サッカーの北中米ワールドカップ開幕まであと2日、日本対オランダの初戦まではあと5日です。大注目なのが、中村敬斗選手(25)。中村選手のサッカーには、彼にしかない世界というものがあるんです。松岡修造さんが話を聞きました。
日本の命運握る攻撃の中心
18年前、ブラジルのとあるビーチ。ドリブルをしているのは、家族旅行で訪れた8歳の日本人。道端に場所を移すと、リフティングを披露します。
8歳とは思えないテクニックに、サッカー王国の子どもたちも驚愕(きょうがく)。この少年が日本の命運を握っています。
中村敬斗選手、25歳。フランスのスタッドランスでプレーする左サイドのアタッカーです。
代表デビューは3年前。初出場から6試合6ゴールと鮮烈なデビューを飾ると、今年4月には強豪イングランド戦で三笘薫選手の決勝ゴールをアシスト。歴史的勝利の立役者となりました。
ブラジルでボールを蹴っていた少年は今、日本の攻撃の中心を担っています。
「(Q.一番の武器は?)2つある。シュートとドリブル。どっちも自分の得意な形を持っている」
意外な感覚で打つシュート
2つの武器。その1つがシュートです。自らシュートコースを作り、決め切る形を得意としています。
去年11月のボリビア戦の場面では、後ろから来る相手を華麗にかわし決め切ります。中村選手は、常に意外な感覚でシュートを打っていました。
「頭の中は真っ白というか、クリアな状態、フリーな状態で打つと入る。何も考えていない。なんか入った。打って入っちゃった感覚に近い」
「(Q.決めにいってない感じですか?)…」
「(Q.パッとスポットが見えて、そこに打っている?)そういうことです」
「(Q.一番強いじゃないですか)パッとスポットが見えて、何も考えないで打っている」
中村選手の感覚は、スポットがパッと見えて、あとはそこへ蹴り込むだけだといいます。
「相手の重心ずらし抜く」
そして、もう1つの武器がドリブルです。
「僕のドリブルは自分から仕掛けていく。自分からフェイントを出して、相手の重心をずらして抜く」
中村選手のドリブルは相手の重心を動かし、その逆へ。相手の重心の逆へ。4月のイングランド戦でも、得意の形で決定機を作りました。
「自分の得意な形のドリブルは、強豪相手でも通用する」
「(Q.サッカーで最も大事にしているものは?)一番は、本能でやるというところは、大事にしているかなと思う」
「(Q.本能?)ロナウジーニョが大好きで、ブラジルのサッカーに魅了されている。教え込まれたようなプレーではなくて、本能で思うがままに動く」
元ブラジル代表のロナウジーニョ選手。スピードに乗ったドリブルに、創造性あふれるテクニック。2度のワールドカップに出場し、ブラジル史上最高の選手の1人とも言われています。
王国で養った感覚が今へ
そんなロナウジーニョ選手への憧れが、18年前につながります。
「8歳だったので『とにかく行きたい』『ブラジルにどうしても行きたい』と、親にお願いして連れていってもらいました」
なんと8歳にしてブラジル旅行を両親に頼み込み、実現させていました。そこでは、ボールを蹴れば自然と人が集まります。ボール1つで訪れたにもかかわらず、常に誰かとサッカーをしていました。
「『一緒にサッカーやろうよ』と声をかけてくれて。あの子たちだけじゃなくて、空港でもリフティングしていたら、働いている人が『入れてくれよ』と来て。一緒に5、6人でリフティングした。ブラジル人全員サッカーが好き」
「(Q.何があるような感じがしました?)フリーで好きなようにボールを蹴ることが、ブラジルサッカーの原点。8歳でブラジルに行って、感覚を養ったことが今につながっている」
8歳で憧れの地を訪れた少年は17年後、ブラジル代表からゴールを奪いました。
「(Q.今回のワールドカップはどんな役割?)強豪と対戦する時にチャンスは多くない。少ないチャンスでアシストだったり、ゴールにつながるプレーをする」
本能とは「考えない強さ」
小木逸平アナウンサー
「驚きの感覚。あ、入っちゃったというようなゴールを量産していただきたいところですが、同じポジションだった三笘選手が不在ということもあって、その期待も一緒に背負っているような感じもありますか?」
松岡さん
「その話も聞きました。やっぱり、三笘選手の欠場は残念がっていました。特に三笘選手に対しては、学びの対象であって、一緒に日本代表をプレーしたことによって、自分の幅も引き出しも大きくなったと言っていました」
大越健介キャスター
「しかし、それにしても8歳でブラジルへ連れていってと親にせがんで、実際に行く人はなかなかいない。ブラジルに行って、リフティングをやって、周りの少年たちが寄ってきて驚くという。そんな少年はまずいないでしょう。本当にサッカーの星のもとに生まれてきた、そんな選手です」
松岡さん
「だからこそ、今回の日本代表で中村選手に注目したいのは本能です。僕は言葉を変えるとしたら『考えない強さ』だと思う。とやかく考える前に行動をとっていく。大きな舞台はどうしても点を取りたい、勝ちたいと考える。考えたらダメ。本能で戦ってほしいです。本能を信じている!」
(2026年6月9日放送分より)
