「塩分付着するのにエンジン水洗いせず」海自哨戒機P-1の低稼働問題「背広組と制服組の確執がある?」公明議員が指摘 小泉大臣「関係部署間の連携は重要」

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小泉大臣
【映像】「ネジの長さが足りない」不具合言及の瞬間(実際の様子)
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 11日の参議院決算委員会で、公明党の伊藤孝江議員が、海上自衛隊の哨戒機P-1の稼働率が低い問題を取り上げた。

【映像】「ネジの長さが足りない」不具合言及の瞬間(実際の様子)

 伊藤議員はまず「政府が巨額の国費を投じて開発した、純国産の固定翼哨戒機P-1の運用状況について伺います。このP-1というのは、日本の周辺海域で外国の水上艦船、潜水艦、不審艦等の監視などを行うもので、探知機の塊が空を飛んでいるといわれるくらい対潜水艦の探知能力は世界トップ級とされています」と切り出した。

 ところがその世界トップ級の哨戒機、35機あるものの、会計検査院の報告で「任務で飛行できる状態の機体が限られ、稼働率が低い」と指摘されたという。

 伊藤議員は「例えば搭載武器の不具合ですが、潜水艦等を見つけた場合に反撃をするためにこのP-1には武器が搭載されると。機体とつなげて必要なときに発射したり投下する形で使うわけですけれども、この搭載武器を機体と連接をしようとした際に、接続部の付属品の長さが足りなかった。要はひっつけるために使うネジの長さが足りませんでしたということがあったりだとか、かなり基本的なことが理由で使うことができていないものがある。また交換部品の調達の遅れ、緊急請求を受けてから必要な部品が使えるようになるまでに1年以上というのが約3割、中には3年以上かかっている。それだけ必要な部品が来ないというような状況もある」と稼働率が低い理由を紹介。

 中でも深刻なのがエンジンの腐食で、長時間海上を飛ぶP-1は、エンジンのファンから海水の塩分を含んだ空気を取り込むため、どうしてもエンジンの内部に塩分が付着する。対策としてメーカーは防衛装備庁にエンジンを水洗いすれば塩分の除去に一定の効果があると提案したが、P-1を運用する海上自衛隊の補給本部はエンジンの水洗いは整備部隊にとって作業負担が大きいなどの理由で、これを採用しなかったという。しかし、エンジンの腐食が断続的に発生したため、補給本部は最初の判断を覆して整備部隊にエンジンの水洗いを行うよう通知し、これが行われるようになったという。

 伊藤議員は「このP-1の運用当初に補給本部がエンジンの水洗いというのを採用していればエンジンの不調という事態はある程度回避できた可能性があると考えますけれども、会計検査院のご見解いかがでしょうか」と質問。

 会計検査院の岩城利明第2局長は「エンジンの一部素材の腐食による性能低下につきましては、P-1の運用段階の初期において定期的なエンジンの水洗を行うこととしていれば、空気中の塩分が付着したことなどによる腐食の発生時期を遅らせることなどができた可能性もあると思料される」などと答えた。

 伊藤議員は「装備庁のほうはメーカーからエンジンの腐食対策に水洗いが一定の効果が期待できるという提案を受けていたけれども、結局海上自衛隊補給本部が対応しなかったという経緯を見る時に、しばしば指摘をされる背広組と制服組の確執がやっぱり横たわっているんじゃないかと思わざるをえない面があります。P-1については必要な経費を61機配備を想定して4兆907億円と見積もられているわけですが、この巨額な経費は全額国費で賄われることになります。このような大規模な事業にもかかわらず、会計検査院から稼働状況が低いという指摘を受け、またあろうことか装備庁と自衛隊の連携が不十分であったとすれば、これは到底国民の理解を得ることはできないのではないかと考えますが、改善に向けての防衛大臣のご見解を」と質問。

 小泉進次郎防衛大臣は「今日のご指摘も踏まえまして、しっかりと対応を考えていきたいと思いますし、関係部署間での連携、これはP-1に限らず非常に重要な点だと思っております。現場部隊の整備能力の向上についても引き続き部品を安定的に確保するとともに、現場部隊を支える人材の育成、適切な配置等にも努めてまいりたいと思います」と答えた。

 伊藤議員は続いて「総理は防衛力の抜本的強化を推進されるという方向の中で、防衛費の増額とともに防衛産業の育成を目指していると承知しています。今回のP-1についても稼働状況が現状低い、また最先端技術の集積である防衛装備品に対し現在の自衛隊がどこまで対応できているのかという点ではやはり不安を覚えざるをえないところもあります。この防衛力の抜本的強化を目指すというところにあって、肝心な自衛隊の現場力が伴わなければ、総理自身の構想というのが絵にかいた餅になるんじゃないか、また張り子の虎ではないかということも懸念をせざるをえないところですし、何より国民の理解を得るというところにつながっていかないと思います。この防衛産業の育成もさることながらまず自衛隊の現場力の強化に目を向けるべきではないかと考えますが、総理のご所見をお願いします」と質問。

 高市早苗総理は「防衛力の抜本的強化にあたっては国民の皆様のご理解をいただきながら進めることが必要不可欠です。固定翼哨戒機P-1については、一定の非稼働が生じているということ、会計検査院からも説明がありました。これはもう稼働状況の改善に努めることが重要です。それから防衛力の抜本的強化にあたってP-1だけではなくて装備品を最大限有効に活用するために、これからも部品の安定的な確保に努めることによって、稼働数を最大化できるように取り組みます。それから装備の稼働数確保の観点から、現場部隊の人員の確保も重要ですから、装備品の高度化や複雑化に対応する人材の育成配置にも努めていきます。そうしたことを通じて平素から常続的な情報収集、警戒監視を行って、事態にシームレスに即応、対処できる防衛力を構築してまいりたいと存じます」と答えた。(ABEMA NEWS)

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