「女性枠」は本当に不公平か?

 こうした「女性枠」などのアファーマティブアクション(積極的格差是正措置)について、中室氏はインドの地方議会での実験結果を例に挙げた。地方議会の3分の1だけ女性を議長にするルールを設けたところ、「女性が議長になった地域で11歳から15歳の子ども達の学歴が高くなった。更に、有能な女性議員が増えただけでなく、凡庸な男性議員が押し出され、有能な男性議員は残る」という、議会全体の質が向上する結果が得られたという。

 中室氏は「生じている男女の格差を解消するための政策をちゃんと評価し、結果何が起こったのかを冷静に見ることはすごく大事なのではないか。「女性枠」を設けるのは不公平だと皆が口に出すが、本当に不公平かどうかは誰も検証していないよねと。それが不公平な状況なのかどうかを検証することもセットにして(制度を)やれると、みんなの納得感が上がっていくのではないか」と、感情的な議論ではなく客観的な評価が必要だと訴える。

男女平等は「実現しようとする途中に反発が生まれやすい」

【写真・画像】「誰もがアンハッピー」複雑化する“性別ガチャ”「女性枠」は逆差別って本当? インドで意外な実験結果「凡庸な男性押し出され…」専門家「感情的な議論でなく客観的な評価が必要」 2枚目
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 さらに中室氏は、現在の“選抜の仕組み”自体が「男性社会」を前提としている可能性を指摘する。

「女子は競争心が低いと言われる。男女で競争相手がいると男子は早くなるのだけれど、女子は競争が嫌いで遅くなってしまう。例えば、選抜をすることになった時に、倍率が高い大学やとか企業は、女子は尻込みしてしまうことがあるので、互選にするなどすれば女子も参加しやすくなるのでは。仕組みを変えることで、男子も女子も“性別ガチャ”にならない仕組みを作れないかと私は思う」

 前出の田中助教授は、現在は「平等を実現した“後”ではなく、しようとする“途中”」でに、より反発が生まれやすいと分析する。男女平等が達成された後よりも、その過程にある今こそ摩擦が起きやすい。この過渡期に「性別ガチャがあると女性も男性もみんな損をしている社会」という認識を広めていけるかが、男女格差を解決する鍵となりそうだ。

(『わたしとニュース』より)

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