■宗教の勧誘も“話し相手”極限の孤独

斉藤さん
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 番組が取材した大岡さん(74)は昨年、長年連れ添った妻から熟年離婚を突きつけられ、子どもとも音信不通になった。「隣の近所の人と仲良くしたいと思っても、顔を見ても知らん顔してなかなか声もかけづらい。隣の人は顔をチラッと見せると窓を閉めてしまう。だから一言も口聞いていない」。取材した番組スタッフに「(人と話したのは)1年ぶり。一切、誰とも口を聞くことがない。本当に一人ぼっち」。それゆえに、人恋しさからか「この間考えたのは、次、宗教の勧誘の人がきたら誘い込んじゃおうかなと。30分、1時間しっかり話してくれるから」と、宗教の勧誘すら話し相手と考えた。

 斉藤さん(78)も、一人の気楽さを理解しつつも、若い頃の後悔がある。「やはり若い時に友人を1人、2人と作っておいた方がよかった。ずっと話し合っていけるような友だちを作っておけばよかったなと。一人の方がいいと思うのは若い時」だとこぼした。 

 なぜ男性はこれほどまでに孤立するのか。シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏は、男性特有のコミュニケーションスタイルの弊害を指摘する。「昔、『男は黙って』というフレーズが流行った。今のシニアの男性は『おしゃべりな人はよくない』『寡黙な男がいい』というイメージがすごくある。女性に比べるとコミュニケーションができない。仕事でも簡潔に話す、余計なことは言わないことを訓練されている」。

 さらに、その孤立を深めるのが「プライド」だ。「ひとり暮らし高齢者の笑顔をつくる会」の野崎ジョン全也氏は、その危うさを警告する。「特に現役ですごく頑張ってこられた方はプライドもあるだろうし、具合悪くなってせっかく病院行ったのに、いざドクターの前に出ると『大丈夫、大丈夫』みたいな強がりを言ってしまって、本当に必要なサービスを受けられなくなる」。

 当事者の斉藤さんも、この指摘に同意する。「お世話にならなきゃならない時期が来たら、なるべくその時間を短くしてさっとどこかに行っちゃいたい。この歳になって変なプライドもあるし、自分自身そうなるともう今までの努力はどうなったのか情けなくなる」。

■孤独はどうやって解決すべきか
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