
トランプ大統領による「中南米の裏庭化」が加速している。ペルーではトランプ大統領への支持を表明しているアルベルト・フジモリ元大統領の長女が大統領選の決選投票に進んだ。
ペルー大統領選挙
36人が乱立した南米ペルーの大統領選挙は上位2人による決選投票が、日本時間の8日午前7時まで行われた。
収賄や汚職疑惑で、過去10年で8人の大統領が交代するなど、政治の混乱が続いているペルー。
2年前に死去したアルベルト・フジモリ元大統領の長女で中道右派政党「フエルサ・ポプラル」を率いるケイコ・フジモリ候補(51)は、このように述べた。
ケイコ・フジモリ候補
「今すぐ行動を起こして国を立て直すか、すでに失敗したのと同じ手法を繰り返すか、秩序か混沌(こんとん)か」
対するは、罷免(ひめん)・拘束されたカスティジョ前大統領の盟友で、左派のロベルト・サンチェス候補(57)。
ロベルト・サンチェス候補
「ケイコ・フジモリ氏の率いるフエルサ・ポプラルの手から民主主義を救うために尽力します」
有権者の最大の関心が治安対策。国内では凶悪犯罪が急増し、過去5年間で恐喝事件は5倍、さらに殺人事件も倍増しているという。
ロベルト・サンチェス候補
「犯罪の取り締まりは弱体化しています。これはすべて、あなたの党が制定した法律の結果です。ケイコさん、あなたが国民に伝えるべきは、それがあなたの責任だということです」
ケイコ・フジモリ候補
「あなたは以前の政権の閣僚だった。ですから言い訳をし続けているのは、あなたのほうだと国民ははっきり理解していると思います」
この批判の応酬に専門家は…。
京都大学 村上勇介教授
「ケイコさんのほうはケイコさんで、国会の主導権を握れる立場にあった。もう1人のサンチェスさんのほうは、カスティジョ政権の担当大臣だった。彼だってペルーの惨状に責任があるわけですね。だから、お互い傷だらけなんですよ」
父の存在…強み?弱み?
ケイコ候補が大統領選挙に挑むのは4度目。過去3度は、いずれも決選投票で敗れた。
父のフジモリ元大統領は、治安改善やインフレ抑制で「救世主」として熱烈に支持された一方、軍を使った国会閉鎖など強権的な「独裁者」と反発する声も。評価を二分する父の存在が、強みにも弱みにもなっていた。
日本時間の午前7時すぎに公表された出口調査ではケイコ候補が、50.7%とリードしているものの、サンチェス候補が49.3%と極めて僅差となっていて、公式結果の発表には時間がかかるとみられている。
どちらが勝つかで、アメリカとの関係も変わるという。
村上教授
「トランプ政権との関係で言うと、ケイコさんがなったほうがずっとスムーズです。逆にサンチェス候補になると、ちょっとギクシャクする可能性はあります」
介入強める…米国の思惑
中南米諸国では、トランプ大統領の選挙介入の影響などから、政権がアメリカに従順な「トランプ色」を帯びてきている。
去年10月のボリビア大統領選挙、アルゼンチン議会中間選挙で、いずれもトランプ氏と協調路線をとった側が勝利している。
去年11月と12月にも、ホンジュラスとチリの大統領選でそれぞれトランプ氏支持の右派候補や、“トランプ流”と評される候補者が勝利している。
そして、現在は左派系の政権とみられているベネズエラ、コロンビアでも動きがみられ、特に先月31日にはコロンビア大統領選が行われ、トランプ氏が支持を表明した右派候補がトップで決選投票に進んだ。
さらに今年10月には、現在左派政権のブラジルでも大統領選が行われる。
トランプ大統領が中南米への介入を強める背景には、何があるのだろうか。
中南米政治に詳しい京都大学の村上勇介教授によると、第一に「一帯一路構想で中南米への進出を強める中国への警戒」だという。
南米の多くの国の最大の貿易相手国が中国になっていて、そうした状況を排除するため、反米左派政権に対して圧力を強めているという。
さらに、イラン情勢が膠着(こうちゃく)する中、アメリカの中間選挙に向けた成果づくりとしては「キューバ」がポイントになるという。
最も手っ取り早く結果を出せる標的がキューバで、ベネズエラへの介入以上に簡単に現体制を崩壊させることができ、軍事的に制圧しやすく、いつでも短期間でアメリカ国内向けの実績作りができる、手頃なカードと見なされている。
「来週にも介入がある」という情報がアメリカ国内にはあり、村上さんとしては軍事干渉の可能性はあるという。
(2026年6月8日放送分より)
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