横須賀しょうぶ園で楽しむ「ハナショウブ」 “幻の名花”や珍しい“変わり咲き”も

横須賀しょうぶ園で楽しむ「ハナショウブ」 “幻の名花”や珍しい“変わり咲き”も
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 初夏を彩る白と紫の絶景。神奈川県横須賀市にある「横須賀しょうぶ園」では、5月から6月にかけて、ハナショウブが見頃です。今回は、白と紫が織りなす気品あふれる伝統品種や、つぼみのまま咲く不思議な変わり咲きなど、園内に咲く多彩なハナショウブを紹介します。

【画像】相撲でいうなら横綱級のハナショウブ

“横綱級”の名花も

横須賀しょうぶ園の鈴木直実さん
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横須賀しょうぶ園 鈴木直実さん
「ここでは約400品種、14万株ほど植えております」

 まず見せてもらったのは、ハナショウブの中で最も美しい品種です。

「追風」は相撲でいうなら横綱級
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鈴木さん
「『追風』という品種なのですが、白地に紫の筋が入っていて、このグラデーションが非常にきれいだということで、評価の高い品種になっています。ハナショウブは花の美しさを競うというのが文化としてあります。この『追風』は相撲でいうなら横綱級と言えます」

田原萌々アナウンサー
「この線が美しいですよね。引きで見ていると青紫色だなと思うのですが、近づいてみると白地に紫の細かい線が入っているのが分かりますね」

 ハナショウブには驚くほど多くの種類があります。紫に白、模様入りまで、目に入る色もさまざまです。花びらの形も個性的で、大きく広がるものや、優雅に垂れ下がる品種、丸く咲く変わり咲きなどがあります。実は、これらは江戸時代に品種改良で生まれた花で、200年以上もの長い間、受け継がれています。

“変わり咲き”とは?

つぼみのように見えるが…
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 続いて紹介するのは、江戸時代の変わり咲きの傑作「白竜の爪」です。

田原アナ
「これはまだ咲いていなくて、これから咲くつぼみということですか?」

鈴木さん
「まだ咲いていないような…ちょっとキュッととんがっているような…この状態が咲いている状態なんです」

満開を過ぎた、終わりかけの状態
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 つぼみのような姿こそが、満開だという「白竜の爪」。3日経つと通常の品種のように花びらが開きますが、これは「白竜の爪」にとっては満開を過ぎた、終わりかけの状態だといいます。

だんだん爪に見えてくる?
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鈴木さん
「江戸時代には変わった花の改良をする文化があったようで。変わり咲きのものを競って作る園芸文化があったらしいんです」

田原アナ
「『白竜の爪』というだけあって、形を見るとだんだん爪に見えてきました」

「菖翁」と呼ばれた“仕掛け人”

「菖翁」と呼ばれた
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 その仕掛け人は、品種改良に生涯をささげた伝説の旗本・松平定朝です。菖蒲の「菖」に、「翁」と書いて、「菖翁(しょうおう)」と呼ばれました。

 定朝の手によって次々と新しい品種が登場し、江戸ではハナショウブの鑑賞が大流行しました。定朝は、独自の育て方や名花の特徴を記した「花菖培養録」を出版しました。

独自の育て方や名花の特徴を記した「花菖培養録」
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 例えば、そこには「新芽が三寸ほど出た時から、合わせて『三度』、魚を原料とした肥料を与える。そして、花が咲き終わって不要なものを整理した後に、さらに『二度』、与える」と記されています。

定朝のお気に入りは、最高傑作「宇宙(おおぞら)」
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 また、自ら作り出したハナショウブも掲載しており、中でも定朝のお気に入りは、最高傑作「宇宙(おおぞら)」です。

鈴木さん
「“幻の名花”とも言われていまして。なかなか育ちにくいというか、広がりにくかった花みたいで」

“鷹の爪”のような変わり咲きも

 次は、昭和になって発見された品種。野生の原種に近い姿を持つ、珍しい変わり咲きです。

「長井鷹の爪」
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鈴木さん
「これは『長井鷹の爪』と言いまして、よく見ていただくと鷹の爪みたいに先っぽの色が変わって、ちょっと中側に入り込んだような形になっています」

田原アナ
「先端にかけて濃い紫色になっていて、中央が白いのがスタイリッシュでかっこいいですね」

 さらに別のエリアには、これまでとは全く違う雰囲気をまとった品種がありました。

田原アナ
「何だかここだけ日の光が当たっているかのように明るいですね」

鈴木さん
「こちらは『愛知の輝』と言う品種です」

田原アナ
「『愛知の輝』というだけあって、ここだけ輝いていますよね」

鈴木さん
「愛知県の方が品種改良して、おつくりになったということで『愛知の輝』と言っています」

田原アナ
「色も鮮やかだからパッと目をひきますね」

「堀切の花菖蒲」はハナショウブ?

ハナショウブとは違う植物だという説も
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 ハナショウブは、よく似た花があることでも知られています。歌川広重の代表作『堀切の花菖蒲』に描かれた花は、実はハナショウブとは違う植物だという説があります。

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ…どれがどれだか分かるでしょうか?
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鈴木さん
「ここでクイズです。アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ。大変似ているお花です。どれがどれだか分かるでしょうか」

田原アナ
「これは自信があります。中央に黄色い点が入っているものがハナショウブ。アヤメはその名の通り網目模様があるもの。中央に細い白いラインが入っているものがカキツバタなのではないでしょうか」

正解は…
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鈴木さん
「大当たりです!」

田原アナ
「やった!正解!」

カキツバタの特徴である白いラインが見られる
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 広重の絵をよく見てみると、ハナショウブの特徴である黄色ではなく、カキツバタの特徴である白いラインが見られます。

田原アナ
「正解は誰にも分からない?」

鈴木さん
「広重のみぞ知るというよりは、江戸時代は今みたいにしっかりと(カキツバタ、ハナショウブ、アヤメと)分かれているわけじゃないので。元々は同じアヤメ科ですし」

田原アナ
「見る人に委ねられているのかもしれませんね」

菖蒲湯のショウブは別物?

 アヤメ科の深い歴史に触れた田原アナウンサーは、園内で「もう一つの気になる植物」を見つけました。

菖蒲湯の「ショウブ」
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田原アナ
「こちらは『菖蒲』と書いてありますね」

鈴木さん
「このショウブは何のショウブでしょう?」

田原アナ
「子どもの日に入る、菖蒲湯のショウブ?」

鈴木さん
「そうなんです」

 名前もそっくりのショウブですが、実はハナショウブとは全く別物です。

花を比べると…
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鈴木さん
「ショウブはサトイモ科。ハナショウブはアヤメ科になります。葉っぱの形が似ているので、花が咲くショウブということでハナショウブという名前になっています」

 こちらが、菖蒲湯のショウブの花。比べると、ハナショウブとは大きく違います。

田原アナ
「子どもの日に入るお風呂の香りを思い出します」

 ハナショウブは、水辺に咲いているイメージがありますが、実は水の中でなくても、鉢などで育てることができます。それでも多くのしょうぶ園で水辺に植えられているのは、見た目の美しさだけでなく、栽培や管理にも関係しているといいます。

 ハナショウブの原種は「田んぼのあぜ道」によく生えていたと言われています。江戸時代、水面に映るハナショウブの景色が人気となり、やがて水辺で観賞する文化が広まったそうです。

(2026年6月17日放送分より)

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