
フランスのエビアンで開かれていたG7サミットが、日本時間の17日に閉幕した。初参加の高市早苗総理大臣は、どのような外交成果を上げることができたのか?
高市総理の存在感は
G7サミットでの高市総理の外交戦略について見ていく。
高市総理が初参加となったG7だが、これまでイラン情勢などを巡り、トランプ大統領とG7首脳らとの間には溝が広がっていた。
まず、イギリスだが、スターマー首相がホルムズ海峡への艦船派遣に応じなかったとして、トランプ大統領は「とても、失望した」と批判。
フランスに対しては、米軍機のフランス領空通過を拒否したことについて「フランスは役立たずだった」とSNSに投稿。
ドイツには、メルツ首相がイランへの軍事作戦を「出口戦略がない」と批判したことを受け、ドイツ駐留米軍部隊の5000人に撤退命令を出した。
そして、友好関係を築いてきたイタリアのメローニ首相だが、トランプ大統領のローマ教皇への非難発言を批判したことを受けて、「以前と同じ人物ではない」と険悪な仲になった。
カナダについても、貿易を巡る対立などから、カナダのカーニー首相のことを「次期カナダ州知事」とさげすむような発言をしており、G7の首脳らとトランプ大統領との距離感が浮き彫りとなっていた。
こうした中、日本はというと、16日のCNNによると、高市総理は「これまでのところ、おおむねトランプ氏の怒りをかわしている」として、日本がトランプ大統領とG7の首脳ら双方の「橋渡し役」となることが期待されていたという。
そこで、高市総理は6日間の日程で、イギリスやイタリア、フランスを訪問するなど、G7サミットを前に各国首脳たちと認識のすり合わせが狙いとみられている。
中国名指しで“懸念”表明
高市総理は中国を名指しし「深刻な懸念」と表明した。その思惑とはなんなのか?
16日、高市総理はグローバルサウスとの連携の会合で、「中国による対日措置がG7や同志国のサプライチェーンに影響を与えかねない状況を深刻に懸念している」と、中国を名指しして、レアアースなどの輸出規制を念頭に懸念を表明した。
背景にあるのが、レアアースの中国依存とみられている。2024年のレアアースの精製の国別シェアを見ると中国が9割以上を占めている。
また朝日新聞によると、EU=欧州連合で2021年に使われたレアアースのうちおよそ98%が、中国から輸入されたもので、去年、中国によるレアアースなどの輸出規制があった際には、ヨーロッパの自動車産業が深刻な影響を受けた。
日本はG7で唯一、重要鉱物の国家備蓄制度を持っていることから、15日のワーキングディナーで、重要鉱物の「共同備蓄構想」を提案。さらに「G7各国の備蓄制度の立ち上げを支援する」と表明した。
一方中国は、17日に発表した外交政策に関わる白書で「より公平で合理的なグローバルガバナンスの構築」と名付け、「世界の軍事費は急激に拡大し、軍国主義が再燃しており、国際的な安全保障は脆弱(ぜいじゃく)な局面にある」と日本を念頭に置いたとみられる批判が書かれていた。
戦闘終結に向けた14項目の覚書
アメリカとイランの戦闘終結に向けた覚書の合意を受け、各国がホルムズ海峡への軍派遣を表明しているが、日本は自衛隊派遣を行うのか?
アメリカ側が、14項目からなるイランとの戦闘終結に向けた覚書の内容を明らかにした。
全部で14項目あるが、主なところを見ていく。
「レバノンを含む全ての戦線で軍事行動を即時かつ恒久的に停止」「ホルムズ海峡の開放 30日以内に戦前の水準に回復」「国連安保理などの対イラン制裁決議を最終合意により解除」「核兵器の調達・開発はしないと表明 濃縮ウランを処分する」などといった内容になっている。
各国が軍派遣を表明
アメリカとイランの覚書の合意を受け、各国が相次いで、ホルムズ海峡への軍の派遣を表明している。
フランスのマクロン大統領はトランプ大統領との会談で戦闘機、フリゲート艦、機雷除去チームの派遣。そして空母を2、3日以内に派遣する準備ができていると発言。
また、イギリスは無人機雷掃討艇を搭載した揚陸艦がすでにホルムズ海峡へ向け出航していて、アメリカ・イランの戦闘終結が実現した後という条件付きで、機雷除去任務を行うという。
さらに、中央日報によると、G7サミットに招待国として参加していた韓国も、複数の情報筋によると、掃海艇を派遣する案が議論されているといい、ある情報筋は「結局は(アメリカに対する)貢献の問題であるため、掃海艇の派遣も選択肢の一つ」と話しているなど、一転して、各国がホルムズ海峡への軍派遣を表明している。
自衛隊のホルムズ派遣どうなる?
では、日本はどうするのか?
小泉防衛大臣は先月、ホルムズ海峡への自衛隊派遣に3つの条件を挙げていた。
(1)米・イラン間の停戦合意
(2)イランとの意思疎通
(3)現場での脅威の低下
16日、木原官房長官は会見で、「自衛隊の派遣について何ら決まっていることはない」と回答している。
日本政府内では、これまで自衛隊派遣の方法について、検討はしてきたという。例えば、水中に仕掛けられた機雷を取り除く「機雷掃海」のほか、海上で人命などを保護する「海上警備行動」として護衛艦などを派遣する案、情報収集のための護衛艦の派遣などが検討されてきた。
覚書の合意を受けて政府周辺ではさまざまな意見が飛び交っている。政府高官は「関係各所で頭の体操を始めているが、覚書に署名するとされる19日までは走りながら考えるしかない」と話している。防衛省幹部は「そもそも機雷が本当に撒かれているかも定かではない、いろんな条件を加味して慎重に検討しないといけない」などの意見が上がっている。
日本には1991年の湾岸戦争で「カネは出すが人は出さない」と国際社会から非難を浴びた経験がある。
イラン復興に日本企業が出資?
イランの復興に日本企業も出資するかもしれない。
アメリカ政府高官によると、アメリカとイランの戦闘終結に向けた覚書に、およそ48兆円の資金提供を確保する計画を策定する内容が盛り込まれているという。
ロイター通信は、関係者の話として基金は民間投資の枠組みで、製油施設や空港など被害を受けたインフラの復興を目的とし、日本や韓国、アメリカの企業が出資を約束したとしている。
(2026年6月18日放送分より)
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