アメリカとイランの間で電撃的な停戦合意がなされた。トランプ大統領は合意直前まで「交渉に応じなければイランの文明を破壊する」と強い口調で牽制していたが、一転して合意に至った背景について、国際情勢ウォッチャーの武隈喜一氏が解説した。
【映像】アメリカが飲むわけない?イランの「10項目の和平案」
武隈氏は、トランプ大統領の思惑について「力を通じての平和」を掲げつつも、本音では「軍事力を使いたくない、これ以上泥沼にはしたくないという思いがあったはずだ」と分析する。背景には、米国内の物価高やガソリン価格の高騰に対する国民や党内からの強い不満があり、原油価格のさらなる上昇を避けたかったという事情があるという。
しかし、今回の合意内容は極めて不安定なものだ。イラン側が提示した「ウラン濃縮活動の容認」や「制裁解除」など10項目の提案について、武隈氏は「アメリカにとっては、じゃあ何のためにこの戦争を始めたのかというような項目ばかり」と指摘し、これらはあくまで交渉の席につくための「方便」に過ぎないと見ている。武隈氏は「アメリカとしては、交渉が始まった途端に10の項目全てについて拒否をすることもあり得る」と述べ、現実的な合意へのハードルは非常に高いと説いた。
さらに、イスラエルのネタニヤフ首相はレバノンからの部隊引き上げを明確に否定しており、この時点ですでにイラン側の提案と矛盾が生じている。武隈氏は、この2週間の停戦期間が「もう一度軍備を整え、戦術を整えて、戦争に向かうための準備の期間になっているのではないか」との懸念を示している。
日本にとって死活問題であるホルムズ海峡の解放についても、イラン側のアラグチ外相は「イランの軍部とコーディネートした上での航行」を主張しており、米国が望む「自由な航行」とは意味合いが全く異なる。武隈氏は、日本が米国の制裁に全面的に同調して以降、イランとの友好関係は途切れてしまっていると指摘し、「日本としては、アメリカの立場を気にしつつ、イランと船を通す交渉を真剣に独立国としてやっていく必要がある」と警鐘を鳴らした。
(ニュース企画/ABEMA)

