かつて「寿退社」といえば女性が結婚を理由に仕事を辞めるケースが一般的だった。だが令和の今は寿退社する男性が特に地方で増えているという。
背景には、地方から上京した女性が地方在住の男性と結婚し、「共働きでの生涯の世帯所得」を落とさないために男性が「寿退社」を選択するケースの増加などが挙げられる。
ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー 天野馨南子氏は「若い世代の価値観に地方社会は気づけていない」と指摘する。
「女性側が仕事を辞めると思っているのが『シルバー民主主義』。中高年の常識が若者の非常識になっている。私は『オレ嫁統計』と呼んでいるが、『結婚してもらうには俺の嫁さんみたいな女性が増えればいい』などというロジックを持っている。『女性は子育てがあるからパートにしてあげなくちゃ』なども本当に余計なお世話だ。今のZ世代の子は男女に関係なく、給料をキープしやすい方が仕事を続け、キープが難しい方が結婚後に場所や職種を変えている」
この世代間における価値観のギャップについてハーバード大学医学部准教授の内田舞氏は「従来のやり方にも良いところはたくさんあったが大きな問題もあった」と指摘。
「家事育児という無償労働を主に女性に押し付ける一方で、仕事の責任を男性あるいは独身の方が過剰な有償労働で埋めていた構造で、両者とも限界がきていた。こういった性別に縛られている状況は改善しなければならないというサインが現れてきて、その結果が今の新しい形につながっているのでは」

