鈴木彩艶が振り返るブラジル戦「1ミリの攻防」と4年後への決意【独占インタビュー】

 激闘を終えたサッカー日本代表の選手たちが2日午後、帰国しました。帰国直後、ゴールキーパーの鈴木彩艶選手(23)が松岡修造さんのインタビューに応じてくれました。

 今大会でビッグセーブを連発しながらも、ブラジルとの大一番で許したあの1点。あの時、あの空間で何が起こっていたのか。鈴木選手が明かしてくれたのは「1ミリの攻防」でした。

守護神が見た世界一との距離

「(Q.日本に戻って来てどうか?)日本が盛り上がっているのを肌で感じました」

 今大会、何度もチームの危機を救った守護神。ワールドカップを通じて、世界一との距離をどう感じたのでしょうか?

「チームの一体感、どこの国よりも素晴らしい。全選手が同じ方向を向いていた。出ている選手も出てない選手も、優勝を目標にして同じ方向を向いて戦っていた。ベンチを見ると、全員が立ちながらガッツポーズ。ベンチを見るだけでパワーをもらう。他のチームにはない強さ」

 一方で、明確な課題も見えました。

「個々のレベルを見た時に世界一と全然言えない。最後しっかり防ぐレベルを上げないと、強豪国には勝ち切れない。1対1のレベルが上がれば、一体感にプラスされて、より強いチームになる」

嫌な流れで失点 焦りは?

 世界一のレベルに至っていた部分と、至っていなかった部分。ブラジル戦を通じて、どの場面で感じたのか。

 まずは、1点リードで迎えた後半11分の失点シーンです。

「(Q.同点ゴールを決められた場面は?)クロスが上がった時点で、まず出ない判断をした。クロスに飛び出さない判断をした。あのクロスが来て、あのゴールの近さからヘディングされると、防ぐのは難しい。それを防ぐにはどうしたらいいかと考えた時に、クロスに対して自分が行くこと。シュートを打たせないことが防ぐポイントだと思う。クロスに対して自分が行けたんじゃないか」
「(Q.それは反省と捉えていい?)反省です。あのシーンは捕れる、捕らなきゃいけないシーンだった」

 王国相手に嫌な流れで追いつかれた日本ですが、焦りはなかったのでしょうか?

「全く問題なかった。失点した後にチームで1回まとまって、ピッチの中で1回まとまって、話し合った。そこでどうしていこうかと確認もしたし、変わらずにやろう、まず失点しないということをチームとして明確にできた。ドタバタすることもなく、プレーできた」

片手1本でセーブした時は

 その言葉を裏付けるようなプレーが後半13分。ビニシウス選手(25)のシュートを片手1本でセーブしました。

「失点した後のシーンなんですけど、失点してシュンとなるんじゃなくて、まず頭を冷静にして。僕的には自分の準備がしっかりできていれば、シュートを止められると思っていた。ビニシウス選手がドリブルして抜けてきた時に、とにかく自分の準備をしようと、冷静に対応できたかなと」

「(Q.その冷静さというのは何が見えた?)相手がドリブルしてくる中でも、グッと行くんじゃなくて、もちろんボールに対して集中する気持ちが大事なんですけど、(集中)すればするほど自分の体が固まって、動きが遅くなってしまう。そういった時にいかにリラックスしながらもボールに集中するか、来たボールに対して、いかに早く反応できるかがポイント。最後の最後まで相手の動きを見て、少しタイミングをずらされたシュートだった。とにかくボールを触ろうということだけに集中して、指で触って。自分がボールを見ながら追った時に、ポストに当たった。その時は『とにかく入るな』って気持ちを込めていた」

後半AT 耐え切れず決勝点

 しかし、ここから世界一との距離を痛感する時間が続いていき、後半アディショナルタイム、あの場面が訪れます。耐え切ることができず、決勝ゴールを許してしまいます。

「相手がラストパスを出してきて、あの距離で留まってシュートを受けると、相手にもプレッシャーを与えられない。できるだけ寄せたいので、1・2歩前に出ながら対応しようと思った。タイミングをずらしたシュート打ってきて、トラップしてからのシュートまでのタイミングがすごく速かった。前に出て止まる時間っていうのを作れなかった」

「(Q.それも反省なんですか?)反省しかないですね。1ミリでももっと触れていたら、ボールが内側に来なかったかもしれない。やっぱりどんなプレーが来ても、もう反省の連続で。自分としては頭の中で冷静に判断して、どこを直せばいいのか分かる。あのシーンは、最終的に失点はしてしまったが、『自分がどうするべきだったのか』はっきりと明確に分かっている」

未来を見据える若き守護神

 たった1ミリ届かなかった世界一との距離。若き守護神は、すでに未来を見据えていました。

「(Q.日本のサッカーは進化している。本当の意味でつかみかけている。ここが大事と聞こえました)試合が終わって負けてしまって、最後の笛が鳴って、無の感覚、喪失感というか。夜もずっと頭の中を巡っているような感覚。でも、一夜通して『何ができたのか?』と考えることができた」

「早く次に向かいたい、この経験を生かしたい思いが強くなった。次のワールドカップは4年後、そこをまず目標にしてやりたい。必ずリベンジしたい舞台」

「ブレない」個の冷静さ

大越健介キャスター
「0.何ミリに至るまで、0.0何秒に至るまで、冷静に振り返って、反省して、言語化できているところにすごく頼もしいものを感じました。修造さんはどういうことを感じましたか?」

松岡さん
「まさにひと言で言うと、助けられた感じでした。正直、ブラジル戦を見ると悔しかった。本当は落ち込んでいた。その中で、彼と話していると心がすっきりしたんです。もちろん、彼の中では世界一との距離というのはあった。ただ、日本が優勝するという思いは、一切ブレていないんです。僕ら応援する側に『修造、ブレるな!』と、はっきり言われたような気がしました」

小木逸平アナウンサー
「私も聞いていて、安心しました。みんなが『個を上げる』と口をそろえて言いますが、そんな上げられるのかなと正直、思っていました。鈴木選手の話を聞いて、あんなに明確に課題が分かっているのであれば、日本代表はもっと強くなれるんだなと見えた気がします」

松岡さん
「まさにその通りだと思います。今回のワールドカップで悔しいという思いがある一方で、楽しかったという言葉も発したんです。それは個を上げていくための具体的な課題というのが、彼は見えたんです。しかも、それをしっかり乗り越えられる自信もつかんでいる。彼、23歳です。個の冷静さ、ブレません」

ヒロド歩美キャスター
「一体感という話もありましたが、確かに日本代表は失点した直後、円になって話し合っていて、コミュニケーションの一体感も感じられます」

大越キャスター
「一体感をもとにした個の積み重ねというもので、世界のトップに手が届くところに来てはいますよね?」

松岡さん
「そして、目標をちゃんと持ち続ける。彼からもらったエネルギーをみんなに伝えたいという気持ちでいます」

(2026年7月2日放送分より)

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