
東京・昭島市の多摩川河川敷の公園で、大型獣のものとみられる痕跡が発見されました。市は、クマの可能性が捨てきれないとして、警戒を強めています。
多摩川河川敷に“大型獣の痕跡”
大型獣のフンとみられるものが見つかったのは東京・昭島市。多摩川の河川敷にあるソフトボールのグラウンドです。土手を越えた先には11万人の市民が暮らす市街地が広がります。
昭島市は河川敷を利用する際、十分注意するよう呼び掛けていて、獣の種類を特定するため検査などを行っているということです。結果の判明までには数週間から1カ月ほどかかるとしています。
河川敷の利用者は、元々は川沿いのやぶに近いグラウンドで練習を予定していましたが、クマへの警戒から急きょ離れたグラウンドに変更したといいます。
「きょうは(やぶに近い)8面で予約を取っていたんですけど、向こう側の。川から遠い所で(練習を)やろうかって」
「僕ら日曜日とか毎週(朝の)6時からここで練習しているので。いやーちょっとびっくりですけどね」
毎日犬の散歩で川沿いを歩くという男性は、こう話しました。
「一応まやかしだけど“竹やり”を持ってってる。(クマの)目とか口を突けば、逃げる可能性もないとは言えないから、(竹の先を)とがらしている」
都心に近い場所でも警戒を
先月24日に大型獣のフンが発見されて以降、クマを警戒し自作の竹やりを持って犬の散歩をするようになったといいます。さらに…。
「きのう駐在さんに電話して。結構デカイんだよ、こんな感じで。シカのフンでもないし。20(センチ)はあるよね」
「(Q.結構大きい?)大きい、大きい」
先月29日、男性は300メートルほど離れた近くのグラウンドで、別の大型動物のものとみられるフンを発見。すぐ警察と昭島市に通報したといいます。
男性が発見したのはクマのフンなのでしょうか。クマの生態に詳しい東京農工大・大学院の小池伸介教授は、形状からイノシシのものである可能性を指摘しました。
「かなり推定にはなりますけども、イノシシのフンじゃないかと思います」
一方で、今後都心に近い場所でも、クマの出没に警戒が必要だと話します。
「まだ東京都内では(クマの)分布が広がる途中という状況。分布している場所が(東京も)東側へ広がってきている。今、河川敷が非常にやぶとか樹林化している所が多いので、本来生息している場所から遠くにクマが簡単に移動できてしまう。当然、東京でも多摩川が何も整備をしない、対策をしなければ、クマの市街地への出没の移動経路になり得る」
八王子の中学校で避難訓練
多摩川を挟んで昭島市の南側に位置する八王子市。この街では既にクマの出没が相次いでいます。
八王子市では今年の4月以降、クマの目撃情報などが少なくとも6件。4月末には、住宅付近をうろつく体長1メートルほどのクマの姿をカメラが捉えていました。
先月22日には、その場所からさらに市街地の方向へ3キロほどの距離にある河川でも、クマらしき動物が目撃されたとの通報が警察に寄せられました。
地元住民
「ちょっと怖いですよね。人ごとじゃない」
影響は教育現場にも及んでいて、異例の警戒が続いています。
クマ鈴をつけて登校する生徒たち。山間部に近い恩方中学校。およそ2キロ圏内のエリアで先月17日、クマの親子が目撃されました。
教師
「このクマ鈴ね、みんなの安全守るために八王子市から配られているもので、こういう音をクマが聞くと人がいるんだってこと。基本的にクマが寄ってこないから、これ大事」
動物の生態を学ぶ授業では、親子グマの危険性や対処法、クマ鈴の重要性について生徒たちに説明する場面も。さらに、目撃から5日後にはクマ対応の避難訓練を実施しました。
恩方中学校 早川功副校長
「クマ対応避難訓練を行いました」
この日はクマが校舎内に侵入した際にどう対応するべきかを学びました。
参加した生徒
「(机で)バリケードみたいな形を作りました。どういうふうに行動すればいいのか、ちゃんと確認できたから良かったと思います」
参加した生徒
「登下校中にクマが出たら怖い。クマを刺激してはいけないことを学びました」
早川副校長
「学校だけでは限界があるので、行政と連携をして、今後も対策はさらに深めていきたいなと思っています」
クマ要因でキャンセル多発
クマの出没は、かき入れ時を迎えた観光の町にも影響をもたらしています。“東京の奥座敷”と称される奥多摩町。キャンプや登山など、豊かな自然を求め160万人以上が訪れます。
その玄関口には、クマに注意の看板が設置されています。さらにその隣には、英語で「クマ鈴を携帯してください」というような貼り紙がされています。
先月17日にはクマ鈴などをつけず、1人で登山をしていたロシア人男性がクマに襲われ重傷。さらに2日後には、埼玉県との県境で下半身のみの状態の遺体が発見。クマなどに襲われた可能性もあるといいます。
この事態を受け、町は2つの事故に関連した登山ルートを通行止めにしていましたが、2日に一部を解除する予定です。
クマによる人身事故があった場所から直線距離でおよそ10キロ、山を3つほど超えた地区にあるキャンプ場。敷地内を清流が流れ、テントのすぐ横で川遊びを楽しめると人気を集めています。
近くでクマの目撃情報はありませんが…。
中茶屋キャンプ場 管理責任者 原島誠さん
「30人の日帰りバーベキューの団体だったんですが、クマのニュースを見て、ちょっと今回はキャンセルしたいと。本当に事故からお客さんが減っているので、ちょっと打撃が大きい」
例年、暖かくなる5月以降は多くの客でにぎわいますが、この日は日曜日にもかかわらず客は1組のみ。今月の予約表を見ると、週末も空欄だらけ。予約は例年の3分の1以下に激減しているといいます。
このキャンプ場ではクマの活動が活発になる時間に、獣よけ用の花火や爆竹、さらに1日に何度もクマよけのホーンや大型のベルを鳴らすなど、対策を講じています。
「この音と火薬の臭いでクマ対策というか。クマを近づけないということです」
「クマ対策をしっかりしていれば、何ら怖がることもないと思いますし、安心してキャンプ場の方に遊びに来てもらいたいなと思っております」
「ドラゴンアイ」で緊張感
今年も観光地に暗い影を落とすクマの出没。
秋田県と岩手県をまたがる山・八幡平の頂上付近でみられる、幻の絶景…通称「ドラゴンアイ」。標高およそ1600メートル、雄大な自然にぽっかりと浮かび上がる白と青のコントラストは幻想的で、現在は縁に雪の一部が残っていますが、見頃を迎えています。
まもなく開眼とあって、多くの観光客でにぎわっていますが…先月12日、駐車場付近で雪の中を闊歩するクマや、2頭が木の上に登っている様子が目撃されています。
さらに、先月18日にも道路を歩くクマの姿が…。
クマを目撃した地元住民
「(Q.警戒している様子は?)全然ないです。ここ、車通りが多いんだけど、車が行くのを待って道路渡っていった」
ドラゴンアイの案内ツアーでは、クマに遭遇した場合の対処方法も念入りに説明します。
八幡平自然散策ガイドの会 柴田憲次さん
「実はこのタケノコ、元々はクマさんの食べ物なんですよ」
観光客
「この辺も出る?」
柴田さん
「出ます。私は万が一のために、クマスプレーっていうのをもちろん持ってます。私が対処しますので、皆さんはじっとしていてください。逃げると追いかけますから」
地元の観光協会は、市街地での春グマ出没による観光への影響を感じています。
八幡平市観光協会 海藤美香事務局次長
「やっぱり今年はここに来てあれ?っていう感じで、(観光客が)減っているんじゃないかなというふうに感じています」
「『熊はいますか?』というような質問が多いですね。修学旅行のこういったトレッキングとかのキャンセルも入っておりますし、宿泊者のキャンセルも入っております」
(2026年6月2日放送分より)
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