天狗伝説が息づく山寺へ 大雄山最乗寺に残る“別世界”の物語

天狗伝説が息づく山寺へ 大雄山最乗寺に残る“別世界”の物語
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 ちょっと不思議な言い伝えが残る、大雄山最乗寺。広大な境内を巡ると、その世界観を感じさせる見どころが次々と現れます。奥深い魅力に迫りました。

【画像】不思議な言い伝えが残る大雄山最乗寺「別世界に入っていけそうな雰囲気」

深い緑に包まれた山寺

不思議な言い伝えが残る、大雄山最乗寺
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紀真耶アナウンサー
「別世界に入っていけそうな雰囲気がありますよね。大雄山最乗寺には、どんな伝説があるのでしょうか?」

 神奈川県西部、南足柄市の山あいにある大雄山最乗寺は、深い緑に抱かれた風情ある山寺です。今回、案内してくれるのは最乗寺の僧侶・小野雅之さんです。最乗寺とは、どんなお寺なのでしょうか。

最乗寺の僧侶・小野雅之さん
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小野さん
「天狗がいきづく修行道場となっております」

 最乗寺には、天狗にまつわる伝説や痕跡がたくさんあるといいます。そんな趣を感じながら、境内の中心部へと向かいます。

紀アナ
「本当に何かすんでいるような、ワクワクするような自然の豊かさですけれども。これ全部、お寺の土地なんですか?」

小野さん
「そうですね。広さが東京ドーム27個分」

紀アナ
「27個分!」

 驚くほど広大な敷地には、約17万本もの木々が植えられているそうです。中には樹齢500年以上、高さ40メートルを超える巨木も多いといいます。

 そんな自然あふれる参道を、約10分歩いて見えてきたのが瑠璃門です。この門をくぐると…。

瑠璃門をくぐると…
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紀アナ
「開けていますね。そして、趣がありますね。ここら辺一帯。神秘的。青空の下、緑があって、お寺があると、山の中にあるんだなっていうのを感じますね」

 鮮やかな緑がまぶしい山中に佇む最乗寺には、お堂など44の建物があるといいます。

 まずは本堂へ。こちらでは毎朝、経を読み、法要などが行われます。紀アナウンサーもお参りして、寺の歴史から教えてもらいます。

 今回は特別に、約300畳もある本堂の中で撮影させてもらいました。

特別に許可を得て撮影
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紀アナ
「こちらがご本尊?」

小野さん
「こちらの本堂には、お釈迦様がまつられております」

 最乗寺の創建は1394年。630年以上の歴史の中で、存続の危機を迎えたこともありました。

小野さん
「小田原の北条家が、(最乗寺を)攻めてくるということがあったんですけれども」

 そんな窮地を救ったのが、あの豊臣秀吉でした。どんな経緯があったのでしょうか。

窮地を救ったのが…
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小野さん
「豊臣秀吉が、夢の中で(大雄山最乗寺を)攻めてはいけないというお告げがあって。その時に御朱印を残していかれました」

 なんと、その御朱印が現在も保管されています。この中には、軍勢による乱入や放火、伐採などを禁じると書かれています。

ワシが導いた創建秘話

位の高い僧侶
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 ところで、最乗寺を創建したのは了庵慧明禅師という、位の高い僧侶です。なぜ、この地に寺をつくったのでしょうか。歴代の住職を祭る場所「開山堂」で、その経緯を聞くと驚きの逸話がありました。

ワシが袈裟をつかんで持って行った
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小野さん
「了庵慧明禅師様という方はですね、(現在の)神奈川県の伊勢原市のほうでお生まれになって。いろんな場所で修行されて、この麓にあるお寺で住んでいた時に、大きいワシが了庵慧明禅師様のお袈裟(けさ)をつかんで持って行ってしまったという…」

 そのワシを追い掛けると、一本松の高い場所に袈裟がありました。しかし取れず、その下で坐禅を組んでいると…。

風が吹いて、肩に袈裟がかかってきた
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小野さん
「そしたら、ふっと風が吹いて、(了庵慧明)禅師様の肩にお袈裟がかかってきた。これは、ここにお寺をつくるんだというお告げだと思って、大雄山最乗寺を開くきっかけになったと」

 ちなみに、坐禅をしたという石がこちら。現在でも参道にあります。

現在でも参道に
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 そんな創建秘話もある最乗寺の天狗伝説とは。その入り口へ参ります。

“不浄のものは入るべからず”
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紀アナ
「ガラッと雰囲気が変わった感じがしますね」

小野さん
「向こうに見えますのが、結界門と言われておりまして。向こうの門をくぐるには、清らかなものしか入れない、“不浄のものは入るべからず”というふうに言われておりますね」

紀アナ
「入れないかもしれない」

 ご安心下さい。そんな人には橋のすぐ横、清心の滝を見て心を清めれば進めます。

清心の滝を見て心を清めれば進める
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紀アナ
「結界門の横に立っているのが天狗ですか?」

大天狗
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小天狗
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小野さん
「そうですね。あちらに2体の天狗様がおられまして、右側の大天狗様は、修験道のような格好をしておりまして、右手に大きいうちわがありますね。左の小天狗様は、烏天狗のようなクチバシがあって、刀を持って振りかざしています」

 まるで門番のような天狗像があります。この先は聖域とされる別の世界。門の向こうには…。

小野さん
「この先にはですね、了庵慧明禅師様の一番弟子の道了大薩た様がまつられている建物、御真殿がございます」

紀アナ
「階段が長い」

小野さん
「77段ございます」

 約5分かけて登った先に見えてきたのが、道了大薩たをまつる御真殿です。

日々、祈祷を行う場所
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 こちらは日々、祈祷を行う場所ですが、この寺でそれほど敬われる道了大薩たとは、どのような人物なのでしょうか。

小野さん
「道了様は山で修行する修験道であったり、山伏のような方であったりするんですけども」

奥の院」へ続く354段

 師である了庵慧明禅師が最乗寺を創建する際、道了大薩たに手伝いを頼むと…。

伝説も
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小野さん
「その当時、道了様は現在の滋賀県の三井寺というところにおりましたが、三井寺に大きい松の木があって、そこにスルスルスルと登って、道了様は身を天狗の姿に変えて、この地に飛び立ってきたという伝説もございます」

 道了大薩たが天狗に変身したのでしょうか。その姿が見られるというので向かうと…。

道了大薩たが天狗に変身
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紀アナ
「天狗の像ですね」

小野さん
「こちら、道了様が天狗の姿に身を変えた時の像ですね」

紀アナ
「烏天狗?」

小野さん
「そうですね。右手には幸福の蛇がついていますね」

紀アナ
「本当だ。蛇が」

小野さん
「足元にも蛇がいますね」

紀アナ
「いっぱいいますね」

小野さん
「白狐に乗って移動されたとも言われておりまして」

 でもなぜ、道了大薩たは天狗になったのでしょうか。

先が長くないことを悟った道了大薩たは…
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 師である了庵慧明禅師が亡くなり、自分も先が長くないことを悟った道了大薩たは…。

小野さん
「天狗の姿になれば寿命が尽きることがない。そういうところから天狗の姿に身を変えて、これから未来の際が尽きるまで、私が皆さんを救っていきますと、お誓いを立てて、この山奥のほうにお姿を隠されたと言われております。ですので、現在でも道了様はこの山奥のどこかに…いらっしゃるかもしれません」

紀アナ
「こういう雰囲気ありますから、どこかにいるかもしれないなっていう気持ちになりますよね」

 さらに、天狗にまつわるものといえば「下駄(げた)」です。でも最乗寺にあるのは…。

世界で一番大きいと言われている「下駄」
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紀アナ
「大きな下駄ですね?これ」

小野さん
「こちらの下駄、世界で一番大きいと言われておりまして。下駄の重さなんですけども、3.8トンですね」

紀アナ
「3.8トン?」

 鼻緒からの高さは、約2メートル50センチです。巨大ゆえに下駄の下をくぐれば二つ一対、相手を思い合うという意味から、夫婦円満などのご利益もあるといいます。

 そして最乗寺の天狗伝説には、驚きの物語がありました。それを知るために向かうのは…。

354段ある
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小野さん
「この階段の上に、奥の院という場所がございます」

紀アナ
「これ階段どれくらいあるんですか?」

小野さん
「354段」

紀アナ
「354段?もうだって、ほぼ空につながってますもん。こうやって見ると」

小野さん
「そうですね」

 目指すは最乗寺の最高地点、奥の院。到達すれば達成感も得られます。10分ほど登り、天空のお堂へ向かいます。

10分ほど登り、天空のお堂へ
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小野さん
「こちらが奥の院という建物ですね。こちらには十一面観音様がおまつりされております」

 十一面観音は秘仏なので拝観できませんが、特別に堂内へ入って近くでの撮影が許されました。

(2026年5月13日放送分より)

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