マグロが厄介者に「災害です」海へ放流…漁師困惑 各地でクロマグロ豊漁も喜べない訳

マグロが厄介者に「災害です」海へ放流…漁師困惑 各地でクロマグロ豊漁も喜べない訳
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 今、クロマグロが各地で異例の豊漁です。ただ、漁師は網にかかったマグロを逃がす作業に追われ「災害だ」という声も出ています。一体、何が起きているのでしょうか。

【画像】なぜクロマグロが豊漁?

なぜ?マグロ豊漁も海に放流

 16日、北海道函館市の定置網漁。水しぶきを上げているのは“海のダイヤ”と呼ばれるクロマグロ。その数、推定でなんと1000本以上という異例の豊漁。

函館で水揚げされる
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 函館で水揚げされる「戸井マグロ」は青森県の大間と並ぶブランドマグロ。しかし今、この大量のクロマグロが漁師たちを悩ませています。一体なぜなのか?定置網漁に同行取材しました。

 午前4時半、函館市の椴法華(とどほっけ)港。この時期、通常なら定置網に入るのはブリやホッケ。10分ほど船を走らせると漁場に到着。

超大物のクロマグロ
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 まだ何も見えませんが、向こう側に見えるもう1隻の船との間にある網を手繰り寄せていくと、姿を現したのは、200キロを超える超大物のクロマグロ。

 この日は、ここ数日ではマグロの数が最も少なかったといいますが、それでも数十はいるでしょうか?ブリに混じって巨大なマグロの姿が。

 しかし、なんと海に逃がしてしまいました。その理由は?

「年間で数量が決まっている」
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定置網漁師 ツガイナカ中村漁場
中村忠相さん

「年間で数量が決まっている。今枠を使っちゃうと、これから値段が(高く)とれるいい時期に枠がないととれない」

「良い時期にとれない」

北海道の漁獲可能量
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 理由は「漁獲枠の制限」です。クロマグロは資源保護のため、国際会議で各国の漁獲枠が決められています。今年の日本の漁獲可能量は約1万4500トン。それを都道府県ごとに割り振り、北海道は、30キロ以上の大型魚が644.7トン。30キロ未満の小型魚が84.7トンです。

 さらに、それを定置網や一本釣りなど、漁法によって細かく分けているのですが、ここ椴法華の定置網漁には。

「うちは(クロマグロの大型魚が)18トン、小型(魚)が3トン弱。きょうまで(大型魚18トンの漁獲枠のうち)8トン近くを使っている。毎日やっているとすぐに枠なんていっちゃう。(漁獲量を)計算しながらやっています」

 同じクロマグロでも脂がのる冬場は値段が高くなるため、枠を残しておきたいといいます。

「かなり金額が違う」
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「今のマグロ(の漁獲枠)を使ったら、良い時期にとれない」
「冬場の時期になると、魚体も良く脂がのるのでかなり金額が違う。1キロ9000円とか1万円とか。今は2000円半ばぐらいが平均になっているので」

 結局、この日水揚げされたクロマグロは205キロと126キロの2本のみ。約44万円、約28万円で買い取られました。残ったマグロを放流しなければならないことについては、このように話します。

「悔しいですよね、もちろん悔しいです。せっかく(網に)入ったものを出さなきゃダメっていう。ガッカリもあり、怒りもあり」

他の魚も…

 さらに漁師を悩ませているのが。

「この前も1000本単位の状況で(マグロが)入っている。ああなると、どうしようもないので網を開いて出すしかない」

他の魚も逃げてしまう
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 大量のマグロを放流するには網の側面を開くしか方法がなく、とれた他の魚も逃げてしまうといいます。

 漁師によると、4年ほど前から年中通してクロマグロが網にかかるようになり、多い時には数百本がかかるようになったといいます。

「災害です。他の魚がとれないので。要は“害魚”です。従業員もいて、経費もかかる。給料も払わないとダメ」
「何とかうまく少しずつでも水揚げしていきながら頑張っていかないと。対策はなかなか難しい」
「(Q.マグロ嫌いに?)嫌いです。顔を合わせると嫌になる」

定置網をすべて撤去

 大量のクロマグロに悩まされているのは北海道だけではありません。

福井県定置業協会
浦谷俊晴会長

「神様にマグロが入らないよう祈っている」

福井県小浜市でも…
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 福井県小浜市の沖合にあるブリやマダイを狙う定置網ですが、表層付近を泳ぐのはクロマグロです。そして、漁師が1本ずつ網ですくって逃がしていきます。多い時には1000本のマグロが網に入ることもあり、漁師の大きな負担になっているといいます。

漁師の大きな負担
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「1本が本当に大きい。24~25キロとか。1人100本ずつ逃がさないといけないから大変」
「マグロがたくさん入ると網を破っちゃう。歯があるので。もう(穴が)いっぱいできて大変」

 この定置網では小型のクロマグロがとれすぎ、4月の漁の解禁から、わずか2週間で上半期の漁獲枠に達したため、水揚げを停止しました。

 さらに新潟県佐渡島でも定置網に大量のマグロがかかっています。

内海府漁業生産組合 黒姫漁場
伊藤俊之漁労長

「渦巻いた。あそこ渦巻いてる」
「ほらほらほら、来た来た来た」

新潟県佐渡島でも…
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 通常6月ごろからがシーズンのマグロが、今年は4月から早めにとれ始めています。当初は豊漁を喜んでいましたが…。

内海府漁業生産組合
本間信俊組合長

「漁獲制限がありますから、とってはダメだというのがある。こんなに頻繁に入るのは本当に異常」

シーズン前にもかかわらず…
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 シーズン前にもかかわらず、大型のクロマグロの漁獲枠が8割を超えてしまい、マグロが高値になる冬場に枠を残すため、3つの定置網をすべて撤去したといいます。

「入ったものを逃がさなきゃいけない。漁師として一番悔しい」

“絶滅危惧”も回復

 なぜ、各地で漁獲枠を超えるほどのクロマグロの豊漁が続いているのか?その理由を専門家はこのように話します。

なぜクロマグロが豊漁?
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水産業コンサルティング会社
Fisk Japan代表取締役
片野歩氏

「国際的な合意で国ごとの漁獲枠が設定されて、それを各国が順守しているので、それで資源が回復した」
「いろいろな資源管理をやってなかなか日本の場合は成功していないが、唯一資源管理が成功しているのがクロマグロなんです」

 乱獲などで、一時は絶滅危惧種2類に指定されるほど数が減ったクロマグロ。

資源量が回復
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 1961年、約16万トンだった太平洋クロマグロの資源量は、2010年には約1万2000トンと10分の1以下に。その後、2015年に国際的な資源管理が始まったことで資源量が回復、今回の豊漁もその影響だと見られます。

 現場の漁師は…。

現場の漁師は…
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中村さん
「枠の量と増えている量が合っていない気がする。本当は全部とれれば一番いい話なんですけど、それが世界のルールで難しいと思うので。もっと枠を増やしてくれたら、自分たちは助かる。言っていることは分かるんですけど、だったら漁師のことは守ってくれているのかな」

(2026年6月19日放送分より)

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