
プーチン大統領は、ロシアが主催した国際会議の場で、ロシアの国内経済の勢いが減速していることを認めた。また、ウクライナに領土を奪還されていると報じられているが、プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領が提案した首脳会談には応じない考えを示した。
ロシア 支配領域減少か
ウクライナでの戦況を見ていく。ここへ来て状況に変化が生まれてきているという。
アメリカの戦争研究所が発表した分析によると、今年4月、ウクライナでの前線においてロシアが新たに占領した地域よりも、ウクライナが奪還した領土が広かったといい、これは2024年8月以降初めてのことだったという。
さらに先月、ロシア軍は新たに約40平方キロを占領した一方で約280平方キロで支配権を失ったという。
背景に何があるのか?戦争研究所は、今年2月以降、スペースX社の通信サービス「スターリンク」からロシアが遮断されたことで、ウクライナがドローン戦で優位に立っているという。
また「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、ウクライナ軍がAIを搭載したドローンで、ロシアの兵站(へいたん)や指揮所などを攻撃したことで、ロシア軍の前線部隊への支援が困難になったこともロシアが前線で押されている要因の一つだと指摘している。
兵士不足で“隠れた強制動員”も?
また、ロシア軍の兵士不足も深刻な課題となっているという。
ロシア政府は、大学や企業にノルマを課して志願兵を募っているといい、戦争研究所はロシアの人的損失が募集ペースを上回り始めたため、ロシア政府が「隠れた強制動員」に頼っている可能性が高いとしている。さらに多重債務者をも動員しようとしているといわれている。
先月、プーチン大統領は新たに入隊する兵士とその配偶者の債務を免除する大統領令に署名したといい、その免除額は日本円にして最大で2160万円にも上るという。
プーチン氏の出口戦略は?
こうした状況でプーチン大統領は出口戦略をどう描いているのか?
ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、プーチン大統領に宛てた公開書簡の中で、戦闘終結に向けた首脳会談の開催を呼びかけたが、翌日プーチン大統領は「やる意味が分からない」としてこれを拒否した。
一方で、プーチン大統領に近い専門家からも戦闘終結を求める声が出ている。ロシアの安全保障の専門家カーシン氏は、ロシアの外交専門誌への寄稿文の中で「友好的な政権をキーウに樹立するという目標は、もはや現実的でない」と指摘している。
これまでウクライナ東部4州の割譲を求めていたプーチン大統領も、4日にはドンバス地域(2州)の割譲で終戦が可能だとの考えを示し、去年8月の米露首脳会談で合意した「妥協案」を受け入れる用意があると表明するなど、戦闘終結を模索する動きも見せている。
ロシア少子高齢化が加速
プーチン大統領は、ゼレンスキー大統領に公開書簡の中で「高齢だ」と指摘されたことについて反発している。そんなロシアで今、巨額の“長寿化プロジェクト”が進んでいる。
現在、ロシアでは人口減少と高齢化が課題となっているという。
女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、去年1.374。1月~3月の出生数は29万人ほどで、約200年ぶりの低い水準に急落した。
また「ワシントン・ポスト」によると、侵攻開始から1年で少なくとも50万人から100万人近くが国外に脱出したという報道もある。さらに先月27日には、イギリスの情報機関の報告によると、これまでのロシア軍の戦死者は約50万人にも上るという。
国連によると去年の時点でロシアの人口は1億4400万人だが、少子高齢化が進むことなどで、最悪の場合2100年にはロシアの人口が9000万人以下になる推計もあるという。
“長寿化プロジェクト”狙いは?
こうした中“長寿化プロジェクト”が打ち出されているという。
この計画は、ロシア政府が国民の健康で活動的な時間を延ばすためとして計画したもので「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、日本円で4兆円規模の国家プロジェクトだ。「細胞の老化を遅らせる遺伝子治療法」や「移植用臓器の作製」などを目指すといい、プーチン大統領の長女で内分泌学者のマリヤ・ボロンツォワ氏も関わるという。
プーチン大統領は2024年5月、他の主要国と比べても短いロシア人の平均寿命を2030年までに78歳に延ばすことを国家目標に掲げており、今回の取り組みもその一環とされている。
2024年時点のロシアの平均寿命は全体で73.4歳。男性が68歳、女性が79歳と男女で11歳の開きがある。ちなみに日本の平均寿命は84歳となっている。
プーチン大統領は去年9月、中国を訪問した際、習近平国家主席に「臓器を継続的に移植することで不老不死さえも達成可能」だと話したとも報じられており、「ウォール・ストリート・ジャーナル」はプーチン大統領はこれまでも肉体的な衰えを異常なほど気にしてきたと報じている。
経産省幹部らがロシア訪問
経済産業省の幹部らがロシアを訪問した。経団連なども同行したという。
先月26日と27日の2日間、経済産業省の幹部らが経団連や企業関係者とロシアを訪れ、ロシアの経済官庁や経済団体と、日本企業が持つロシア国内の資産の保全などについて意見交換したという。
「制裁下のロシアと新たな経済協力を模索しているのでは」との批判も出ていたが、政府高官は「日本のロシア制裁の立場に変化はない」と強調している。
(2026年6月8日放送分より)
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