
日本の駅弁がパリに進出するなど、駅弁の文化に変化が起きているということです。
駅弁を世界へ
関西の老舗駅弁店が新たに店をオープンしたのは、食の都・パリ、ルーブル美術館近くの一等地。その名も「MANEKI BENTO」です。
メニューは牛すき焼き弁当やサケの西京焼き弁当など7種類。日本産のコメを使い、注文が入ってから作る「できたて」が魅力です。
客
「(Q.何を注文した?)サケと和牛のすき焼き、それと娘用に鶏の唐揚げを一つずつです」
「良いお弁当屋さんができて本当にうれしい」
兵庫県姫路市で1888年(明治21年)に創業したまねき食品。日本で初めて「幕の内弁当」を駅弁として販売し、名物に。
創業137年となった去年、スイスでの期間限定出店や大阪・関西万博に出店するなど、海外へと打って出ました。
客
「私も彼も10回くらい日本へ行っています。日本の駅弁は、列車に乗って食べる家庭料理という感じ」
「駅弁が恋しかったです。絶対常連になりますよ」
駅弁の定番、崎陽軒の「シウマイ弁当」も海外に進出。海外1号店は台湾。日本に似た駅弁文化が根付いていたことが決め手となりました。
持続的な成長のためには海外展開が不可欠だとし、今後も力を入れていくといいます。
イベント盛況もピークの2割
海外に活路を見いだす駅弁もあれば…。全国40の都道府県から380種類以上の駅弁が集まった国内最大級の駅弁イベント。(※現在は終了)
宮城県・仙台駅のタンの厚切りを敷き詰めた牛たん駅弁に、新潟駅のノドグロやエンガワが入った海の幸駅弁。そして北海道・森駅のロングセラー「いかめし」も。
好評を博すイベントですが、駅弁を購入した人からは意外な声が聞かれました。
客
「(駅では)なかなか買えない。(新幹線が)早く現地に着くからということもある」
「あんまり(新幹線に)乗らないです。車で移動の方が多いです」
1885年に始まり、去年140周年を迎えた駅弁。1967年のピーク時に、およそ400社あった駅弁事業者などは現在80社ほどにまで減少しています。
車など列車以外の移動手段が増えたことや、鉄道の高速化で車内で過ごす時間が減ったことなどが原因と考えられています。
令和の立ち売り 66歳の奮闘
“駅弁離れ”が進む中、駅弁文化を絶やすまいとしている人がいます。
客
「会話とかできるからね。良いですね、好きです」
福岡県北九州市にあるJR折尾駅で駅弁の立ち売りをしている小南英之さん(66)。
北九州市で大正時代から弁当の製造・販売を行う「東筑軒」。伝統となっているのが、駅弁の「立ち売り」です。
福岡県民
「お店で買うよりも、小南さんの雰囲気が出ているので人と触れ合う形の販売がすごく良い」
看板商品は「かしわめし」。秘伝の鶏ガラスープの炊き込みご飯に鶏肉と卵、刻みのりをあしらった駅弁です。
横浜市から帰省した人
「かしわめしは(帰省したら)一回は食べないと気がすまない。お土産にも買って帰る」
振り付けと掛け声は自ら考案
東筑軒の創業以来、100年以上続くかしわめしの立ち売り。
1945年ごろのピーク時には20人ほどの立ち売り販売員がいて、一日で2000個の駅弁が売れることもあったそうです。しかし、立ち売り販売員は年々減少し、2011年に最後の一人が退職。立ち売りは休止状態に。
小南さんは地元の北九州を離れ、東京で仏具メーカーの営業をしていましたが、実家のコメ店を手伝うため帰郷。
その後、地元の企業で働きたいと2011年、51歳で東筑軒に入社。奇しくも、休止していた「立ち売り」の販売員を社内で募集していたタイミングでした。
小南さん
「昔は飛び込み営業をやってましたから、やってみたいということで立候補。立ち売りというのを知っていただくだけで、一つの文化として残っていく価値がある。ここの良いものを少しでも知っていただきたい」
故郷に根付いていた駅弁の「立ち売り」文化を残したいと、53歳の時、最高齢の新人販売員として立ち売りを復活させます。
前任者が退職し、ノウハウの引き継ぎができなかったため、振り付けと掛け声は自ら考案。
小南さん
「若い学生さんがこうやっているスマホを(画面スライドの動き)。『折尾~』って言ったら一斉に手が止まって振り向きましたから、残していくにはこれは良いかもしれん」
福岡県民
「いつも同じ常に笑顔でされているのは素晴らしい」
小南さん
「お客様も楽しんでほしいし、自分が楽しくないと笑顔を分けることはできないし、元気を分けることもできない」
15キロの木箱を…
一日およそ7時間、13年にわたり駅に立ち続けてきた小南さん。時には駅の案内役…時には駅のホームから転落した人を助けたこともあります。
66歳になった今も、社内唯一の立ち売り販売員として重さ15キロ近くもある木箱を肩から下げ、駅内を動き回っています。
北九州市からの利用客
「折尾駅といったら、この方と言って過言じゃない。ぜひ続けてほしい」
小南さん
「ありがとうございます。バトン渡さないけんけど、若い者に」
「継承が続けさえすれば、私の仕事としては一番うれしいです」
福岡県民
「これ差し入れです」
小南さん
「うわーこんなに。ありがとう」
福岡県民
「また買いに来ます」
小南さん
「人との出会いが最高にありがたい。この街を元気よくしようというのがポリシー。自分に元気がなくなったらアウト。元気がなかったら人に伝わりますから。少しでも明るく行ってもらいたい。かしわめし食べて頑張ろう」
(2026年5月19日放送分より)
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