
共和党の予備選でトランプ大統領の刺客が連勝しているが、民主党と戦う中間選挙では、逆に苦戦になると指摘されている。そんな中、トランプ大統領はレガシー作りに熱心だが、身内の共和党内からも反発が出ている。
刺客で予備選連勝
まずは中間選挙に向けた予備選を見ていく。トランプ政権の残りの任期を左右する中間選挙まであと5カ月となっている。
11月に行われるアメリカの中間選挙では、アメリカ連邦議会上院(定数100)の約3分の1と下院(定数435)の全議席が改選される。
これは第2次トランプ政権の政権運営に対する有権者の評価、いわゆるトランプ政権の通信簿とも言われていて、3月から共和党・民主党がそれぞれ候補者を決める予備選を行ってきた。
こうした中、トランプ大統領は予備選で、自身に批判的な現職議員ではなく「刺客」となる候補を支持し、3連勝している。
先月19日のケンタッキー州の共和党下院予備選では、現職のマッシー下院議員を、ほぼ無名だった元海軍特殊部隊のギャルライン氏が破った。敗れたマッシー氏は共和党員でありながら対イランの軍事行動やイスラエルへの軍事支援に反対してきた。
また、先月26日のテキサス州の共和党上院予備選では、党の重鎮でもある穏健派のコーニン上院議員を、保守強硬派で州の司法長官を務める新顔のパクストン氏が破った。敗れたコーニン氏について、先月19日にトランプ大統領はSNSで「2024年の大統領選で支持を表明するのが遅かった」と投稿していた。
中間選挙では苦戦との見方
ただ、共和党内がトランプ一色に染まることは、民主党と戦う中間選挙では逆に不利に働くという見方もある。
例えば、テキサス州は上院2議席を過去33年間、共和党議員が占めてきた、いわば保守の地盤と言われる場所だ。
アメリカ第一主義を掲げるMAGA派のパクストン氏が予備選で勝利したが、この人物は公金流用疑惑など、数々のスキャンダルを抱えている。
対する民主党の予備選で勝利したタラリコ州下院議員は、敬虔(けいけん)なクリスチャンで保守穏健派の有権者にアピールし、「オバマ元大統領の再来」として注目されている。
テキサス州の有権者を対象とした最新の世論調査では、タラリコ氏がパクストン氏を3ポイントリードしている。
報復受けた議員が造反する可能性も
また、報復を受けた共和党議員がトランプ政権に造反する可能性もあるという。
トランプ大統領の支持率を見てみると、3日時点で支持が40.3%、不支持が57%と、不支持が大きく上回っている。
この要因は物価高対策の失敗、イラン攻撃よる原油高などが挙げられている。こうしたことが共和党への逆風になっている。
こうした中、ニューヨーク・タイムズによると、上院で先月19日、民主党が求めていた「イランへの攻撃継続に議会の承認を義務付ける法案」の審議入りが承認された。
その背景には共和党議員の造反の動きがあるという。刺客を送られたルイジアナ州選出のカシディ上院議員は、以前は法案の審議入りに反対していたが、予備選で刺客に敗北した後、造反し賛成に投票した。
共和党が過半数を握っているが、議席数の差はわずかで、こうした刺客の狙い撃ちにあった議員が今後政権の政策に関わる法案で造反するのではないかと指摘されている。
ケネディ・センターからトランプ氏の名称削除
トランプ大統領は自身のレガシー作りに熱心だが、共和党内からも反発が出ている。
ワシントンにある「ケネディ・センター」は、暗殺されたケネディ大統領を追悼する施設として1971年に開設された。オペラハウスや劇場を備えた総合文化施設となる。2期目就任後のトランプ大統領は自ら理事長に就任し、理事会を側近で固めると去年12月、「トランプ・ケネディ・センター」への改称を決めた。
ケネディ氏の一族の一人であるジョー・ケネディ3世元下院議員は「ケネディ・センターは亡き大統領の生ける記念碑である」と名称の変更を批判した。
さらに民主党議員も法律上の権限を逸脱しているとして提訴していた。
すると、ワシントン連邦地裁は先月29日、この訴えを認め、理事会には独断的な判断で改称を決める権利はないとした。つまり違法だとしてトランプ氏の名前を削除するよう命じた。
これにトランプ大統領は先月30日、SNSで「判事は恥を知るべきだ」「(自由に運営できないなら)一切興味がない」とし、施設の管理権を議会に移すと投稿した。
ホワイトハウスの宴会場 費用面で懸念
また、トランプ大統領肝煎り(きもいり)のホワイトハウスの宴会場建設を巡って共和党内から反発の声が上がっている。
ホワイトハウスの一角を占める東棟は1902年に建設され、1942年に増築された、歴史ある建造物。しかし、トランプ大統領の指示で去年10月に解体された。
その跡地に大規模な宴会場の建設が計画されている。その広さは約8400平方メートル。約1000人が収容でき、豪華絢爛(けんらん)な予想図も出ている。
その建設費についてトランプ大統領は4億ドル、約640億円をすべて民間からの寄付で賄うとしている。ただ、宴会場の警備費に10億ドル、約1600億円の税金投入を要求している。
アメリカのニュースサイトによると、これに対して共和党内からも「重要なことが山ほどあるのに宴会場用の資金に賛成票を投じるのは見栄えが悪い」と批判の声が上がっている。
こうした声が影響したのか、ロイター通信によると、先月16日、歳出法案から宴会場の警備費の項目が削除され、トランプ政権にとって打撃となったという。
(2026年6月4日放送分より)
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