24日の衆議院内閣委員会で自民、維新、国民民主、参政の4党が共同提出した国旗損壊罪法案が審議入りした。中道改革連合の長妻昭議員は、自民党の岩屋毅前外務大臣や石破茂前総理大臣の発言を引用したほか、戦前の新聞記事や、米国で国旗損壊罪を違憲とした最高裁判事の言葉も引用し、立法に慎重な考えを述べた。
長妻議員は「これ、自民党の中でも異論が上がっている」として、岩屋前外相が雑誌のインタビューに答えていた内容を「私の気持ちとほぼ同じことをおっしゃっておられて見識の深さを感じる」として紹介を始めた。「そもそも立法の動機そのものが純粋な法益保護ではなく、一部の政治的主張や特定の支持層へのアピールから始まっていると言わざるをえない。そこに大いなる憲法上の懸念を抱く」「かつてのように国民の思想統制の道具にこの国旗損壊罪がまかりまちがえば悪用される恐れすらあります。法益のあいまいな刑罰の新設は国家権力の肥大化につながり、近代立憲主義の理念に背反すると思います。最大の懸念は内心の自由や表現の自由への深刻な萎縮効果です。どういう形状なら国旗と認定されるのか、どこからが損壊や汚損に該当するのか、アートや風刺における表現の境界線はどこか。本来なら国民が心配する必要のない細部に至るまで国家の視線を意識せざるをえなくなる。エスカレートしていくとなぜあそこの家は国旗を掲げないのかという相互監視の同調圧力へと発展しかねません。国旗が自然な敬愛の対象から処罰の対象へと変容すれば、日本が戦後培ってきた自由主義、民主主義の土台が取り崩されていく端緒になりかねない」と岩屋氏の言葉を引用。
さらに長妻議員は、石破前首相も6月6日の番組で「刑罰をもって臨むことなのかと法理論的にあまり正しくない、保護法益が明確でない」と発言したとし、「私も同感であります」と述べた。
長妻議員はさらに戦前の新聞記事を紹介。「1938年から国旗に対して相当神経質に国がなってきた。これは国家精神総動員ということで、国がスローガンを掲げて、これは対米戦争が始まる3年前の新聞です。『白地に赤き純潔の日の丸を守れ』『国旗冒とく者が意外に多い、県が検閲標準を定む』『日の丸を乱用するな。カフェやバーの宣伝マッチ、内務省断固乗り出す、尊厳を高めよ』ということで国旗の印をマッチのところに書いたりしてけしからんと。尊厳を守れということが出てきました」と読み上げた。
さらに「日章旗に文字を書き込んではいけません」という記事も紹介。「こういう話が出てくると、(法案提出者は)『限定』と、『客観的』とおっしゃいますけれども、やっぱり萎縮効果が大きくなってくるんじゃないかなと心配する。かつての日本は、言うまでもないことですけれども、かなり空気が作り上げられて、一旦、一方的な空気が作り上げられると、やっぱりそこにぎゅっと極端な方向にいってしまう。非常に日本は同調圧力の強い国でありますので、そういうことも考えながら声を上げやすい社会にしていくと。異論を排すんではなくて声を上げやすい社会にしていく、あまりにも萎縮効果を高めるようなことは極力防いでいく。必要やむをえないときは罰則を、明確に構成要件を決めてかけていくということが原則で、わが国が道を誤らない最も重要なことだ」と訴えた。
さらにアメリカにも言及し、「米国も国旗損壊罪という法律があったわけですが、違憲判決が出てしまったんですね。連邦最高裁が、逮捕についても国旗損壊行為の処罰は表現の自由を規定する合衆国憲法に違反する判決を下して確定している。この保守派の最高裁判事がこういうことをおっしゃっている。『私は疑いなく愛国主義の保守派であり国旗を燃やすことを嫌悪している。私が王だったら処罰する。しかし政府、議会、裁判所、そして国家や国旗さえも侮辱する権利を保障しているのが憲法である』という言葉を残している。愛国主義の自身の立場よりも、米国は王でなく憲法が支配する国だということを、基本理念を優先させていた」と紹介し、「ぜひ国民の皆さんが萎縮しないようにきちっとした議論、明確な根拠、そして明確な立法事実を示していただくということが何よりも重要だ」と訴えた。(ABEMA NEWS)
この記事の画像一覧
