
凶悪化する「トクリュウ」に対し、警察も新たな捜査手法で臨んでいます。それが「仮装身分捜査」です。制度づくりに関わった元刑事に、その実態を聞きました。
潜入型の捜査手法「仮装身分捜査」
今回、栃木県で起きた強盗殺人事件は、直接の勧誘で実行役を集めたとみられます。これまでのトクリュウは、SNSでの募集が主流でした。
しかし、去年から本格運用が始まった「仮装身分捜査」で、犯人グループがSNSの利用を避けるようになったといいます。
これは、警察官が架空の身分を使って闇バイトへの応募を装い、指示役との接触を図る、いわば潜入型の捜査手法です。
元警察庁 サイバー捜査課長
棚瀬誠氏
「現行法体系の中で、いわば“攻めの捜査”といいますか、工夫しながら仮装身分捜査を実施している」
すでに13件実施され、実行役や上位の容疑者の逮捕につながっています。
架空の名前で応募し…
着実に成果を上げている「仮装身分捜査」。まず、闇バイトの募集の可能性がある投稿を探すところから始まり、「接触」を試みます。
棚瀬氏
「私の運転免許証や、極端な話、私の自宅の写真まで送ることになる」
犯罪グループが求めてくるのが、運転免許証などの身分証です。足抜けを避けるための脅しにも使われます。
そこで、捜査員が提示するのが「架空の身分証」です。
棚瀬氏
「架空の住所を書いていても、こういうことをやるのは警察官だなと、相手側にばれてしまう余地があるので。架空の身分証を相手に見破られないような工夫は当然、警察側ですることになる」
相手を信じ込ませると、次は「対面」の段階です。ここでは、状況に応じて、さまざまなパターンがあるといいます。
棚瀬氏
「このまま強盗すると実行犯として捕まってしまうぞと。家族も守るから安心しろというアプローチを警察はします」
あえて犯人を“泳がせる”こともあるといいます。
棚瀬氏
「実際にホームセンターで、縄を買ったと。その場面で『強盗予備罪』というかたちで逮捕して、取り調べを進めていくというやり方もある」
捜査は、最終段階の「首謀者の特定」まで続けられます。
棚瀬氏
「スマホを押収して、誰とやり取りをしているのかを明らかにすると、犯罪組織により近くなるので、実行役になりそうだった人間を説諭しつつ、彼らから得られる情報で捜査を進めることになる」
(2026年5月21日放送分より)
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