
高市早苗総理大臣が夏場の電気・ガス料金の支援を念頭に、補正予算案の編成を検討していることを明らかにした。供給が不安定とされるナフサを巡って政府の説明と現場の実情にズレが広がっている。
電気・ガス料金の支援策とりまとめを指示
まずは、補正予算案検討の動きを見ていく。政府は、電気・ガス料金の支援を検討している。
高市総理は18日、「燃料輸入価格の上昇が電気料金に反映されていく可能性がある」として、自民と維新の政調会長に、7月から9月の電気・ガス料金への支援策をまとめるよう要請した。
さらに「補正予算の編成を含め、資金面の手当てを検討するよう片山さつき財務大臣に指示した」と明かした。現在行っているガソリン代補助も継続する考えで、与党幹部からは3兆円台の規模になるとの見方が出ている。
補正予算案検討を受け、市場では国債が売られ、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時2.8%まで上昇した。これは1997年5月以来29年ぶりの高い水準で、政府が補正予算案の検討に入ることで財政悪化の懸念が出ている。
異例の早期編成へ 総理の思惑は
5月というタイミングは異例の早期編成となるが、高市総理の思惑はどこにあるのか。
補正予算は、夏の大雨災害などに対応するため秋以降となるケースが一般的だが、近年夏前に着手したケースもある。例えば、2020年4月の新型コロナへの対応や、2022年5月のロシアによるウクライナ侵攻への対応がそうだ。
高市総理は11日、「補正予算は直ちに必要な状況ではない」と話し、財政悪化の懸念から早期の補正予算編成に否定的な考えだった。
1週間で方針を転換した背景に何があるのか。
政治部官邸サブキャップの大石真依子記者によると、「ガソリン補助を継続し、電気・ガス料金の補助を再開するには予算が不足」していて、「野党からも補正予算案編成を求める声」が上がっていたということで、政権内から20日の党首討論を前に「先手を打った方がいい」という声も上がっていたという。
韓国は節約呼びかけ 日本は?
イラン情勢の影響が長引く中、国民が節約する必要はないのか。韓国は節約を呼びかけているが、日本はどう対応するのだろうか。
アメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)によると、韓国は先月2日時点で、政府と民間を合わせて約67日分の石油を備蓄しているが、韓国政府は3月24日、国民に省エネキャンペーンへの参加を要請した。
例えば、公共機関でいうと車両のナンバープレートの末尾で走行を制限。偶数の日は末尾が偶数の車のみ運行でき、奇数の日は奇数の車のみ運行できるという。
さらに朝鮮日報によると、国民の行動変容も要請されたという。例えば、「シャワーの時間を短くする」「電気自動車やスマホは日中に充電」「洗濯機・掃除機は週末に使用する」などが要請されている。
こうした中、日本はまだ呼びかけをしていないが、省エネへの意識が高まっているという。ANNが4月18日と19日に行った世論調査では、節電や節約の呼び掛けについて「行うべき」という人は64%だった。
現場ではナフサの供給不足が表面化
供給が不安定とされるナフサを巡って政府の説明と現場の実情にズレが広がっている。
赤沢亮正経済産業大臣は18日、ナフサについて「備蓄原油からの精製継続に加え、中東以外からの輸入拡大などで年を越えて継続できる見込み」だとして、ナフサを含む石油製品の必要量を確保できているとの認識を示した。
一方で、現場ではナフサの供給不足が表面化しているという。
例えば、エアコンはボディーや断熱材など複数の部品がナフサ由来で、一部販売店で納期の遅れが出ている。バナナはナフサから製造される「エチレンガス」で黄色く熟成させるが、エチレンガスの供給が滞り、出荷に影響する可能性がある。医療用手袋は複数の種類で欠品が発生しているといい、政府が国家備蓄5000万枚を放出すると発表した。
「目詰まり」政府の説明は
ナフサ不足を巡っては供給の目詰まりが起きているという。
政府は、石油由来の製品について必要な量を確保できているが、流通の目詰まりが起きていると説明している。
政府が説明する目詰まりとは、どういうものか。
例えば「石油化学メーカー」「溶剤メーカー」「商品製造」という流通経路がある場合、石油化学メーカーが「今後の供給が未定」と伝えると、溶剤メーカーは「今後に備え、出荷する量を抑えておこう」と供給量を減らしてしまう。その結果、溶剤メーカーで目詰まりが起き、その先の商品製造で材料不足になるという。
(2026年5月19日放送分より)
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