
7年ぶりとなる、中国・習近平国家主席の北朝鮮訪問が発表されました。習主席は先月、トランプ大統領やプーチン大統領とも会談を行ったばかり。ここにきて活発な外交を繰り広げています。
【画像】【報ステ解説】中国・習主席が7年ぶりに平壌へ その狙いは?“非核化”議論は
習主席訪朝へ“血の同盟”行方は
中国外務省 毛寧報道局長
「訪問を契機として中朝関係が時代と共に前進し、さらに発展を遂げ、両国人民の福祉を増進し、地域と世界の平和・安定や発展・繁栄に大きな貢献を果たすよう後押ししていく」

習主席の外遊は今年、初めてのこと。自ら出向く時は、そこに高度な計算と思惑があると言われています。7年前、2019年に初めて訪朝した時は、ちょうどトランプ大統領と金正恩総書記が直接会談するなど「アメリカと北朝鮮が急接近」というタイミングでした。

中国中央テレビ
「習近平総書記は『守ってきた70年間の中朝友好は、先人たちが作り上げ、残してくれた貴重な財産である。世の中が移り変わり、状況が厳しく変化したとしても、中朝間の友好は時間が経っても色あせない』と話した」

楔(くさび)を打つためか“血で結ばれた同盟”とも言われる中朝関係を強くアピールした訪朝でした。
では今回の目的は何なのか。考え得る1つは、先日のトランプ大統領訪中の時に俎上(そじょう)に載っていた核問題です。

White House ファクトシート
「トランプ大統領と習国家主席は、北朝鮮の非核化という共通の目標を確認した」
9月にはワシントン訪問が控えています。しかし今の北朝鮮は、非核化に前向きな状況にはありません。
朝鮮中央テレビ
「我々は国家の核武力を幾何級数的に強化する」

新たな核施設も建設され、金正恩総書記が遠心分離機を視察したばかり。この行動は中国に対するけん制とも取れますが、中国側も核保有に関しては黙認状態にあるとされています。核開発の話がメインではないとすれば一体。北朝鮮の外交は今、過渡期にあります。
北朝鮮 金正恩総書記(2024年)
「朝ロ関係は過去の朝ソ関係の時代とは比べられない絶頂期を迎えている」
ロシアと蜜月関係を築き、中国の後ろ盾はさほど必要としていません。欧米メディアは、今回の習主席の訪朝を「ロシアを強く意識したものだ」と伝えています。

AFP
「『北朝鮮が静かにロシアの勢力圏へと移行した』欧米で支配的なその見方に対し、今回の訪朝は習近平氏による『目に見える形』での反論である」
7年ぶり訪朝 習主席の狙いは?

中国総局の冨坂範明総局長に聞きます。
(Q.このタイミングでの訪朝、習氏の狙いや背景は)
中国総局 冨坂範明総局長
「トランプ大統領、プーチン大統領との会談を終え、習主席が今年最初の外遊先として北朝鮮を選んだ意味は大きいと考えます。中ロ朝の枠組みの中で、ロシアに接近しつつある北朝鮮を、対米戦略の一環として、中国の影響圏に置くことが中国の1つの主眼と言えます。また、朝鮮半島問題でアメリカと北朝鮮、その両方と対話ができるという、中国の影響力を誇示する狙いもあります。さらに、北朝鮮が核開発を正当化する理由となっている、アメリカの北へのプレッシャーを弱めさせたいという面もあります。また、中ロの首脳会談でも朝鮮半島情勢は話し合われていて、このタイミングでの訪朝で、3カ国の国境地帯での協力などが動き出す可能性もあります」

(Q.日本にとっては、北朝鮮の非核化、核の脅威を軽減させることを、後ろ盾である中国に期待したい面もあるが、期待できるか)
中国総局 冨坂範明総局長
「『朝鮮半島の非核化』という言葉は、7年前の訪朝の際は習主席も言及していました。しかし最近は、この言葉を使うことがめっきり少なくなっています。また、去年発表された、核不拡散などの基本方針を示した中国の『軍縮白書』からも、この表現は消えています。理由は、金正恩総書記が核開発を強く推し進める中で、『朝鮮半島の非核化』が現実的に困難になりつつあり、むしろ対話による半島の安定にかじを切った可能性があります。北朝鮮の核開発は、中国にとってもいい話ではありませんが、その矢面に立つのは得策ではないと考えています。今回の中朝の会談では、『朝鮮半島の非核化』は主たる議題にはならないのではと考えます」
