
臓器移植手術を斡旋(あっせん)したとして逮捕された男ですが、保釈中も積極的に海外での移植に関する情報を発信していました。
容疑者「違法ではない」釈明
菊池仁達容疑者(66) 本人撮影のYouTube
「法律を守っているかどうか。法律となればやはり海外移植ですから、倫理委員会が開かれて、きちっとやっているかどうか、臓器売買に関与してないかどうか、その辺も確認する必要があると思うんです」
菊池容疑者は、「海外移植チャンネル」と称し、YouTubeに複数の動画を上げていました。「悪質業者の見分け方」「法的に正しい海外移植とは?」などの見出しが躍ります。
「有名な移植チームは犯罪に関わってません。臓器売買にも関わってません。なぜなら有名な先生はそういったものに関わらなくても、患者はどんどん世界中から集まってくるわけですよね」
近隣住民は、菊池容疑者について…。
「“彼(菊池容疑者)は何の収入で暮らしているのか”みんな疑問に思っていた。毎日、車でどこかに出かけていた。よく分からないが、お金は持っていた」
その容疑者が行ったとされるのが、「臓器移植手術の斡旋」です。
今回、逮捕されたのはNPO法人元理事長の菊池容疑者と、代表理事の安藤貴樹容疑者(66)、菊池容疑者の長男・充容疑者(42)の3人です。
警視庁によると、菊池容疑者らは法人のウェブサイトで移植希望者を募集し、去年、腎臓移植手術を希望してきたのが70代の男性患者でした。
容疑者らは「移植手術のサポートだから違法ではない」と説明をしていたそうです。
その後、充容疑者が付き添い、男性患者はカンボジアに渡ります。ここで、中国人医師団らによる移植手術を受けたということです。ドナーは20代のカンボジア人女性とみられます。
警視庁によりますと、男性患者が菊池容疑者らに支払った対価は合わせて1236万円に上るといいます。菊池容疑者は、医師への謝礼名目などで金を受け取ったということです。
保釈中にも臓器移植斡旋か
警視庁が公開した菊池容疑者らからの押収品。患者への説明に使ったのでしょうか。「臓器のイラスト」や「パンフレット」、患者との契約に使われたとみられる「覚え書き」、“カンボジア”と書かれた「ノート」もあります。
警視庁によると、菊池容疑者らは70代男性のほかにも、5人ほどに対して移植の斡旋を行っていたといいます。
これまでに、医師への報酬などとして4500万円以上を患者から受け取り、そのうち3000万円以上が菊池容疑者個人に渡っているということです。
近隣住民
「車は大きいのに乗っていますよ。高級だね」
実は、菊池容疑者、過去にも…。菊池容疑者は、2023年2月にも海外での移植を無許可で斡旋したとして、警視庁に逮捕されています。
過去にも、国の許可を得ず、男性に移植を促し、ベラルーシの病院で肝臓移植を受けさせたとして逮捕されていた菊池容疑者。
2023年7月に保釈された後、実刑判決を受け、今年1月から服役していました。つまり、今回の逮捕容疑である70代男性患者への斡旋は、保釈中に行われていたことになります。
菊池容疑者 本人撮影のYouTube
「皆さん、こんにちは、菊池仁達です。第10話を始めたいと思います。今日のテーマは、先日私が捕まってアレですけども、法律に関して少しお話ししたいと思います。海外移植は…」
番組が確認したところ、YouTubeの動画もすべて保釈中に上げられたものでした。
今年1月付の服役直前とみられる動画では…。
「大金と命を預けるのですから、本当に慎重に各業者さん回って、ゆっくり話を聞いて、資料を要求して、これは必ずやってください。そうすれば失敗しないで済みます。僕としては患者さんがだまされてひどい目に遭わないように、これだけは話しておかなくてはいけないと思って、今日は収録させていただきました」
背景に深刻な「ドナー不足」
1回目に逮捕された際の弁護士費用などで借金を抱えていたという菊池容疑者。今回、70代の男性患者から受け取ったとされる約1200万円の大半は、その返済に充てていたとみられることも分かっています。
一方で、移植手術を受けた70代の男性患者は…。
警視庁によりますと、70代の男性患者は自ら臓器移植手術について調べていたところ、菊池容疑者の存在を知ったといいます。男性は警視庁に対し「違法だという認識はあった」と話しているということです。
それでも、菊池容疑者に接触し、違法な移植手術に踏み切ったわけは…。
70代男性
「ドナーが見つからなかった」
日本臓器移植ネットワークによると現在、移植を希望する患者の数は約1万7000人。これに対し、臓器提供の実績は去年1年間で158件にとどまっています。
その背景には、外国との制度の違いや医療施設の体制が整っていないことが挙げられます。
腎移植相談外来を行う
余丁町クリニック 尾本和也院長
「日本は待機期間がすごく長い。(腎臓移植は)基本的に15~20年かかる。移植を希望していても移植にたどり着けない現状がある。違法と分かりながらも臓器の斡旋に関わってしまうのでは。(無許可で)斡旋し、海外で移植することが違法であることを知るための啓蒙(けいもう)活動。献腎ドナーを増やしていく努力をしていくことではないか」
警視庁は、今回逮捕された菊池容疑者ら3人の認否を明らかにしていません。
また、腎臓移植手術を受けた70代男性の健康状態に今のところ問題はないということです。
(2026年7月8日放送分より)
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