
本来、糖尿病の画期的な治療薬として処方される『マンジャロ』。しかし、SNSなどを中心にダイエット目的で、違法な個人取引も行われ、政府が監視強化に乗り出しました。
体験者語る目的外使用の重い副作用…マンジャロ違法売買で監視を強化 専門医も警鐘
東京都内に住む40代の男性。7年前に2型糖尿病と診断されました。男性は、週に1回、マンジャロを投与しています。

2型糖尿病の患者(40代)
「当てて打つ。痛みはさほどないです。血糖値が、打ち始めて2年近く、安定している。それと一緒に、肝機能とか全身の数値も、いい数値を出して、安定している。命の次に大事な薬」
インスリンの分泌を促し、血糖値を下げる効果があるマンジャロ。
日本では、2022年に承認されました。2型の糖尿病患者にとって、救世主ともいえる薬です。

荒井理咲子アナウンサー
「発売直後から若い女性たちを中心に注目され、SNSなどで拡散されたマンジャロ。その目的は、糖尿病治療ではない別のものでした」
20代
「(Q.マンジャロを知っている)痩せる薬」
20代
「最近の若い子はダイエットで。みんな細いじゃないですか。ダイエットって言葉で、みんなやっちゃうと思う」
20代
「知り合いだと2人はやっている。短期間で、8キロくらい落ちたと」
糖尿病治療の薬なのに、なぜ、ダイエット目的で広まっているのでしょうか。
20代
「インフルエンサーとか」
20代
「TikTokとか、“おすすめ”に出てくる」
“痩せ薬” SNSの違法売買で検挙も
マンジャロをめぐっては、警察が動き出す事態にも発展しています。
本来、医師の処方が必要なマンジャロを違法に販売したとして、大阪府警は、今週、男女3人を書類送検しました。

女性会社員(35)は、去年12月、SNSを通じて、無許可でマンジャロ1本を7244円で女性に販売した疑い。アルバイト女性(29)と男子大学生(22)は、販売目的で自宅に保管した疑いが持たれています。3人は、いずれも容疑を認めています。
食欲を抑える効果があることから、痩せ薬として、使用者が急増しています。
熊本県に住む女性は、去年5月、初めてマンジャロを使いました。
マンジャロを11カ月間使用(20代)
「接客業をしていて、体型を気にするようになって。痩せないとと思って。皆さん痩せているので、とことん痩せたい」

マンジャロを知ったきっかけは、SNSで見つけた美容クリニックの広告。
最初は、オンライン診療で、医師から処方を受けていましたが、その後。
マンジャロを11カ月間使用(20代)
「仕事柄ですが、客が医者で、無料でもらった。(Q.副作用の説明は)その医者からはなかった。(Q.処方箋も)なかった」
女性は、一度に3カ月分、12本を手にしたそうです。
マンジャロを11カ月間使用(20代)
「『痩せたいならいいと思う』『大量にあるからもらう?』と。お医者さんなので、大丈夫かなというのはあった」
ダイエット目的で副作用
東京都内に住む女性は、オンライン診療でマンジャロの処方を受けました。1カ月で5キロ痩せたといいますが、待っていたのは、重い副作用です。

マンジャロを1カ月間使用(30代)
「下痢とか倦怠感とか、全部において無気力になったり。最初の1週間は(1日)6回ぐらい下痢していた」
体への負担は大きく、女性は1カ月で使用をやめました。
マンジャロを1カ月間使用(30代)
「心も体も不健康になると思うと、目先の体重を落とすことだけが、ダイエットじゃないと思った。リスクが大きいのと、心も体も病んじゃうと思ったので、おすすめはしない」
ダイエット目的の場合、保険が適用されない“自由診療”として処方を受けることができますが、その場合、費用は10割負担。さらに、保険適用外での処方は、重い副作用が出ても、公的な救済制度の対象外になるなど、リスクも伴います。
目的外使用に専門医も警鐘
マンジャロとは、どのような薬なのでしょうか。

都立大塚病院糖尿病内科 中村佳子部長
「インスリン分泌を促すので、食べて血糖値が上がったところを“下げる薬”として使われている。副次的な効果で、満腹にさせる効果と、お腹の働きを抑制して、お腹を張った感じを維持させ、“食欲減退”と言われている」
2型糖尿病患者にとっては、画期的な薬ですが、それでも最初は少ない量から始め、1カ月ごとに、副作用を確かめる必要があるといいます。

ダイエット目的で使用した人が、救急搬送されてくるケースもあるそうです。
都立大塚病院 糖尿病内科 中村佳子部長
「嘔吐、気持ち悪くて、下痢もあり、ぐったりしている。本当にマンジャロって、いい薬ではあるんですね。治療として必要な人に届けてあげたい薬で、自分の状態で本当に合ってるのか、十分、見極めて使っていただきたい。っていうか、使ってほしくない、自由診療では」
『卍』など隠語も…個人取引が横行
SNSでは、違法な個人間売買も横行しています。

中には『卍』などの隠語を使ったものもあります。東京都は、こうした違法な取引への取り締まりを強化。監視の目を光らせています。
5日、厚生労働大臣も、改めて、注意を呼びかけました。
上野賢一郎厚生労働大臣
「厚生労働省としては、都道府県と連携して、SNSを含めたネットパトロールを強化して監視をしていきます。法違反に対しては、厳正に対処していきたい」
