1カ月後、修復されたフィルムの上映会が開かれ、93歳の母親も同席した。まず、父が生前に編集した「わが家の記録」が上映されたが、動物園や京都へ出かけた映像の中に、ケンイチくんの姿は一切映っていなかった。父は、愛する息子の死を受け入れられず、辛い記憶を呼び起こす弟の映像をあえて編集でカットしていた可能性があった。

 諦めかけたその時、専門家が修復しておいた「編集前の未編集フィルム」を上映すると、そこには元気に動くケンイチくんの姿があった。女の子ばかりの姉妹の中で待望の男の子として生まれ、母に女の子用の着物を着せられて愛らしく微笑む姿や、お宮参りの様子が鮮明なカラー映像で蘇った。

 60年ぶりに動く弟(息子)と再会した母と依頼者は、「一番可愛い時やったな」と涙を流して喜んだ。VTRを見届けたこの日の特命局長・関根勤は「泣かしてくれるよね。辛かったと思うよ、3歳だよ…」と涙を流しながらコメントした。