FIFAワールドカップ2026の決勝トーナメント進出のために勝利が求められる日本代表。グループステージ第2戦で対するチュニジアを率いるのは、“白シャツの魔術師”ことフランス人のルナール新監督(57)です。
アフリカ各国で代表を率いた名将が、日本代表に立ちはだかります。
ボールない時の動き…ポイントに
FIFAワールドカップ2026、大事な初戦でFIFAランク8位の強豪・オランダ相手に引き分けに持ち込み、貴重な勝ち点1を手に入れた日本代表。
30年前、マイアミの奇跡を起こしたアトランタオリンピック日本代表の松原良香さん(51)は、次のように話します。
「今回のコーナーキックのところ、オランダサイドからするとファン・ダイクが守備のメイン選手。そこに対して、鎌田選手が体をぶつけにいった。それによって生まれたスペース。一瞬、隙がうまれた所に小川選手がうまく入ってドンピシャで合わせた」
ボールがない時の動きができるかが、世界と戦う時に重要なポイントになります。
過去の対戦では?
21日に対戦するのは、FIFAランク55位のチュニジアです。
日本からおよそ1万キロ離れた北アフリカに位置しているチュニジア。地中海に面し、温暖な気候と豊かな歴史を持つチュニジアは、青と白の美しい街並みやサハラ砂漠、古代ローマの遺跡など多くの観光名所があります。
紀元前に栄えた都市国家の名に由来する「カルタゴのワシ」の異名を取るチュニジア代表は、今大会のアフリカ予選を9勝1分けの負けなしでワールドカップ本戦へ乗り込みました。
日本代表は過去の対戦で5勝1敗。ワールドカップでは、24年前の日韓大会で対戦しています。この時は森島寛晃選手、中田英寿選手の2得点で快勝し、日本サッカー史上初となる決勝トーナメント進出を決めました。
まさかの監督交代
唯一の敗戦は4年前。キリンカップ決勝で0対3と完敗を喫しました。この試合で決勝点を決めたのが現在Jリーグ、ガンバ大阪に所属するイッサム・ジェバリ選手(34)です。
チュニジアの得意な戦術とは?ジェバリ選手に聞きました。
「カウンターです。日本に3対0で勝利した戦術です」
アフリカ予選10試合で無失点と、鉄壁の守備を誇っていたチュニジア代表。ところが大会直前の親善試合のベルギー戦では5失点。さらに、ワールドカップ1戦目のスウェーデン戦でも5失点を喫し、大敗しました。
チュニジアサッカー連盟は、サブリ・ラムシ監督を電撃解任すると、後任にフランス人のルナール氏を指名しました。
ルナール新監督
「先のことなんて、今の私たちには関係ない。日本戦に集中し、決意を固めなければいけない。これがカギです。そのことを理解してください。私はチームのためにここに来たのです」
ルナール監督とは?
今年4月まで、サウジアラビア代表を指揮していたルナール監督。一躍、名を上げたのは前回大会のアルゼンチン戦です。
メッシの得点で先制されたサウジアラビアは、無得点で前半を終了。ハーフタイム、ルナール監督は選手に檄(げき)を飛ばします。
サウジアラビア ルナール監督(当時)(ESPNなどから)
「お前たちは何がしたいんだ。メッシと写真を撮りたいのか。彼にプレッシャーをかけなければならない。全力を尽くさなければならない。これはワールドカップなんだ」
奮起したサウジアラビア代表は、後半立て続けに2点をもぎ取り、ワールドカップではアジア勢初めてアルゼンチンに勝利しました。
人呼んで“白シャツの魔術師”。相手に合わせた戦術も駆使します。去年3月のアジア最終予選の日本戦では。
サウジアラビア ルナール監督(当時)
「日本のサッカーに対する理念をよく知っています。とても面白い試合になるでしょう」
サウジアラビアは日本対策として極端な守備シフトを採用。日本のボール支配率は73%、シュート10本を打たれながらも猛攻に耐え、圧倒的攻撃力を誇っていた日本を完封しました。
久保建英選手は、こう話していました。
「前半ハーフコートゲームの展開で、点が取れず残念だった。昔のサウジアラビアと違って、徹底的に僕らの研究をして僕らに対応するようシステムまで変えてきた中で、前半30分あたりからワンサイドゲームになった時、もう少し工夫がほしかったと個人的に思う」
元チュニジア代表のジェバリ選手は、今の代表について次のように話します。
「規律を守るチームです。チームにはスーパースターはいません。チームとして努力、守備、そして団結力にのみフォーカスしています。常に相手の強みを封じ込め、弱点を突くように努めています」
カウンターに警戒
日本戦から合流するルナール監督とマッチすれば、手強い相手になると予想します。アフリカサッカーに詳しい松原さんは、次のように話します。
「(ルナール監督は)格上に対して怖がらないとか、守備固めだけではなく、勇気をもって前に出る。選手に自信を与えて『お前たちはやれる』と植え付ける。そこをチュニジアサッカー協会としても期待しているのだろう」
裏付けとなるのが、ルナール監督の実績です。
アフリカ大陸の王者を決める大会で、2012年にはザンビアを率いて史上初の優勝を達成。2015年には、コートジボワールで大会を制覇しました。2018年には、モロッコを20年ぶりのワールドカップ出場へ導くなど、アフリカ勢を率いて結果を出すことに長けている名将です。
松原さん
「特に怖いと思ったのは、カウンターのところ。アフリカサッカーをよく知る、勝負強い、結果も優勝もしてきたルナール監督の日本に対する作戦は、カウンターに一番色濃く出るだろう」
中村敬斗選手、新監督へ警戒心
絶対に負けられないチュニジア戦まであと2日。ベースキャンプ地のアメリカ・ナッシュビルから決戦地メキシコ・モンテレイへ移動する前、最後の全体練習が行われました。
前日は疲労を考慮し、別メニューでの調整だった上田綺世選手(27)が合流。オランダ戦で得点を決めた中村敬斗選手(25)がチュニジア新監督への警戒心をあらわにしました。
中村選手
「チュニジアに関しては、前の試合で監督が解任されたということで、前サウジアラビア監督なので、一度(去年)3月に対戦している相手で、かなり引いてきて、ちょっとやりにくかった印象。味方と連携して崩していけばいいと思うし、個人で打開できるところはするし、シュートという自分の武器も見せられたらいいかなと」
(2026年6月19日放送分より)
