■成長する男性美容、するべき?しなくてもいい?
約4〜5年前から美容に取り組み始めたという爪切男さんは、そのきっかけをこう振り返る。「体重が125キロぐらいあって、ありのままに生きているからいいじゃないかというつもりで、近所の公園でコーラをガブ飲みしていたら、下校中の小学生が笑っていた。耳を澄ましたら『この公園でゴブリンがコーラを飲んでるね』と言っていた」。傷ついたわけではなく、発想を転換したと語る。「じゃあ、ゴブリンと呼んだおじさんがある日ちょっと綺麗になっていったら、君たちはどう思うんだろうと思って、美容をやってみようかなと思いました」。
美容を始めて変わったことを聞かれると、「おじさんは何もしていなかったので、肌の質は伸びしろしかなく、翌日から効果が出た。でも一番変わるのはマインドだと思う。当時恋人だった今の妻に素直に『美容ってどうやったらいいの』と聞けて、そのことが人との関係性も良くしていった」と語る。現在は洗顔、シートマスク、化粧水、保湿を基本としており、「入り口はオールインワン1本でいい。僕でもできるんだからやってほしい」と呼びかける。
一方、メンズ美容ブームに生きづらさを感じているという49歳のナベさんは、「ネットを中心に展開されていることが刺さるというか、強要されている感じがする」と話す。「自分の世代はいろいろなことにアップデートしなきゃいけない、適応していかなきゃいけない変化の時代を生きてきた。ネットもなかったけどある時代になっていった。おじさんは疲れている」と率直に述べる。
かつては男性が美容に興味を持つと揶揄されたり馬鹿にされたりする時代があり、30代のころは男性だらけの職場で女性と接する機会もなく、無頓着になってしまったという。今は学校行事で若い父親たちの肌の手入れに気づき、「やらなきゃいけないのかな」と感じつつも「無理にする必要はないよな」という葛藤があると話す。
実際に美容を始めようとしたこともある。「EXITのりんたろー。さんがテレビで美容への興味を発信されているのを見て、そういうのを発信できる時代になったと感じた。自分は美容に興味があるというか、美容に興味がある人に興味がある」。妻から「お金かけないんだったら始めていいよ」と言われているといい、一歩踏み出す可能性もにじませた。
また番組の取材に応じた43歳の鈴木さんは、成長する男性美容について「結構プレッシャー。息苦しさを感じる」とも語る。
メンズ美容が当たり前のように語られる昨今、「何か肌が荒れている人を見た時に、『この人は自己管理ができてない』と捉えられる。仕事の同僚、周囲への配慮にも欠けている人なのではと、単に肌の状態一つで、何か審査されているようなことに繋がりかねない」と警戒する。さらには「やらない自由というのも本来あったはず。今はやらないと減点される空気がある。半ば義務としてスキンケアをやらないといけない、それで男性の息苦しさが増える原因になっているかもしれない」と語った。
コラムニスト・小原ブラスさんは、男性美容のあり方について「女性の美容をそのまま男性に乗っけるのではなく、男ならではの美容を開発していかないといけない。化粧品メーカーがビジネスでどんどん売りまくって、それに乗っかっている様はどうなんだ」と疑問を呈する。すね毛の脱毛についても「脱毛メーカーが押し売りしている。歳を取ると血管が見えてきたり乾燥が目立ったりする。それだったらまだすね毛がある状態の方がよく見える、という現象もある」と語る。
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