行き場をなくしたティーンエージャーが集まる“トー横”。そのトー横封鎖後のリアルを描いた映画『東京逃避行』が3月20日(金)より全国公開を迎える。本作は『正体』や『イクサガミ』で知られる監督・藤井道人のプロデュースにより、24歳の秋葉恋監督が実体験に基づくオリジナル脚本で制作した。居場所を失いトー横にやってきた女子高生・飛鳥が、自伝的ネット小説「東京逃避行」の著者・日和、トー横に流れ着いた人々を保護するエド、若者たちのリーダー格であるメリオらと出会い過ごす劇的な一夜が描かれる。ABEMA TIMESでは、飛鳥を演じた寺本莉緒&日和を演じた池田朱那に、歌舞伎町で撮影したエピソードを中心に、役への思いや二人の信頼できる存在についてインタビューした。
初めての歌舞伎町での撮影の印象は「意外とやさしさがある街」
――『東京逃避行』は秋葉監督によるオリジナル脚本です。出演するにあたり、読まれてどのような印象でしたか?
寺本: もともと全然なじみがない街だったので、歌舞伎町の“トー横キッズ”と言うと、いわゆるニュースやSNSなどで流れてくるような派手で周りに迷惑をかけている子どもたち、という勝手なイメージでした。でも、台本を読んだらいい部分もたくさん持っていることに気づきました。その子たちはもしかしたら悪いことをしているのかもしれませんが、でもそれを美化するわけではないですけど「完全な悪ではないよね」というか。本当にリアルを届けたい作品なんだなと思いました。私にとっては新しい考え方を教えてくれるような台本でした。
池田: 私も歌舞伎町という存在自体は知っていても、中身は全く知らない状態で読みました。ニュースやSNSで流れてくる情報では、莉緒ちゃんの言う通り良い面でなく悪のような言われ方をしていたので、その先入観もあったんです。台本の中に出てくる少女たちは本当にただの子供たちなんですよね。読んでいくうちに「私もこの子たちを助けなければならない」とすごく感じて、その先入観は取っ払われました。
――実際に歌舞伎町で撮影されたんですよね。足を踏み入れての印象、撮影の日々はいかがでしたか?
寺本: 作品はトー横封鎖後を描いていますが、撮影のときも本当に青い枠で封鎖されていました。初めて目の当たりにして、私にとっては未知な世界という感じでした。撮影は人が比較的少ないだろうということで、主に深夜にやっていたんですね。そうなると、なんか…イメージ的に怖そうじゃないですか(笑)?でも撮影をしていて煙たがられるようなことはなく、むしろ「映っていいよ」と言ってくださる方がたくさんいらして。その場で許可証を書いていただいて、エキストラさんみたいな感じで協力してくださったんです。その経験もあって、私の中にあった怖いというイメージから、みんないい人なんだなあ、という印象に変わりました。
池田: わかる~!もっと身構えていたんですけど(笑)、皆さん協力してくださるので、思っていたよりもやさしさがある街だなあと私も思いました。昔、映画を見に行くために行ったこともあって、そのときはもっときついイメージでした。それからはトー横にまつわるSNSの派手な動画を見ていたからか、思っていたものよりはちょっと寂しさも感じました。
――リアルな歌舞伎町を体感されたんですね。役作りに関しても、各々想像を膨らませる部分が多かったかと思います。具体的に準備したこと、意識したことはどのようなことでしたか?
寺本: 私が演じる飛鳥は、日和の小説に憧れてトー横にやってくるので、完全にトー横初心者なんです。初めて歌舞伎町に足を踏み入れる気持ちを大事にしたかったので、私自身も歌舞伎町やトー横キッズについて調べたりせず、あえて知らないままでおこうとしていました。実際に撮影で行ったときに純粋な反応ができるように、ピュアな心を持つようにしていました。そもそも高校生を演じるので、実年齢よりも年下なわけで、フレッシュな誠実さや素直さを引き出せるようにしたいなとも思いました。例えば…あまり夜飲みに行かないとかを意識したり(笑)。
――なるほど!飲みに行くとちょっと違うなとなるんですね。日常生活から慣らしていくと。
寺本: ちょっと大人っぽくなっちゃったり、慣れみたいなものが出る気がしたんです。なので、夜に出かけるのを控えたり、ちょっと高校生っぽい生活を意識していました。あと、撮影が2025年の1月だったので、めちゃくちゃ寒かったんですね!飛鳥はずっと制服姿なんですけど、監督のこだわりでストッキングを履かせてもらえませんでした(笑)。確かに女子高生は履いていないもんなあ…と。すごい寒かったけど気合いで乗り切りました(笑)。
――ディティールまでリアルを追求されたんですね。内面については、いかがでしたか?
寺本: 飛鳥と私自身、似ている部分がすごく多かったんです。芯の強さや言ったことを曲げないところ、考えるよりも行動派などなど。そこはぶれずに培っていました。
――まるで当て書きかと思うくらいですね。
寺本: そうなんですよ!
池田: 本当にそうだよね。飛鳥も莉緒ちゃん自身も、撮影中ずっと笑ってくれていたんです。
寺本: 自分が高校生だったときも「きっとこういう行動しちゃうだろうな」と共感できることの連続だったから。
池田: かっこいい…。
寺本: そんな~(笑)。なので、役の上で大変だったことは日和に比べたら少ないかな、と思います。
――池田さん演じる日和は、歌舞伎町で生きている子なので環境がずいぶん違いますよね。
池田: はい。私はまずはトー横の街を知ろうと思ったので、SNSで発信しているトー横キッズ関連を片っ端からフォローして、おすすめに常に流れるようにしていました。撮影前には歌舞伎町で悩みを抱える人の相談窓口を運営している団体にお話も聞きに行って、封鎖後のトー横で子供たちがどこで暮らしているのか、どのような生活をしているのか、生の声をたくさん聞かせていただきました。
知っていく中で、ある日SNSで「トー横キッズに対して勉強会を開きます」というのを見たので、本当に参加したいなと思ってスタッフさんに相談したんです。すると「それはやめたほうがいいよ」と止められました。なぜなら、私のように仕事をしている状態の人間が行くと、ひやかしに行っていると思われてしまう、と。簡単に踏み入れていいものではないと反省しながら、自分にできることを続けていきました。
――池田さんも、日常生活から役にずっと寄り添っていたんですね。
池田: そうですね。ほかにやったことは…日和は家庭環境がよろしくないので、似たような家庭環境の方の記事を調べて読んでいました。あとは日記を書いている役なので「私が日和と同じ生活だったら」と想定しながら、小学生ぐらいの頃からの日記を日和として書きました。台本にない部分のストーリーを作っていくことで、自分と日和の距離を少しずつ縮めていきました。
悩まない寺本&悩む池田、正反対だからこそマッチしたバディ感

