■国際法は今後も必要か

国際法とは
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 近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、「この状況がいつまで続くのかを考えないといけない」と説く。「トランプ以前のアメリカは、どこかでブレーキがかかっていた。アメリカには良心があり、世界秩序の警察官を果たしてきたのは、アメリカの国益だけでなく、『平和な経済発展が、アメリカの国益になる』という考え方に基づいていたからだ。パナマやアフガニスタン侵攻も、『国際秩序を守るため』と主張していたが、トランプ政権は明らかに自国の利益を求めている」。

 国際社会においては「『アメリカ大統領は変なことをしない』が最後の砦(とりで)だった。ロシアも中国もめちゃくちゃな中で、『アメリカもやっていい』とトランプ氏が選ばれたが、3年後にどうなるかはわからない」と語る。

 その上で、「この状態が続くのであれば、国際連盟のように、国際連合も破滅し、もっとひどい状態になる可能性もある。とはいえ、『核戦力を各国が持つ中で、世界大戦になればすべてが終わる』と、プーチン大統領も、習近平国家主席も、トランプ大統領も思っているだろう」と考える。

 こうした背景から、「強大国が圧倒的に弱いところを取りに行く局地戦が、3年間は続くのだろう。その中に台湾などが入ると、東アジアは大変なことになる」と予想した。「アメリカの良心は、ある時代も、ない時代もある。大統領や軍のトップによってもブレがある。強硬手段を執って失敗する場合もあるが、良心を持ってやっていた人がいたことも事実だ」。

 大国が国際法を守らない現状で、日本は国際協調を守った方がいいのか。稲葉氏は「守った方がメリットはある。大国に守る気がなかった時代は、過去にもあった。イラク戦争では国際法上の根拠があいまいな中で、イラクという国が崩壊に至った。当時は中東・アラブ諸国だけでなく、同盟国からもアメリカへの反発があり、国際法の基軸の中で声を上げたことで、イラクに対する法的説明を行うなど、アメリカ政府が折れた」と振り返る。

 同様の事態が起きている現在では、「ここで『国際法は要らない』となれば、無秩序の世界になる。“禁を破る国”が出るのではなく、“何も禁止されていない自由な世界”になると、万民が闘争する。そうならないための規制が国際法だと認識することが重要だ」と考える。「ないよりはある方がいい。アメリカもロシアも、中国も破ってきたが、破っていない国もある。そこをどう評価するかだ」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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