■ネット選挙における注意点は?どう向き合っていくべき?
選挙ドットコム副編集長の伊藤由佳莉氏は、ネット上におけるアルゴリズムの存在を指摘する。「SNS、特にYouTube上ではアルゴリズムが支配している世界という認識をまず置いていただく必要がある。あなたが見ている世界はイコール全世界が見ている世界ではなく、違う人はまた別の世界を見ていることがあるので、見たいものを見ているようで、実は見せられているという認識も持っていただくいいと思う」。
さらに、谷原氏はネット選挙における注意点を挙げる。海外の研究で、政治系動画のコメントの50パーセントは、わずか2パーセントの投稿者が量産しているというデータがある。また別の研究では、コメント欄の上位のコメントは後続のコメントや動画の評価に大きく影響することもわかっているそうだ。
こうした現象について、伊藤氏は「いわゆるノイジー・マイノリティの方の意見が主流を占めてるように見える環境はある」と指摘。
さらに、コメント欄の影響力について次のように解説した。「動画を開いてもらった時に、直下にコメントが来ているわけですよね。そこにポジティブなコメントがあったりすると『この動画はいいことを言っているんだ』と、逆にネガティブだと『この動画はあまり良くないんだ』という印象を与える要素が強いところで、見る方の感情を揺さぶるようなものでもある」。
こうした状況の中、有権者はどう向き合っていくべきか。伊藤氏は、複数の媒体を組み合わせて判断することの重要性を説く。
「やはり情報の取得にはいろいろな媒体を使っていただくのがいいと思っている。私たちと一緒に調査をしているJX通信社の米重克洋氏は、こういったメディアシフトの環境を受けて、今まで選挙の争点設定は、これまでメディアが主導して行ってきたものだが、インターネット空間の方々が設定する時代に変わってきているとおっしゃっている」
「皆さんが関心があるものを見ていくことは非常に大事だが、例えばSNS上でも1次発信として政治家本人が言っている情報、まずここを見ていただくことであったり、それがよくわからない時には、テレビや新聞が書いている情報を見たり。さらに、もっと知りたい方が動画で深掘りするという風に、それぞれ情報の性質や量が違うというところで、どの媒体だけを使うということではなくて、全てをうまく使っていただくことが、皆さんの投票先をちゃんと選ぶことに繋がるのかなと思う」
「ただ、敵対的メディア認知と言われて、なかなかマスメディアのニュースが信じられないという方もいらっしゃるとは思う。そういった中でも、鵜呑みにしろという意味ではなく“うまく使う”という意味で考えていただくといいのかなと思う」
(『わたしとニュース』より)
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