米国との協議のキーパーソン?イランのガリババディ氏とは 浮かび上がる「2つの顔」

米国との協議のキーパーソン?イランのガリババディ氏とは 浮かび上がる「2つの顔」
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 アメリカとイランの戦闘終結に向けた情勢は、いまだに不安定で不透明だ。両国の大統領が覚書に署名した後も攻撃の応酬が続いている。そうした中、実務者レベルの協議の場に、イラン側から1人の高官の名前がたびたび登場するようになった。ガリババディ外務次官である。

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 これまでアメリカとの協議に参加してきたイランのアラグチ外相でも、ガリバフ議長でもない。ガリババディとは一体どんな人物なのか。彼には「テクノクラート」と「強硬派」という2つの側面がある。(外報部 大原武蔵)

イランの難局を経験した“実績”

 カゼム・ガリババディ(Kazem Gharibabadi)氏はイラン革命の5年前、1974年生まれ。現在は、イラン外務省のナンバー2で、国際問題や法律問題を担当している。

 イラン外務省やイランメディアによると、国際社会がイランに“核開発疑惑“の目を向けてきた2000年代後半から2010年代、ガリババディ氏は、核問題の担当者として、国際原子力機関(IAEA)や国連と向き合う立場にいた。当時のオバマ政権などと締約した核合意の交渉にも参加していた。

 第1次トランプ政権が核合意から離脱した2018年から、ガリババディ氏は、ウィーンに本部があるIAEAと向き合う立場の在ウィーン常駐代表を務めた。当時のイランは、“アメリカが抜けても他の当事国との合意を守る”とした立場をとっていたが、段階的に核合意からの“実質的な離脱“を始める。

オーストリア・ウィーンで会見するイランのガリババディ氏=2019年11月、ロイター
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 2019年7月から核合意で制限されていたウランの濃縮度を超え、4.5%の濃縮を実施すると発表。IAEAなどから強い反発を受けたが、ガリババディ氏は、こうしたイランの難局ともいえる状況を経験してきた“実績”もある。そうした実力を買われたのか、現在はトランプ政権との戦闘終結に向けた交渉に参加し、スイスやドーハで開催された実務者協議に出席している。

 こうしてみると、ガリババディ氏には、高度な専門知識を活かす技術官僚いわゆる「テクノクラート」としての実績がある。核交渉のこの実務家の登場で、アメリカとの協議は最終段階に向かうのだろうか。

強硬派のお墨付き得られる「つながり」

 ガリババディ氏には、「単なる実務者」で終わらない、もう1つの顔がある。国内の強硬派との強いつながりだ。イランの独立系メディアによると、ガリババディ氏は、イランの外交や軍事に関する最高意思決定機関とされる国家安全保障最高評議会(SNSC)の事実上トップである事務局長を2026年3月から務めるムハンマド・バゲル・ゾルガドル氏の義理の息子だという。

ゾルガドル氏
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 ゾルガドル氏は革命防衛隊の上級司令官も務めたことがある強硬派。革命防衛隊が発言力を強めているイラン国内において、このつながりは、ガリババディ氏が強硬派のお墨付きを得られ、重要なポストを任せられていることの理由とも言える。

 核交渉の経験が豊富ながら、強硬派との親族関係を持つガリババディ氏。彼の登場は、イラン国内の強硬派が核問題に本格的に関与してきたことの表れなのか。同時に、これまでゾルガドル氏ら強硬派やイラン政府が頻繁に言及してきた「イランのレッドライン(譲れない一線)は越えさせない」という警告でもあるのか。イランとアメリカが根深く対立する核問題が今後、どう動いていくのか。ガリババディ氏の動きは、何らかの前兆になるのではないかと見ている。

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