
中東情勢の影響で様々なモノの値上がりが続いていますが、早くも沖縄の石垣島では日本一早い新米が店頭に並びました。気になる価格は5キロ税込み3600円。コメの価格はこの先、どうなるのでしょうか。(サタデーステーション6月6日OA)
“日本一早い新米”5キロ3600円
サタデーステーションが向かったのは、超早場米の産地、沖縄県石垣市。全国に先駆け新米の売り出しが始まりました。売り出しから3日間は、特別価格の3600円。去年は、4298円だったので、700円ほど、安くなりました。
コメを購入した客
「お米は高い日が続いていたので、この価格だとたくさん欲しくなる価格になっています。4つ買いました」
「試食しておいしいなと思って。モチモチ感もあったし甘みもあったし。いいんじゃないですかね。安くなってきてる」
JAおきなわ 八重山地区営農振興センター 多良間和貴営農指導員
「農家が生活出来るようなコメの値段と、消費者が困らないようなコメの値段、これを両立出来るようなところのバランス(が重要)。例年よりは安くなると思います」
初売り価格3600円ついて、生産者は。
なかもと農園 仲本大希さん
「(石垣のコメは)味がいいっていうので、やっぱりそれに見合った金額をつけたいというのと、そのお米を安くお客さんに届けたいっていうのが一番強いので、3500円とか 3700円ぐらいが一番いいボーダーラインなのでは。3000円切っちゃうと、また自分らの生活ができなくなっちゃう」
コメ価格どこまで下がる?記録的な在庫過多の実態
なぜ、去年より安い売値となったのでしょうか。コメ政策に詳しい専門家は。
宇都宮大学 松平尚也助教
「2026年の6月末の民間在庫が記録的な適正水準を超える見通しになっている」
農林水産省によると、4月末の民間在庫は249万トンで、前年同月比で81万トンも増え過去10年で最多となっています。
宇都宮大学 松平尚也助教
「高値が続いたので、コメの消費量も落ち込んでいて、買い控えも進んでおり需要が弱くなっている状況」
その影響を受け、コメの価格が下がり続けています。きのう発表されたコメの平均価格は、5キロあたり3673円で2週連続で値下がりしました。どこまでコメの価格は下がるのでしょうか?
スーパーマルヤス 松井隆代表
「茨城のあきたこまちが5キロで、税込みで3238円という形で、一番お安い(特売)で売らせてもらってます」
店での通常価格は税込みで3599円ですが、今後は特売価格よりさらに安くできるといいます。
スーパーマルヤス 松井隆代表
「(早場米が出てくる)夏に向けて今、下がってる最中と理解していて、当店ではおそらく税込みで2000円台で売れる日も、そんなに先ではないのかなと思います」
税込みで2000円台とは、コメが値上がりを始める前の、2年前の価格水準です。
大きな影響を受けているのは、コメ卸です。訪ねたのは千葉県の業者。
米のたけやま 伊藤享兆代表
「こちらが令和7年度産をしまっている低温倉庫になっています。(本来なら)今の時期だと、ほぼ空っぽの状態で。今年はあまり売れ行きがよくないので在庫として残っています」
倉庫には、去年産のコメが400トンほど売れ残っていました。
米のたけやま 伊藤享兆代表
「千葉県では8月に新米の収穫が始まってくるので7月までにはこの在庫をすべて売り切りたい。7年産の買い入れした玄米が高かったので、もう損切というか、買った価格より安くして販売していくしかこの在庫を処分する方法はない。(店頭販売価格で)年はじめは4200円、(今は)5キロで3200円くらい」
来年は更なる“コメ余り”の懸念 その裏で上がり続けるコスト
コメの卸売りだけでなく、生産も行っている伊藤さん。懸念するのは、これから先もコメ作りを続けていけるのかどうか。
米のたけやま 伊藤享兆代表
「4月に植えた苗は、8月10日ごろから収獲に入る。9月ごろには、店頭に新しい新米として並んでいる。今ある7年度産の在庫は、高いし余っている。この価格が下がっていくことで8年度産も、そこまで高い価格にならない。私が予測するのは、(店頭販売価格で)大体2500~3000円」
去年の新米の店頭販売価格は、5キロ4500円ほどだったので。今年は半分ほどになる可能性があるといいます。一方で、コメ作りにかかるコストは、増加を続けています。
米のたけやま 伊藤享兆代表
「コメの価格は下がる、でも資材の価格はどんどん上がっていく。私が一番懸念しているのは、この7年産のコメ余りから、8年度産も余って、さらに9年度産も余って、そうするとお米の取引価格がどんどん下がっていく中で農家が作り続けられなくなってしまうんではないかという心配がある」
新米については、4月に発表された、コメのコスト指標が参考になるといいます。小規模な農家が対象ですが、5キロで2816円となっています。
宇都宮大学 松平尚也助教
「このコスト指標というものは生産と流通と販売段階でどれくらいのコストがかかるかというものを出した。それに利益をのせると大体5キロ3500円前後になるんじゃないか」
高島彩キャスター
「今年のコメの価格は5キロ3500円ほどで落ち着きそうだということですが、私たちにとって必要な時にきちんとお米が手に入るということも大切です。そのあたり政府は何か対策を取っているんでしょうか?」
板倉朋希アナウンサー
「政府はコメの安定供給を目的とした食糧法改正案を国会に提出していまして、すでに衆議院を通過しています。その改正案の柱は大きく3つあります。まず『生産者には需要に応じた生産に主体的に務めることを求めると』。そして次に『流通段階で、どこにどれだけのコメがあるのか、報告の義務を強化し、罰則も講じる』ということです。そして三つ目が『一定規模以上の民間事業者に備蓄米の確保を義務づける』ことなどとなっています。つまりコメ不足で浮き彫りになった生産・流通・備蓄、この3つに手を入れる内容となっています」
高島彩キャスター
「これでコメの安定供給や価格の安定につながるかどうか、そこが問題ですよね」
板倉朋希アナウンサー
「その点について、宇都宮大学の松平尚也助教は『流通状況を把握しやすくしたり、備蓄制度を見直すことは前進』と評価するものの『米の安定供給を実現するには、まだ足りない』と指摘しています。その上で、いまやるべきこととして松平助教が挙げたのが、『地域の中核的な農家をつなぎとめろ』です。というのも農家は肥料や燃料のコスト上昇に直面する一方で、将来の価格や需要が見通しにくく、『 利益を上げている優秀な農家でさえ、コメ作りに見切りをつける、という経営判断を迫られている』ということなんです。また『こうした農家の離農が続いてしまうと、将来的に供給不足や価格高騰にもつながりかねない』ということで、『価格が大きく下がった場合には、一定の支援を行って農家の経営を支える仕組みなど、セーフティーネットを整えることが重要』だと松平助教は指摘しています」
高島彩キャスター
「柳澤さんは、政府の取り組みをどう見ていますか?」
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏
「生産農家へのサポートと併せて、“流通段階の見える化”が大切だと思います。去年コメが不足して騒ぎになった時に流通段階で、どこにどれだけコメがあるのか分からなかったことが大きく指摘されましたが、今回、法改正をしたら、その点をきっちりと厳格に法律を適用することで、流通段階の見える化、透明化を図ることが、我々消費者にとっても大切なことだと思います」
高島彩キャスター
「“見える化”して、在庫量・流通量・価格の推移が見えてくると消費者も安心して、不安を減らすことにつながっていく。この先も安心しておコメを食べられる社会をどう作っていくかが課題です」
