■国際法、機能してる?

グリーンランドがアメリカ領?
拡大する

 軍事ライターで、国際法の研究もしている稲葉義泰氏によると、「国際法は“国と国との間のルール”。国家間の合意に基づいて結ばれる条約や慣習法で、『もし権利が保障されなければ、こういう措置を取る』というルールだ。国連も国連憲章という条約に基づいて設立された国際機関。条約により、機関設立や権利保障、経済活動の規制を定めている」という。

 国連憲章第2条第4項では、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と定めている。

 もし、破った場合はどうなるのか。「まずは、国連安保理が“強制措置”として経済制裁をかける方法がある。北朝鮮への入港や輸出入の禁止は、それに基づいている。ウクライナ侵攻をめぐっては(安保理の常任理事国である)ロシアが拒否権を発動するため、安保理による経済制裁はかけられないが、国連総会で違法性を認めて、各国が措置を取っている。もう1つは、国家間の紛争を解決するために、国際司法裁判所に持ち込む手段がある」。

 また、最近の情勢をなぞりつつ、「国際法があるからといって、必ずしも権利が保障されるとは限らない。基本的に国際法は、合意に基づいて拘束されるため、トランプ氏のように『合意に縛られない』と言い出す国を止める手だてはないとの認識が必要だ。直近事例を考えて、もう一度正面から国際法に向き合う必要がある」とした。

 ヨーロッパ政治に詳しい国際政治学者で、筑波大学教授の東野篤子氏は、「国際法には過信以上に、誤解があった」と指摘する。「そもそも国際法は魔法の杖ではなく、判断材料だ。やめさせるためには、軍事力や制裁などを組み合わせる必要があり、『国際法で解決できないから不要』とするのは極論だ。国内法と一緒に論じるわけにはいかないが、『殺人がなくならないから、刑法は要らない』とはならない」。

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「国際法や国際組織である程度は止められても『超大国に対して国際法は意味がない』となる背景には、『国際法に意味がある』との誤解があり、それが『国際法は要らない』につながる。ロシアやアメリカのように、“やらかさない”と思われていた国々が、時とともに“やってしまう国”に戻ってしまっている」と話す。

 ロシアやアメリカは常任理事国であるが、それ以外の国がブレーキをかけられるのか。東野氏は「止めにくいのは事実だ。ただ、例えば日本や中小国が『アメリカも守っていないから』と国際法違反をした時に、経済制裁に耐えられる国はそんなにないのではないか」と返す。

 そして、「ベネズエラやグリーンランドへの事例は、国連憲章第2条第4項に違反している。条文では武力による威嚇も行使も禁じており、『使うかもしれない』とチラつかせること自体がダメだ。そこでEUは『アメリカが今やっていることは経済的威圧だ。本来私たちは、中国に向けて“反経済的威圧行動”をしようと考えていたが、それをアメリカに向けるかもしれない』と言っている」と解説する。

■国際法は今後も必要か
この記事の写真をみる(4枚)