AI駆使した“犯罪ビジネス”を指揮か…カンボジア特殊詐欺拠点『オーナー』逮捕

AI駆使した“犯罪ビジネス”を指揮か…カンボジア特殊詐欺拠点『オーナー』逮捕
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カンボジアを拠点とする大規模詐欺グループの全体像が初めて明らかになりました。16日、愛知県警に逮捕された佐々木裕介容疑者(38)は、グループの“オーナー”として君臨し、複数の指示役や“かけ子”を使って、AIを駆使した巨額の犯罪ビジネスを取り仕切っていたとみられます。

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“かけ子”ら束ね組織に“出資”

佐々木裕介容疑者
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16日にタイから日本に移送され逮捕された、佐々木容疑者。去年2月、かけ子らに指示し、警察官をかたる嘘の電話をかけさせ、茨城県の女性から現金3140万円をだまし取った疑いが持たれています。

佐々木裕介容疑者
「黙秘します」

佐々木容疑者が関わっていたとされるのが、カンボジア・ポイペトの特殊詐欺拠点。去年5月に摘発を受け、その後、中国人の指示役や、日本人のかけ子など36人が逮捕されています。

タイ警察 タッチャイ副長官
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タイ警察 タッチャイ副長官
「(佐々木容疑者は)詐欺グループを指揮する立場にあった。中国人グループと協力して拠点を運営していた」

組織図
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摘発された詐欺拠点は、直接被害者に電話をする“かけ子”、かけ子を集める“ブローカー”、その上に資金管理やプレーヤーの管理などを行う“中華系の幹部”がいたといいます。佐々木容疑者はさらにこの上の“オーナー”。詐欺拠点を運営する上での維持費を出資していたとみられています。

AIも駆使“にせ警官”巧妙手口

詐欺拠点の実態
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どのような詐欺が行われていたのか。佐々木容疑者が運営していたとされる拠点では、通称『1線』『2線』『3線』と呼ばれる、役割分担された日本人のかけ子が、指示役の中華系の幹部のもと、電話をかけていました。

まず、通信会社などを語る『1線』が電話でこう語りかけます。

通信会社をかたる“かけ子”(1線)
「あなたの携帯電話が不正に利用されている可能性があります。心当たりがなければ被害届を出し、無関係証明書を発行してください」

続いて、同じフロアにいる警察役の『2線』に転送。さらに不安を煽ります。

警察をかたる“かけ子”(2線)
「携帯電話はやはり不正利用されているようです」

AI室
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警察官になりすます人物が使っていたのが、「AI室」と呼ばれる部屋。パソコン画面の下には生成AIの顔が表示され、かけ子は好きな顔を選び、別人の顔でビデオ通話していました。

『3線』は警察官の上司や検察官役。

警察官をかたる“かけ子”(3線)
「残念ながら逮捕状が出てしまいました」

最終的には「口座が犯罪に利用されている」などと語り、捜査協力の名目でお金を振り込ませていたとされています。

ホワイトボード
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詐欺の進捗状況は“かけ子”の名前と共に、逐一ホワイトボードに書かれていました。例えば『留』の文字は“詐欺が継続”、『死』の文字は“失敗”を意味しています。

A先生
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こうしたスキームにも佐々木容疑者が関与していたかはまだ明らかになっていませんが、中華系幹部に対し、別の拠点を引き合いに出して「あそこに負けるな」という旨の叱咤激励をすることも。かけ子らからは「A先生」と呼ばれていたといいます。

収入「月に億単位」“表の顔”は

佐々木容疑者
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“オーナー”の立場だった佐々木容疑者。関わったとされる詐欺の被害額は数十億円に上り、そのうち30~40%の報酬を得ていてとされています。月に億単位の収入があったといいます。

拘束されたのは隣国のタイでした。

警察
「タイにはどのくらいいる」

佐々木裕介容疑者
「2~3年」

現地の取材で、佐々木容疑者の“表の顔”も浮かび上がってきました。

タイ警察 担当警察官
「拘束は6月5日の午後7~8時でした。我々は男の住まいの周辺で見張っていた。彼は奥さんと子どもと一緒に帰宅した時でした」

佐々木疑者を拘束したチームの1人がインタビューに応じました。

タイ警察 担当警察官
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タイ警察 担当警察官
「日本の逮捕状があると知らせたら、男は抵抗なく対応した。もしかしてカンボジアの拠点が摘発されたことが分かり、自分も尾行されている自覚もあったかもしれない」

バンコクの中心部で、妻と子ども2人と生活を送っていた佐々木容疑者。

タイ警察 担当警察官
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タイ警察 担当警察官
「我々の情報では、男はかなり警戒して、誰とも付き合いはなく、容疑者の家の出入りはほとんど夜でした。昼間は全く姿を見せなかった。私たちが尾行した昼間は、佐々木容疑者は家族と一緒にいなかった」

家族には隠れながら詐欺拠点を運営していたのでしょうか。警察の目を気にしてか、生活もそれほど派手ではなかったようです。佐々木容疑者が以前、住んでいたというマンションは家賃は20万円ほどで、日本人入居者の少ない物件です。

佐々木容疑者が住んでいたマンションの受付係
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佐々木容疑者が住んでいたマンションの受付係
「昨年契約が切れたばかりでした。普通でしたよ。あまりいなかった。あまり男を見かけなかった」

ただ、たまには羽を伸ばすときもあったようです。佐々木容疑者は年明け、日本人が多く住む町シーラチャで、海を一望できる高級ホテル型サービスアパートメントに滞在していたということです。

リゾート地からも遠隔でカンボジアの拠点に指示を出していたとみられる佐々木容疑者。奇しくもタイに滞在するために持っていたビザは、リモートワーカー向けのものだったといいます。

警察は、佐々木容疑者が他の拠点の運営にも関わっていたとみて実態解明を進めています。

新たな「上位の存在」役割は

これまで見えていなかった海外を拠点とする特殊詐欺事件。オーナーの逮捕で具体的な犯罪グループの姿が初めて分かってきました。

組織図
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これまで分かっていたのは、詐欺の電話をする“かけ子”、かけ子を送り込む“ブローカー”、それらを束ねるのが“中華系幹部”とみられていたが、今回、さらに上位に“オーナー”という存在がいることが分かりました。オーナーの佐々木容疑者は、犯罪の計画や指示などを中華系幹部に任せ、めったに姿を現さなかったということです。

オーナーの佐々木容疑者はどんな役割を担っていたのかというと、運営資金の提供が役割だったということです。かけ子の食費や、拠点の光熱費といったものを佐々木容疑者が負担していたとみられます。一方、特殊詐欺で得た金に関して、オーナーの取り分は30~40%。佐々木容疑者は月に億単位の報酬を得ていたとみられます。

“国際犯罪の村”実態は

犯罪拠点の実態
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犯罪拠点の実態も分かってきました。愛知県警によると、カンボジア・ポイペトには、日本人の他にインド人、韓国人などを狙う、10~20の犯罪グループの拠点があり、“国際的に特殊詐欺を行う場所”となっていました。ここにはコンビニ、スーパー、診療所、カラオケ、ネイルサロンまであり、縁起物としてトラや白蛇を敷地内で飼育するグループもあったということです。

佐々木容疑者のグループ
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その1つのグループでオーナーをしていたのが佐々木容疑者です。グループのかけ子は、詐欺の電話などをかけるのは、月~土曜日の日本時間午前8時~午後5時まで。さらに終了後には全体ミーティングが行われ、電話のセリフの検証をしたり、成績が悪いと自主練習させられたり、消灯時間まで徹底的に管理されていたとみられます。

佐々木容疑者は「他のグループに負けるな」と叱咤激励する時もあり、かけ子のメンバーから「A先生」と呼ばれていました。

オーナーである佐々木容疑者の逮捕で、特殊詐欺が全てなくなるわけではありません。愛知県警によると、佐々木容疑者はカンボジア以外でも複数の詐欺グループのオーナーをしていた可能性があります。これで終わりではないので、注意が必要です。

警察官をかたる詐欺
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警察官をかたる詐欺は、警視庁の代表電話(03-3581-4321)や、末尾が(0110)の警察署代表番号を偽装表示させて信用させるのが手口です。まずは、落ち着いて一旦電話を切り、家族・警察に相談しましょう。警察がSNSで連絡を取ることはなく、警察手帳や逮捕状の画像を送ることは決してありません。

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