日経平均株価が初めて終値で7万円台の大台を突破した。昨年末の5万円ほどからわずか半年で2万円も上昇する凄まじいペースの中、この株高の背景や生活への影響などについて、テレビ朝日経済部の平山明秀記者が解説した。
平山氏によると、高市政権が掲げる成長投資への期待から上昇した株価は、3月にアメリカとイランの衝突による原油高で一時下落したものの、両国の合意による情勢緩和を受けて再び急上昇へと転じた。企業の業績向上への期待が確信に変わり、AIブームで利益を上げるキオクシアが4月から日経平均に採用されたことも株高を牽引している。現在、市場を動かしているのは海外投資家とも言われており、日本市場への高い評価が背景にあるとされている。
この急騰に対し、市場では企業の利益拡大が伴っているため「バブルではなくブーム」との見方が多い。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、東証の要請を受けた企業が配当金を増やすなどの株主還元強化に取り組んでおり、株価が上がりやすい環境にあると言及する。また、大和証券の分析では日本企業の経常利益が過去10年の平均で毎年6.3%ずつ伸びており、同証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、利益拡大が続けば日経平均は2040年に20万円程度、2045年には30万円程度に達する可能性を予測。同証券からは、今年の年末には8万円、今年度末には8万3000円に達するという強気な見通しも出ている。
一方で、将来への期待から株価が高騰する反面、生活者が景気回復の恩恵を実感しにくいギャップも生じている。株式などの資産保有の有無に加え、日本の賃金の伸びが小さいことが要因だ。諸外国では物価上昇以上に賃金が引き上げられているのに対し、日本では過去30年間、物価変動の影響を除いた実質賃金が横ばいを続けている。企業が上げた利益が従業員ではなく株主還元に充てられているとの指摘もあり、実質的な生活の豊かさに繋がるには時間を要する状況だ。
このような中、日銀が発表した金利引き上げの影響にも注目が集まる。通常、利上げは企業の借入コストを増やし株価にマイナスとされるが、今回は下落しなかった。市場では、物価上昇を抑える適切な利上げとして織り込み済みだったとの見方や、原油高による一時的なインフレ抑制が目的のため企業業績へのダメージが小さいとの指摘も出ている。その一方で、さわかみHDの澤上篤人代表取締役は、現在の株価は機関投資家が上昇相場に追随しているに過ぎず、何らかのきっかけで下落に転じれば売りが殺到して暴落を引き起こすリスクがあると警鐘を鳴らす。
金利上昇は市民の生活、特に住宅ローンに直接的な影響を及ぼしている。変動金利の利用者の間では返済額が増加する負担が生じる一方、三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行は8月3日から普通預金金利を0.3%から0.4%へ引き上げることを発表した。しかし、多額の預金を持つ人でなければ恩恵を受けにくく、メリットを実感するのは難しい状況にある。
資産を守るため「新NISA」を始める人が増える中、専門家は株式だけでなくゴールド(金)などの安全資産を組み合わせた分散投資を提案している。金は今年最高値を更新したが、インフレ懸念による利上げ想定から金利のつかない金の魅力が相対的に低下して下落調整局面を迎えた。しかし、SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストは、依然不安定な状況が続いているが、調整が終わればその後ゴールドは再び上昇に転じる可能性があると分析する。インフレへの移行に伴い資産を株や金に移す動きは強まる可能性があるが、株高に乗じたSNS投資詐欺のリスクも急増しており、過熱する局面だからこそ冷静な判断が求められている。
(ABEMA/ニュース企画)

