
南米コロンビアで今週末、大統領選挙の決選投票が行われる。現在、選挙戦でトップを走っているのは、政治経験のない「ミニトランプ」と呼ばれる極右候補。事前の予想を覆している。
【画像】右派候補のデラエスプリエジャ氏(47) 意外な経歴とは
「トラ」と獰猛な異名
まるでライブのように盛り上がる会場。スモークの中から現れた候補者に歓声が上がる。
21日に行われるコロンビア大統領選の決選投票。候補者は右派のデラエスプリエジャ氏(47)。
「私は自らの運命を取り戻すために立ち上がった、コロンビア国民の代理人です」
対するのは現ペトロ政権の後継候補で左派のセペダ氏(63)。
「我々はコロンビアが必要とする偉大な歴史的変革の構築を継続し、極右勢力とその国家滅亡計画を打ち破るだろう」
右派と左派の一騎打ち。番組が注目したのは、右派のデラエスプリエジャ氏だ。
選挙戦では、豪華クルーズ船に乗って演説することもある。
「これまで以上に強く希望を抱き、ならず者に対して断固として立ち向かい、祖国を守るために立ち上がる」
派手なパフォーマンスや過激な言動で支持を集めている。
「コロンビアよ!我こそは轟き(とどろき)、牙(きば)をむくトラだ!」
スペイン語で「エル・ティグレ」=「トラ」と獰猛(どうもう)な異名を持つ。
その一方で、こんな意外な経歴もある。テノール歌手としてアルバムをリリース。歌う映像は、これまでに139万回も再生されている。
強硬な麻薬対策を公約に
そんなデラエスプリエジャ氏が称賛する人物が、アメリカのトランプ大統領だ。
「トランプ大統領は国のため、体を張っている。私たちも祖国を守る者でなければならない」
そんなことから、彼は「ミニトランプ」とも呼ばれている。訴えている政策も「麻薬カルテルを爆破する」「コカ栽培を根絶する」など過激な内容だ。
コロンビアは世界最大のコカイン生産国として知られ、強硬な麻薬対策を公約としているのだ。
しかし、こうした政策は新たな混乱を招きかねないと、コロンビアの麻薬と紛争に詳しい帝京大学外国語学部・千代勇一准教授は指摘する。
「生活手段を失った農民たちが食べていけなくなって、中にはやむを得ず、武装組織に入る人もいるかもしれない」
強硬策がさらなる混乱に…
デラエスプリエジャ氏が掲げているのは、麻薬カルテルの資金源を断つため、コカインの原料となるコカ栽培地への除草剤の空中散布や麻薬カルテルへの軍事的攻撃などの強硬策だ。
しかし、その政策には懸念も指摘されている。千代准教授によると…。
「除草剤の散布は短期的にはコカの葉を一時的になくすことはできる。ところが、コカというのはだいたい8カ月ぐらい経つと、種からまた育っていっちゃうので。結局、除草剤をまいて枯らしても、また植えれば同じことになってしまう。1年以内にまたコカの葉が収穫できるようになってしまう」
また、コカ栽培に手を出してしまう農民は、政府の支援が行き届いていない地域に暮らす人々だ。インフラや貧困など格差問題を解決しなければ、根本的な解決は難しいという。
さらに、こんな問題もある。
「生活手段を失った農民たちが食べていけなくなって、国内避難民になってしまう。そうした人々が中にはやむを得ず、武装組織に入る人もいるかもしれない」
強硬策がさらなる混乱を招く可能性があるという。右派のデラエスプリエジャ氏は最後の選挙活動でこう話した。
「我々は過激左派を打ち負かすことができるだろうか?皆さん、ありがとう。我々はコロンビアを救い、再建するのだ」
両者による決選投票は21日。勝利するのは一体、どちらなのか。
政策に懸念も 優位に立つ
「ミニトランプ」と呼ばれる極右候補、その政策の中身を見ていく。
「ミニトランプ」や「トラ」という異名を持つデラエスプリエジャ氏だが、掲げる政策はアメリカとの緊密な協力、軍事予算増強、デモ参加者への発砲許可や麻薬犯罪に対する厳しい軍事的対処を提唱。
また、公約ではジャングルに10の巨大刑務所を建設することも掲げ、その異名通りの印象を受ける内容だ。
こうしたデラエスプリエジャ氏に対する懸念も指摘されている。
ニューヨーク・タイムズは、一部のアナリストがエルサルバドルとエクアドルで同様の政策が実施された結果、人権侵害が発生したと指摘したと伝えていて、罪を犯した移民を国外追放するという公約や中絶反対、同性カップルによる養子縁組の権利に反対する姿勢を問題視している。
こうした中、21日に行われる決選投票の行方が注目されているが、13日に行われた最終世論調査では、与党候補のセペダ氏の45%に対してデラエスプリエジャ氏が52.6%と優位に立っているという。
こうしたコロンビアに対し、トランプ大統領が圧力をかけてきているようだ。
今年1月、トランプ大統領はコロンビアのペトロ大統領を念頭に、「コカインを製造し、アメリカに売るのが好きな危険な男が国を運営している。長くは続かない」と批判していた。
一方で、デラエスプリエジャ氏については今月3日、自身のSNSで、「彼の人生における輝かしい功績と、私個人に対する政治的支援に感謝し、彼を全面的に支持できることを光栄に思う」と投稿し、「ミニトランプ」と呼ばれるデラエスプリエジャ氏を公然と支持した。
(2026年6月17日放送分より)
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