙は、少なくとも数百万を動かせる威力は持っていると考えている」と述べた。

 一方で、ネット選挙の影響力が増大する中で有権者が注意すべき点もあるという。

 伊藤氏は「ご注意いただきたいのは、アルゴリズムがあること。関心があるものを見ると、それに似た意見ばかり集まってくる。他の人のネット上には、あなたとは全く違うものが流れているので、今流行っている動画かどうかの見極めというのはなかなか難しい」と指摘する。

「例えば、国民民主党の玉木雄一郎代表の存在が薄れたといっても、支持者の方は毎日ネットで玉木氏を見ている。そうすると『存在感はある』と思われると思うので、この辺りも少し発想の転換が有権者にも必要だと思う」

(『わたしとニュース』より)

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